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永劫戦争

ずむず…ずむずむずむ…。

腹の底にまで響く重低音と振動。
どす黒い瘴気に覆われた空を、燃え盛る炎の山脈が照らす。

ここは戦場。永遠に終わることのない戦場。
東の軍勢率いる鉄骨のジゴル。西の軍勢率いる姿無きメガンザ。二柱の神将の前に、兵の命は塵芥のごとし。今日もまた何万もの命が消え、そして翌日にはありとあらゆる世界から、また新しい兵士達が集められてくるのだろう。

死臭漂う塹壕の片隅で膝を抱えて座っている少年、インワンもまたそうして集められた一人だった。

ぽぅっ。

音とともに兵士の頭が爆ぜ、肉片に蠅が群がる。その様をインワンは冷ややかに眺める。

チッチ…

鳴き声めいた音をたてて、インワンの指先に甲虫が止まった。

「やぁチッチ。そうだね。そろそろこんなのは終わらせちゃおう…。」

彼は今日、この戦場の全てを終わらせることを決めていた。

かつて彼がいた世界。
人々は彼を怖れ、こう呼んでいた。忌むべき蟲使い。破滅のインワンと。

【「蠅の軍勢」に続く】

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