世界一わかりにくい算数(小学校5年_数と計算編)


1.日本のカリキュラム

 日本のカリキュラムは、整理すると次のようになります。
(以下のサイトを参考にしています。)

内容を私なりにまとめると以下のようになります。

(A.数と計算)
整数の性質(偶数,奇数,約数,倍数,最大公約数,最小公倍数)
整数、小数の記法(分数倍等)
小数の乗法・除法
分数の意味と表し方(通分して大小比較、約分)
分数の加法と減法(同分母でない場合)

分数のかけ算・わり算を教えて、小数のかけ算・わり算で教えたほうが順番的には良いのではないかと思います。そのため小数のかけ算・わり算は6年次に分数のかけ算・わり算とともに扱いたいと思います。
ただ整数×分数、整数×小数は先に説明したいと思います。
$${\frac{1}{10}}$$倍を説明するために、先に見る必要があると考えたからです。

2.米国のカリキュラム

 世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国を参考にします。
ソースはカーンアカデミーを参考にしています。

4th grade と5th grade を参考にしています。

4th grade
1)約数、倍数
2)分数のかけ算(整数倍)
3)単位換算

5th grade
1)分数の足し算と引き算
2)単位換算

3.理解と社会的実践

(1)整数(偶数、奇数、倍数、約数、公倍数、公約数、最小公倍数、最大公約数)

〇 言葉の整理

 色々言葉が出てくるので、まずは言葉の整理をしたいと思います。
〇 整数:現時点で正確に表すことはできないのですが、0から1づつ増やしていってあらわせる数を整数と言います。
整数に該当しない数としては、0.25や$${\frac{1}{3}}$$といった数があります。
〇 偶数:2で割り切れる整数を偶数と言います。言い換えると2で割ったときの余りが0である整数と言えます。
偶数には0も含まれ、0,2,4,6,8,10,12,14…..と続いていきます。偶数は1ケタ目が0,2,4,6,8になる特徴があります。九九で2の段をみると分かると思います。
〇 奇数:2で割り切れない整数を奇数と言います。言い換えると2で割ったときの余りが1である整数と言えます。
(例.1,3,5,7,11,13….)
整数を2で割ると余りは割った数を超えないので、0か1となります。そのためどんな整数でも偶数か奇数に分けることができます。

〇 倍数:注目している数を整数倍した整数を倍数といいます。例えば3に注目して「3の倍数」を考えると、3(3×1),6(3×2),9(3×3)…..といった数になります。倍数はどこまでも大きくなっていきます。
また倍数は注目している数で割ると割り切れる数となります。
(9÷3=3 余り0なので「9は3の倍数」となります。)
〇 約数:注目している数を割り切れる(余りが0となる)整数を約数といいます。例えば6に注目して「6の約数」を考えると、6÷□ で余りが0の□の数を考えることになります。そうすると1(6÷1=6),2(6÷2=3),3(6÷3=2),6(6÷6=1)の4つであることが分かります。約数は数が限られていることと、1と「注目している数自体(6)」が必ず入るという特徴があります。
〇 素数:約数として「1」と「注目している数自体」しかないという数もあります。その数を素数といいます。例えば1桁の数だと素数は以下の4つです。
2:約数「1,2」, 3:約数「1,2」,5:約数「1,5」,7:約数「1,7」
ちなみに2018年に確認されている最大の素数は24,862,048 桁らしいです。

〇 公倍数:2つ以上の整数に共通の倍数を公倍数といいます。例えば「4と7の公倍数」を探します。それぞれの倍数を見てみます。
4の倍数:4, 8, 12, 16, 20, 24, 28, 32, 36, 40, 44, 48, 52, 56…
7の倍数:7, 14, 21, 28, 35, 42, 49, 56…
黒太字の数が共通の倍数なので「4と7の公倍数」は28, 56, ….と増えていきます。
この公倍数は、一番小さい公倍数(この例だと28)を2倍(56)、3倍….と増やしていった数になります。
そのため一番小さい公倍数(最小公倍数)を見つければよいということになります。
少し難しいと思いますが、この最小公倍数の見つけ方を説明したいと思います。
① 注目している数(4と7)を素数のかけ算で表します(4=2×2,7=7)
② 素数のかけ算に注目して、「共通している数の組み合わせ」と「共通していない数の組み合わせ」をかけ算します。
今回の例だと「2×2」と「7」で「共通している数の組み合わせ」がないので、最小公倍数は「2×2×7=28」となります。
もう少し大きい数でも見てみます。「12と18の最小公倍数」を計算します。
① 素数のかけ算:12=2×6=2×2×3   18=2×9=2×3×3
② 共通している数の組み合わせ:太字の「2,3」、共通していない数の組み合わせ:「2,3」
(2×3)×(2×3)=36  が最小公倍数となります。
最小公倍数は、この後紹介する「通分」につながっていきます。

