見出し画像

日進月歩 ~Road to MBA~#112

2021/5/19:ヒューマン・リソース・マネジメント1⑥
 水曜日は、山﨑先生という新しく着任された先生(キャリアデザインやヒューマンリソースの講義をご担当)の基で学ばせていただいており、6回目の講義となります(前講義#108)。本日は、「人材育成と経験学習」について、事例検討や講義、研究論文から紐解いていく内容となっています。

■事例検討:リカレント教育の事例(キヤノン・パーソル)

 この記事を読んで、学び直しやリカレント教育とはどういったものであるのか、実際にこのような教育が必要になった社会環境の変化や背景はどういったものがあるのか、について簡単にまとめてみました。

画像1

さらに、このように環境が変わっている中でも、リカレント教育や学び直しという制度が企業で導入が進んでいない理由や、コロナ禍における影響などをまとめています。

画像2

その上で、2018年10月に設立された「ソフトウェア育成施設(CIST)」に基づいた”キヤノンの事例”を把握した上で、私はグループディスカッションで議論いたしました(本回はIT企業2名・某新聞社1名・私の4名)。

画像3

・主体的な学びが新規事業創出の起因となる
・学ばせるだけでなく、社内で活かせる場を創ることが重要
・学ばせてあげるだけの環境が企業で用意できるか

が印象に残った内容としてあげられた中で、大企業に比べて中小企業での環境構築はなかなか難しいという課題面も浮き彫りになったように感じている。さらには、学んだ後にそれを活かす場があるのか、というもの重要な視点であり、先進的な事例が出てきている中で、実際に運用していくのは難しいといった声も多くあげられた。

■講義:なぜ企業内で育成が必要なのか?

 そもそも、このタイトルを聞いたときに、私は明確な答えをすぐに出せなかった。1997年のマッキンゼー・レポートによると「有能な人材の獲得こそが企業の競争優位に直結する」が起源となるタレントマネジメントという定義も存在している程、人材は重要なものである。
 企業内でよくあるOJTの取り組みにおいて、ある論文(「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査:独立行政法人労働政策研究・研修機構」)で面白い内容をご紹介いただきました。

画像4

OJTがうまくいっている、うまくいっていないが同等の割合で示していることが興味深い内容であった。新人教育のときによくやったなと思いながら、経験するだけで何かを習得できるではなく、実際に経験したことを振り返って自分用にアレンジしていたことを思い返していた。知識がない自分自身ではあったが、経験学習を知らない間に実践していたのだと気づかされた。

 経験学習モデル(デービッド・コルブ,1984)として、以下のような循環モデルが存在する。「実践」と「理論」を循環させているモデルであり、日々の中で繰り返し行っているものであるように感じられる。

画像5

 では、なぜ企業内で育成は必要なのか。それは、企業内におけるポジションによって求められるスキルが変わることがあげられている。トップマネジメント層(経営者)、ミドルマネジメント層(中間管理職)、ローワーマネジメント層(現場主任)において、求められるスキル➀コンセプチュアルスキル(概念化)、➁ヒューマンスキル(人間関係)、③テクニカルスキル(専門技術)の配分が異なっているのが、最も大きな特徴として考えられると感じた(ロバート・カッツ,1955)。

 このように求められるスキルが変化していく中で、企業内における育成は必要であると考えられており、研修や能力開発がフェーズによっておこなわれているのが現状であると認識する。どのくらい能力開発に費用をかけられるのか、学んだスキルが企業内にどれだけ還元されるのか、企業として考えるべき点はいくつも存在する。また、企業がどんなスキルを求めているのか、そのスキルをもった人材がどのくらいいるのかによって、企業内での育成プランや育成レベルが変化するようにも考えられる。
 私は個人レベルにおける学びには限界があることを思っている。共に学ぶ同士の存在が最も大きく、さらには学びへの自身の意欲や会社としての支援、たくさんの要因が重なり合っているように感じているため、とても深い内容であることも改めて感じられました。

■研究論文:経験学習の理論的系譜と研究動向(中原淳准教授)

 論文では「人材育成と経験学習」について、内容を取り上げている。まずは、自分自身でこの論文を読み解き、まとめる過程を経て理解を深めていった上で、先ほどの4名でグループディスカッションをさせていただいた。

画像6

画像7

画像8

 ここから分かったことは、学習における「経験」と「知識」のバランスが重要であり、経験学習モデルによって循環することが大切だと言うことであった。さらには、このモデルが人的資源開発の中心的概念のひとつになりうるということも示唆されている。様々な職種やマネジャー経験の事例が論文には書かれており、すべてにおいて経験と内省が繰り返されて循環される、人材育成におけるプロセスが存在していることが分かった。

 グループディスカッションでは、実際の企業として人材育成を実施する場合に、どんなことが必要になるかといった観点で議論が進められた。

・学習機会を設けるだけでなく、内省や支援する制度の両軸が必要となる
・評価軸や報酬制度を変化させる必要がある
・自律型人材を育成するためには、企業の方針を創る必要がある
・個人におけるキャリアプランの重要性
・企業側の環境整備が必要(育成モデル、資金、評価など)

育成するための実践研修とそれを支える環境面の整備が必要ということが議論から導かれた。新人研修の時によくある「メンター制度」もこれを支援する方法になることが会話され、それ以降もコーチング(対個人)やファシリテーター(対複数)などによって、内省を考えさせる機会を与えることが必要なのではないかと結論づけられた。
 人事面における「制度」と「運用」の両軸を考え、企業方針を定めることがより重要となり、今後は会社を選ぶポイントになってくるのかもしれないと感じられた講義であった。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
⚽チーム歴⚽
春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
⚽選抜歴・過去出場歴⚽
U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
👜ビジネス👜
株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
🏫学校🏫
春日井市立知多中学校/中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?