音楽と私。①

 音楽の話をしようとしておいてなんだが、私自身音楽に対する知識という物はそこまで深くはない。ただ曲を聴いて、リズムや歌詞が自分の好みに合えば、それを繰り返し聴くといったスタンスである。また、ライブに足を運ぶことも無く、どちらかというと電気を消した部屋で一人ヘッドフォンを耳に当てている方が私は好きだ。つまるところ、そこまで音楽に入れ込んでいるわけではないが、人並みに音楽というものに触れてきた、そんな人間だ。
 それがなぜ今日のエッセイのトピックに音楽を選んだのかというと、理由は単純で、今日何を書こうか考えていた時に音楽を流していただけだ。そうだ、今日は音楽について書こうか、そう思ったが吉日。少しの間お付き合い頂ければ幸いである。

 中学の頃、BUMP OF CHICKENというバンドの曲を聴いていた記憶がある。他にもコブクロやL'arc~en~Cielといったメジャーどころをよく聴いていた。高校生になると、今度は洋楽に手を出し始めた。U2やBon Jovi、the Cardigans辺りを聴いていたと思う。大学に入ると、ボーカロイドや歌ってみた等のネット上の曲、或いは洋楽の幅を求めMC SolaarやNTMといったフレンチHIPHOP。邦ロックも聴いていた、Syrup16gやTHE NOVEMBERS辺りは今でも聴いている。それから、小沢健二。

 さて、音楽のあらゆる初めてを思い出すことから始めよう。まず、私が初めて音楽という物に興味を持ったのは、間違いなくドラえもんの主題歌であろう。子供の頃、ドラえもんが好きで好きでたまらなかった私は、小学校に上がり初めてカラオケというものに触れた時も、ドラえもんのオープニングを歌った記憶が鮮明に残っている。我が家ではあまり音楽を聴くという習慣が無かったから、必然的に見ていたアニメから音楽に触れる機会を得ていた。そう言えば、当時叔父さんの車ではウルフルズが流れていたり、モンスターファームというゲームを遊ぶにあたって家にある古びたCDを漁ったりしたことも記憶にある。もっとも、その大半は曖昧で、はっきりと思い出せはしないのだが。

 とかく、小学生時代をドラえもんで走り抜けた私は、無事中学へと上がることになる。中学生にもなると、周囲には大人ぶる人間も出たりして、また当時はMステやカウントダウンTVと言った音楽番組がクラスの話題に上がることも多々あった。お昼ご飯を食べている時は放送室からBGMとして何かしらの曲がかけられていたので、必然的に音楽に触れる機会が増える。

 そんな中、私はまだドラえもんを見ていた。

 さて、このエッセイが音楽の話なのか、それともドラえもんの話なのか分からなくなる前に話を戻そう。ここまで読んで頂いている稀有な読者はお気づきだろうが、当時の私は周囲の人間と音楽話をするようなタイプではなかった。休み時間には本を読み、家に帰ればパソコンを触る、もちろん金曜日はドラえもんだ。典型的な陰キャと言っても過言ではない。
 そんな生活の中で、私はとあるチャットサイトを利用していた。そこには同年代の男女が多数いて、学校に馴染めないでいた自分が会話を楽しむことのできる場だった。当然音楽の話も出てくるのだが、何も知らない私にいろいろと教えてくれる友人が何人かいたのだ。そこで知ったのが、L'arc~en~Cielとコブクロだった。教えてくれた人が別々だったために、まったくジャンルの違う二つのグループを同時期に聴くことになっていたのだが、この二つのグループは、私が友人と初めて音楽の話をすることのできた、特別な存在だ。
 その時に初めて、誰かと話題を共有する楽しさを知ったような気がする。いや、実際にはもっと小さいころに経験していたのだろうが、今記憶をさかのぼると、その時の事が強く浮かび上がってくる。新曲が出ればそれを聴き、その感想をお互いに言い合う。そして自分なりにお気に入りの曲を探しては勧め、また私の知らない曲を勧められては聴いてみるを繰り返す。誰かに音楽を勧める時の、あの人はどんなのが好きなのかな、とか考えている瞬間は、今となってはあまり得られないだろう。ワクワクともドキドキとも言える、勧める事が楽しみで仕方ない感情に、その時の私は満たされていた。それまで人との関りを持つことが苦手だった自分が、音楽を介して誰かと交流する楽しさを知ったのだ。

 かくして私はコブクロを聴き、L'arc~en~Cielを聴き、また当時流行っていたBUMP OF CHICKENを聴き中学時代を過ごした。人と音楽を共有する楽しみを知った。だが、やはりというか、私はどうやら一人で過ごすことが好きらしい。高校に入り、もう少し幅を広げようとしてスウェディッシュポップへと手を伸ばしてからは、独自の路線を行く事となる。

 今日の所はこれでおしまいとしよう。あまり冗長になってしまっては仕方がない。次回に続く形で、いったんはこのエッセイを終えようと思う。
 高校生から今に至る音楽との付き合い方を、ただ淡々とつらつら綴っていく、次回もそんなエッセイになると思う。

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