〇 公約数:2つ以上の整数に共通の約数を公約数といいます。例えば「12と16の公約数」を探します。それぞれの約数を見てみます。
12の約数: 1, 2, 3, 4, 6, 12
16の約数:    1, 2, 4, 8, 16
黒太字の数が共通の約数なので「12と16の公約数」は「1, 2, 4」となります。最小の公約数は必ず1となります。最大の公約数(最大公約数)は4となります。
少し難しいと思いますが、この最大公約数の見つけ方を説明します。
① 注目している数(12と16)を素数のかけ算で表します
(12=2×6=2×2×3, 16=2×8=2×2×4=2×2×2×2)
② 素数のかけ算に注目して、「共通している数の組み合わせ」でかけ算をしたものが最大公約数となります。
共通している数の組み合わせは太字の「2×2」なので4となります。
最大公約数は、この後紹介する「約分」につながっていきます。

[算数の問題]
(問1)
「39, 46, 180」の中で9の倍数を答えてください。
(問2)
「18の約数の中に6がある」。これは正しいですか。
(問3)
A=>B=>C=>D の順番に一本づつリボンを渡します。Dまで渡したらまたAに渡します。18番目のリボンはだれに渡すことになるでしょうか。
(問4)
8でも12でも割り切れる3ケタの整数で、500に一番近い数を求めてください。
(問5)
72と48の最大公約数はいくつでしょうか。

(答え)
(問1)
9の倍数となる数は、9で割り切れる数となります。
・「39÷9=4 余り3」 「46÷9=5  余り1」  「180÷9=20  余り0」
よって180が9の倍数ということになります。
(問2)
18の約数は「 1, 2, 3, 6, 9, 18  」となります 。18の約数の中に6があるので正しいです。
(問3)
1番目A,2番目B,3番目C,4番目D となります。
5番目A,6番目B,7番目C,8番目D となりますが、「4の倍数」番目でDに渡すことが分かります。そうすると16番目がDにわたり、17番目A、18番目Bとなります。そのため18番目のリボンはBに渡すことになります。
このように実際に試してみて、規則性を見つけるということは結構大切なことです。よくわからない問題に対しては、「全部1から数えてやる」と考え試していく内に規則性を見つけることができるケースがあることを知っておいても損はないと思います。
(問4)
8で割り切れる数ということは、「8の倍数」ということです。12で割り切れる数ということは、「12の倍数」ということです。「8でも12でも割り切れる3ケタの整数」とは「8と12の公倍数で3ケタの整数」ということになります。
公倍数を見つけたいのであれば、最小公倍数を見つけて、何倍かしていけばよいということになります。最小公倍数の見つけ方にしたがって探してみます。
① 素数のかけ算:8=2×2×2    12=2×2×3   
② 共通する数の組み合わせ:(2,2)  共通していない数の組み合わせ:(2,3)
最小公倍数は2×2×2×3=24  となります。
(12の倍数を書いていって、8で割り切れる数を探すというやり方でもよいです)
24×□ < 500  となる□を探すことになります。24×□で表される数が公倍数です。
この□の数を探すには試すのが一番早いと思いますが、試しに20を入れてみます。24×20=480 となり、21にすると504になり超えてしまいますので、答えは480となります。
(問5)
最大公約数の求め方で探します。
① 素数のかけ算:72=2×2×2×3×3 48=2×2×2×2×3
② 共通している数の組み合わせ: (2,2,2,3)
最大公約数は2×2×2×3=24  となり、最大公約数は24になります。

[社会実践問題]
キノコの山72個とタケノコの里48個を子供に同じ数分けて余りがでないようにする場合、最大で何人の子供に分けることができますか。
例えば2人の子供の場合、1人分はキノコの山36個、タケノコの里24個となります。

(答え)
72を割り切れる数は「72の約数」となります。48を割り切れる数は「48の約数」となります。「72と48がともに割り切れる数」は「72と48の公約数」となり、この公約数の最大の数が知りたいので、最大公約数を求めるということになります。
これは(問5)の答えなので、24となり、最大で分けることができる子供の人数は24人となります。
ちなみに24人の子供がいる場合、1人分はキノコの山3個、タケノコの里2個となります。

実際の生活で使える場面に気づくことは難しいと思います。そのため習得してほしいことは以下の3点かなと思います
① 言葉の意味
②「2,3の公倍数」等と指定されたときに効率良くなくてもいいから求められることができる。
➂約分や通分の説明を見たときに最大公約数や最小公倍数と説明が結びつく

(2)約分と通分

〇 約分

 約分とは分子と分母を最大公約数で割って、小さい数で表すことを言います。分数は「分子と分母に同じ数をかけたり、同じ数で割った数は同じ数」になると書きました。
(以下の記事の「〇 分数は同じ数でもいろいろな表現ができる。」を見てください。)

そのため分子と分母を最大公約数で割ると、数自体を変えることなく、分子と分母の数を小さい数にすることができます。
そして約分すると分子と分母が1つの数に決まります。分数を答えで書く場合は約分する必要があると覚えておいてください。

では実際の約分を見てみます。
$${\frac{16}{36}}$$=$${\frac{2×2×2×2}{2×2×3×3}}$$
分子と分母で2,2が共通しているので最大公約数は4となります。
分子と分母を4で割ると$${\frac{2×2}{3×3}}$$=$${\frac{4}{9}}$$ となり、これが約分した結果となります。
最大公約数を考えなくても、素数のかけ算に直したあとに共通する約数について、1つづつ「/」を引いてみる方法でもよいです。「/」を引かれた数は1とします。

約分

分子の2と分母の2に2回づつ「/」を引くことになるので、4で割ったことと同じになります。つまり最大公約数で割ることと同じになっています。
「/」を引く方法は、分子と分母の共通する数の組み合わせを消す操作です。共通する数の組み合わせが消されていくので、結果として分子と分母を最大公約数で割るのと同じことになります。
最大公約数を考えなくてよいので、この「/」を引くというやり方のほうがやりやすいかもしれません。

同様に$${\frac{20}{45}}$$も約分してみます。
$${\frac{2×2×5}{3×3×5}}$$となり、共通する分子と分母の5に「/」を引くと$${\frac{2×2}{3×3}}$$=$${\frac{4}{9}}$$となります。(分子と分母の最大公約数は5です。)
$${\frac{16}{36}}$$ も $${\frac{20}{45}}$$ も約分すると$${\frac{4}{9}}$$という分数で表せることが分かります。

また後で出てきますが、約分をすることは分数を小数に直すときにも便利です。分数をみたら約分するようにしてください。

〇 通分

 「(3)分数の足し算、引き算、帯分数」の「〇 サイズをそろえる」で分母の異なる足し算や引き算を説明しました。

この問題の中で$${\frac{1}{3}}$$+$${\frac{2}{6}}$$を例にして説明しています。ここで分母をそろえて(1カットをそろえる)から足し算や引き算をするということを説明しています。この分母をそろえることを通分といいます。
この分母をそろえる方法として、以下のように説明しています。
「それぞれの分母を2倍、3倍、4倍…と計算していきます。そして同じ数になるところを見つけ、その数にそろえます。」

これは足し算や引き算をする相手の分母について、それぞれ倍数を計算して共通する倍数を見つける操作です。
これは計算する分母の最小公倍数を求めて、その最小公倍数にそれぞれの分母を合わせるということと同じこととなります。

$${\frac{1}{3}}$$+$${\frac{2}{6}}$$の場合、分母は3と6になります。最小公倍数を求めてみます。
① 素数のかけ算:3=3    6=2×3
② 共通する数の組み合わせ:3   共通しない数の組み合わせ:2
最小公倍数は3×2=6 となるので、分母を6に合わせます。(分子と分母に同じ数をかけること忘れないでください。)
$${\frac{1}{3}}$$=$${\frac{1×2}{3×2}}$$=$${\frac{2}{6}}$$   $${\frac{2}{6}}$$
これで1カットがそろったので、分子の足し算となり、
$${\frac{2}{6}}$$+$${\frac{2}{6}}$$=$${\frac{4}{6}}$$ となります。
分数をみたら約分できるか考えましょう。
$${\frac{4}{6}}$$=$${\frac{2×2}{2×3}}$$=$${\frac{2}{3}}$$
$${\frac{2}{3}}$$が答えとなります。

引き算についても最小公倍数を求めて、分母をそろえるところは同じです。
そして分子を引き算し、約分できるか考えます。

よく算数は積み上げの科目と言われます。原則そうだと思いますが、私は積みなおしの側面もあると思います。学習を進めて新しく学んだことを使って、前に学んだことをより深く理解するという姿勢も必要なのではないかなと思います。今後説明する予定の数学ではこの積みなおしの側面がより強く出ます。

ちなみに元のカリキュラムであれば、5年生で通分をするのでここでの積みなおしは発生しません。
現在のカリキュラムでは小数を普通の整数のケタがずれたものとして、小数の足し算や引き算を4年生に持ってきています。それに対して、私は小数は分数の特殊なケース(分母が10,100,1000…のケース)として捉え、分数の足し算を先に説明する必要があると考え先に説明しています。その結果、積みなおしが発生しました。
自分の個人的見解ではありますが、人類史的には先に分数が生まれ、その後に小数が生まれています。このことから人間にとって分数の計算を先にして、特別なバージョンとして小数を教える順番のほうが自然に考えられるのではないかと考えています。

[算数の問題]
 これらの問題は「(3)分数の足し算、引き算、帯分数」の[算数の問題]です。解き方が変わっている点が注目点です。
(問1)
$${\frac{3}{5}}$$+$${\frac{4}{10}}$$ を計算してください。
(問2)
$${\frac{7}{10}}$$-$${\frac{3}{100}}$$ を計算してください。
(問3)
$${\frac{2}{5}}$$、$${\frac{2}{8}}$$、$${\frac{1}{4}}$$ を比べて小さい順に並べてください。

(答え)
(問1)
分母が違う数なので通分します。分母の5,10の最小公倍数を求めます。
① 素数のかけ算:5=5    10=2×5
②共通する数の組み合わせ:5  共通しない数の組み合わせ:2
最小公倍数は5×2=10   分母を10にそろえます。
$${\frac{3}{5}}$$=$${\frac{3×2}{5×2}}$$=$${\frac{6}{10}}$$   $${\frac{4}{10}}$$
$${\frac{6}{10}}$$+$${\frac{4}{10}}$$=$${\frac{10}{10}}$$=1   答え.1
(問2)
分母が違う数なので通分します。分母の10,100の最小公倍数を求めます。
① 素数のかけ算:10=2×5    100=2×50=2×2×25=2×2×5×5
②共通する数の組み合わせ:2,5  共通しない数の組み合わせ:2,5
最小公倍数は2×5×2×5=100   分母を100にそろえます。
$${\frac{7}{10}}$$=$${\frac{7×10}{10×10}}$$=$${\frac{70}{100}}$$   
$${\frac{70}{100}}$$-$${\frac{3}{100}}$$=$${\frac{63}{100}}$$   
約分できるか確認します。
$${\frac{3×3×7}{2×2×5×5}}$$で分子と分母に同じ数は現れないので、約分はできません。   答え.$${\frac{63}{100}}$$
(問3)
$${\frac{2}{8}}$$を約分できるか見てみます。
$${\frac{2}{2×2×2}}$$=$${\frac{1}{2×2}}$$=$${\frac{1}{4}}$$
そのため、$${\frac{2}{8}}$$=$${\frac{1}{4}}$$ となります。
$${\frac{1}{4}}$$と$${\frac{2}{5}}$$は分母が違うため比べられないので、通分します。分母の4と5の最小公倍数を求めます。
① 素数のかけ算:4=2×2   5=5
② 共通する数の組み合わせ:なし  共通しない数の組み合わせ:2,2,5
最小公倍数は2×2×5=20 なので分母を20にそろえます。
$${\frac{2}{5}}$$=$${\frac{2×4}{5×4}}$$=$${\frac{8}{20}}$$
$${\frac{1}{4}}$$=$${\frac{1×5}{4×5}}$$=$${\frac{5}{20}}$$
分子を比べると  $${\frac{8}{20}}$$のほうが大きいので、
$${\frac{2}{8}}$$=$${\frac{1}{4}}$$<$${\frac{2}{5}}$$ となります。

(3)整数×分数

〇 整数×分数

 整数×分数の関係についてみてみたいと思います。
例えばホールケーキを$${\frac{1}{4}}$$づつにカットして、4人の子供にあげるとします。この場合ホールケーキ何個分になるか考えます。
この場合、$${\frac{1}{4}}$$カットを4人にあげるので、$${\frac{1}{4}}$$が4つあると考えることができるので、4×$${\frac{1}{4}}$$ となります。
4×$${\frac{1}{4}}$$
=$${\frac{1}{4}}$$+$${\frac{1}{4}}$$+$${\frac{1}{4}}$$+$${\frac{1}{4}}$$
=$${\frac{1+1+1+1}{4}}$$=$${\frac{1×4}{4}}$$=$${\frac{4}{4}}$$=1
となり、ホールケーキ1個分が答えとなります。

このように4×$${\frac{1}{4}}$$は$${\frac{1×4}{4}}$$となり、整数×分数は
$${\frac{分子×整数}{分母}}$$となります。

〇 整数×小数(分数の分母が10,100,1000…のケース)

 整数×小数の例として、4×0.7 を計算してみます。
0.7=$${\frac{7}{10}}$$ なので4×$${\frac{7}{10}}$$を計算することになります。
これは整数×分数の計算なので、
4×$${\frac{7}{10}}$$=$${\frac{4×7}{10}}$$=$${\frac{28}{10}}$$となり、
答えは2.8となります。

上記の方法で説明できますが、4×0.7 を4×7=28 として、小数第一位に点をおいて2.8と計算するという計算のやり方もあります。学校ではまずはこちらで学び計算練習して慣れていくということをしますが、「やり方」を忘れると計算できなくなるというデメリットもあるように感じます。

[算数の問題]
(問1)
$${1\frac{7}{10}}$$の5倍を計算してください。
答えは$${\frac{〇}{□}}$$で表したあと、$${〇\frac{□}{△}}$$の形でも表して下さい。
(問2)
5×0.75を計算して、答えを小数で表してください。
(問3)
レンガが1個$${\frac{2}{4}}$$mのとき、20個並べたら何mになりますか。

(答え)
(問1)
$${1\frac{7}{10}}$$=$${\frac{17}{10}}$$ となります。
$${\frac{17}{10}}$$×5=$${\frac{5×17}{10}}$$ となりますが、どうせ約分するので分子も分母を素数のかけ算の形にします。
$${\frac{5×17}{2×5}}$$=$${\frac{17}{2}}$$  が答えとなります。
さらに$${\frac{2×8+1}{2}}$$=$${8\frac{1}{2}}$$ と表せます。
(問2)
<分数ととらえる計算>
5×0.75=5×$${\frac{75}{100}}$$=$${\frac{5×75}{100}}$$=$${\frac{375}{100}}$$
答えは3.75となります。問1のときは答えが分数なので分母も分子も素数のかけ算の形にしました。今回は答えが小数で、分母が100のほうがよいので、素数のかけ算の形にしていません。
<小数点の移動として計算(学校のカリキュラム)>
5×75=375となり、0.75は小数第2位なので3.75が答えとなります。
(問3)
長さは$${\frac{2}{4}}$$×20で求めることができます。
$${\frac{2}{4}}$$×20=$${\frac{2×20}{4}}$$ となりますが、約分のことを考え分子も分母を素数のかけ算の形にします。
$${\frac{2×20}{4}}$$=$${\frac{2×2×2×5}{2×2}}$$=10(分母が1)
よって答えは10mとなります。

学校のカリキュラムのほうが計算しやすそうに見えると思います。ただ分数のかけ算と小数のかけ算を同じものとしてとらえるほうが、私は考えやすいのではないかと思います。

(4)割り算、整数、小数、分数を自由に行ききする

〇 わり算と分数

 わり算については「(6)分数」の「〇 新しい数=分数」で説明したように〇÷△=$${\frac{〇}{△}}$$となります。
等式(=)は左辺と右辺が同じことを表しています。
そのため「左辺→右辺」とみると、「わり算」は「分数」に変えることができることが分かります。
また「右辺→左辺」とみると、「分数」は「わり算」に変えることができることが分かります。

〇 中心にある数は分数

 割り算はかならず分数にかえることができます。
小数はかならず分数に変えることができます。
分数は分母を10,100,1000…といった数にすることができれば小数に変えることができます。
「とりあえず分数」にしておくことで、答えが分数になる場合や小数になる場合に対応することができます。

これらの計算をする上で約分をしておくことで計算しやすくなります。
ただ約分については注意点があるので、まずはそこから説明します。

割り算の答えには、「商と余り」、「分数」、「小数」の形があります。
① 30÷9 の「商と余り」を求めるとします。「商と余り」を求める
場合、約分してはいけません。

まずは30÷9を計算すると「商.3  余り.3」が答えとなります。
これを約分してから計算してみると、
$${\frac{30}{9}}$$=$${\frac{2×3×5}{3×3}}$$=$${\frac{10}{3}}$$ となります。
$${\frac{10}{3}}$$=10÷3  なので「商.3  余り.1」となり計算結果が変わります。余りは「わる数」よりも少なくなることを説明したことがありますが、約分すると「わる数」が小さくなるため、余りも小さくなってしまうためです。

② 30÷9の答えを「分数」で表す場合、①の約分した結果である、
$${\frac{10}{3}}$$が答えとなります。

➂ 6÷15の答えを「小数」で表す場合について説明します。
まず約分した分数は$${\frac{2×3}{3×5}}$$=$${\frac{2}{5}}$$となります。
2÷5 の答えを「小数」で表すときは、余りを求めるときとは違い「商」は小数にまで拡大します。
2=5×□ となる□を求めたいのですが、1ケタ目は0となります。
次に$${\frac{1}{10}}$$(小数第1位の数)のケタの数をいろいろ試してみます。5×$${\frac{2}{10}}$$=1, 5×$${\frac{3}{10}}$$=$${\frac{15}{10}}$$, 
5×$${\frac{4}{10}}$$=$${\frac{20}{10}}$$=2 と次々当てはめると、
$${\frac{4}{10}}$$が当てはまり、□は$${\frac{4}{10}}$$=0.4であることが分かります。
約分したほうが分子と分母の数が小さくなるので計算は簡単になります。

ちなみに$${\frac{2}{5}}$$の分母を10,100,1000..にそろえようと考えると、
分母を10にそろえることができ、$${\frac{2×2}{5×2}}$$=$${\frac{4}{10}}$$
答えは0.4と計算することもできます。
このように分母が10,100,1000..にそろえることができる場合、きれいに小数で表すことができます。

次に30÷9の答えを「小数」で表す場合、②より$${\frac{10}{3}}$$を計算します。この時、分母の3を何倍かして10,100,1000..といった数にするのは難しそうだなと思うと思いますが、それは正しいです。

10÷3 の商を考えると3の時9、4の時12なので1ケタ目は3になります。
したがって10=3×3+□ となり□=10-3×3=1  となります。
次は1÷3を考えますが、整数の範囲では答えがないので、$${\frac{1}{10}}$$(小数第1位の数)のケタの数で考えてみます。
3×$${\frac{3}{10}}$$=$${\frac{9}{10}}$$=0.9
3×$${\frac{4}{10}}$$=$${\frac{12}{10}}$$=1.2   より$${\frac{3}{10}}$$=0.3が小数第一の数だと分かります。
10=3×3+3×0.3+□=9+0.9+□  □=10-9.9=0.1 より次は0.1÷3を考えます。
$${\frac{1}{100}}$$(小数第2位の数)のケタの数で考えると
3×$${\frac{3}{100}}$$=$${\frac{9}{100}}$$=0.09
3×$${\frac{4}{10}}$$=$${\frac{12}{100}}$$=0.12  より$${\frac{3}{100}}$$=0.03が小数第2位の数だと分かります。
10=3×3+3×0.3+3×0.03+□=3×(3+0.3+0.03)+□ と計算していきますが、この計算はどこまでも続きます。そのため10÷3=3.33………. となり、きれいな小数にはなりません。

このようにわり算はかならず分数になりますが、分数はきれいな小数にかならずなるというわけではありません。そのため理系の分野ではなるべく分数で計算するという傾向があります。

[算数の問題]
(問1)
2$${\frac{3}{4}}$$をわり算になおしてください。
(問2)
赤いペンキが9L、青いペンキが15Lあります。赤いペンキは青いペンキの何倍でしょうか。また青いペンキは赤いペンキの何倍でしょうか。
(問3)
コーヒが2.5L、牛乳が$${\frac{6}{5}}$$Lあります。コーヒは牛乳より何Lおおいでしょうか。小数と分数で答えてください。

(答え)
(問1)
2$${\frac{3}{4}}$$=$${\frac{2×4+3}{4}}$$=$${\frac{11}{4}}$$ となります。
よって11÷4 となります。
(問2)
「赤いペンキは青いペンキの何倍」について考えると、
(赤いペンキ)=(青いペンキ)×(何倍)という関係があります。
9=15×□ で□の中に入る数字を求めることは、かけ算の相手を求めるわり算となります。□=9÷15=$${\frac{9}{15}}$$=$${\frac{3×3}{3×5}}$$
=$${\frac{3}{5}}$$  $${\frac{3}{5}}$$倍が答えとなります。
「青いペンキは赤いペンキの何倍」についても同じように、15=9×□となり、□=15÷9=$${\frac{15}{9}}$$=$${\frac{3×5}{3×3}}$$=$${\frac{5}{3}}$$
$${\frac{5}{3}}$$倍が答えとなります。
(問3)
小数と分数が混ざった計算をしますが、全て一度分数にして考えます。
コーヒー:2.5=$${\frac{25}{10}}$$=$${\frac{5×5}{2×5}}$$=$${\frac{5}{2}}$$
牛乳:$${\frac{6}{5}}$$   
(コーヒー)=(牛乳)+□ より
□=(コーヒー)-(牛乳)=$${\frac{5}{2}}$$-$${\frac{6}{5}}$$ となります。
分母2と5の最小公倍数は、共通する数の組み合わせがないので、2×5=10となります。分母をそろえ計算すると
$${\frac{5×5}{2×5}}$$-$${\frac{6×2}{5×2}}$$
=$${\frac{25}{10}}$$-$${\frac{12}{10}}$$=$${\frac{13}{10}}$$
約分は13,10(=2×5) でできないので、分数の答えは$${\frac{13}{10}}$$L
小数での答えは、分母が10なので、特に通分もせずに答えがでて、
1.3Lとなります。

(5)整数と小数

 数字を10倍、100倍、1000倍した場合についてみてみます。
例えば5について10倍すると、5×10=50。100倍すると5×100=500、
1000倍すると5×1000=5000 となり、位が大きくなり0が追加されます。
10000倍等ケタが増えても、同じように考えられます。

次に$${\frac{1}{10}}$$倍(0.1倍)、$${\frac{1}{100}}$$倍(0.01倍)、
$${\frac{1}{1000}}$$倍(0.001倍)した時を考えます。
5×$${\frac{1}{10}}$$=$${\frac{5}{10}}$$=0.5
5×$${\frac{1}{100}}$$=$${\frac{5}{100}}$$=0.05
5×$${\frac{1}{1000}}$$=$${\frac{5}{1000}}$$=0.005
となり小数点第〇位の〇の数が大きくなっていき(1位=>2位=>3位)、0が小数以下に追加されていきます。
$${\frac{1}{10000}}$$倍(0.0001倍)等ケタが減っても同じように考えられます。

10倍などの増やす方向が計算でき、$${\frac{1}{10}}$$倍などの減らす方向も計算できると単位の変更がどちら側からもできるようになります。
kmをmに直す等、大きい単位から小さい単位に直す場合は増やす計算になります。
(例えば5kmをmに直す場合、5×1000=5000  5000mとなります。)
逆にmをkmのように小さい単位から大きい単位に直す場合は、
$${\frac{1}{1000}}$$倍などの減らす計算をすることになります。
(例えば5000mをkmに直す場合、
5000×$${\frac{1}{1000}}$$=$${\frac{5000}{1000}}$$
=$${\frac{5×1000}{1000}}$$    5kmとなります。)

5000mをkmに直す場合には、1000×(〇km)=(5000 m) と考え、割り算の考え方で〇=5000÷1000=$${\frac{5×1000}{1000}}$$=5   答え5kmと考えることもできます。
10倍や$${\frac{1}{100}}$$倍などの計算しやすいパターン以外はこの考え方のほうが考えやすいことが多いです。

[算数の問題]
(問1)
 2には0.001がいくつありますか。
(問2) 
500gをkgに直してください。その答えを小数と分数で表してください。
(問3)
$${\frac{18}{100}}$$LをmLに直してください。

(答え)
(問1)
0.001が2つあれば、0.002となるのでかけ算で考えればよく、
2=0.001×(いくつ分) という関係が成り立ちます。
2=$${\frac{1}{1000}}$$×□ の□に当てはまる数を考えればよいことになります。20,200等色々当てはめてみてもよいですし、
$${\frac{2×1000}{1000}}$$=2 と気づければ、□は2000だと思いつくこともできると思います。
(問2)
kgからgに直す場合1000倍するので、gからkgに直す場合
$${\frac{1}{1000}}$$倍します。
そのため 500×$${\frac{1}{1000}}$$=$${\frac{500}{1000}}$$ となり、小数の答えは0.5 kgとなります。
分数の答えは$${\frac{5×100}{2×5×100}}$$=$${\frac{1}{2}}$$ となり、分数の答えは$${\frac{1}{2}}$$kg となります。
(ちなみに約分するときは、素数のかけ算に直すと説明しましたが、10や100等はそのまま約分できることも多いので、いったん残して約分するという方法もあります。計算をしやすくするコツのようなものです。もちろんすべて素数のかけ算に直し消していっても同じ答えになります。)

割り算の考え方でもやってみます。
(〇kg)×1000=500g なので割り算の考え方で
〇=500÷1000=$${\frac{500}{1000}}$$ となります。後の計算は同じです。
(問3)
LからmLに直す場合1000倍します。
そのため$${\frac{18}{100}}$$×1000=$${\frac{18×1000}{100}}$$
=$${\frac{18×10×100}{100}}$$=180  答えは180mLになります。

[社会実践問題]
1ドルが200円の場合と100円の場合を比較します。
(問1)
1000円であるものをアメリカに売るとします。アメリカでは何ドルで買うことになりますか。1ドルが200円の場合と100円の場合、それぞれについて回答してください。
(問2)
50ドルの物を買うとします。日本では何円で買うことになりますか。1ドルが200円の場合と100円の場合、それぞれについて回答してください。

(答え)
(問1)
・1ドルが200円の場合
(〇ドル)×200=(1000円) という関係があるので、割り算の考え方で
〇=1000÷200=5  5ドルとなります。
・1ドルが100円の場合
(〇ドル)×100=(1000円) という関係があるので、割り算の考え方で
〇=1000÷100=10  10ドルとなります。
このように単位を変更(円からドル)する計算が、10倍や
$${\frac{1}{100}}$$倍等の計算しやすい形でない場合、割り算の考え方を使う方が楽に考えられます。

(問2)
・1ドルが200円の場合
(50ドル)×200=(〇円) という関係があるので、50×200=10,000
10,000円となります。
・1ドルが100円の場合
(50ドル)×100=(〇円) という関係があるので、50×100=5,000
5,000円となります。

1ドルが200円から100円になった場合、50ドルが10,000円必要な状態から
5,000円出せば買える状態になります。これは円の価値が上がったと考えられるので円高といわれます。その逆が円安です。

さらに問1で見たように、1000円の物を売る場合、1ドルが200円から100円になると、5ドルから10ドルになります。円高の時は、アメリカから見ると日本のものが高くなったように見えるので売れにくくなります。
その結果、円高の時は、輸出企業は儲けにくく、円安だと儲けやすいといわれます。

経済はつながっているので、実際はそんなに単純ではありませんが(原料を輸入しながら輸出してたり等)、このように経済を知るためにも算数は必要であるということを例を出して紹介してみました。




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