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SmartHRの人事が向き合う、人事組織のサステナブルの追求!

こんにちは。SmartHR人事企画室の副島(@tomosoe)です。先日発表した「SmartHR版サステナブル人事」をはじめます の記事をたくさんの方にお読みいただきました。ありがとうございました。

今回の記事では、2024年7月に行ったSmartHR人事統括本部の組織改編について共有したいと思います。体制変更に至るまでにあった旧体制での課題、体制変更の狙いの詳細を解説します。サステナブル人事を推進する人事組織のサステナブルの追求です!

なお、体制変更の概要についてはこちらのnoteをご覧いただければと思います。


SmartHRの人事戦略

私たちは2024年〜2025年にかけて、次の2つの人事戦略を打ち出しています。

  1. スケールアップ企業として、活躍する人材の確保と環境の整備

  2. 再現性を持って急成長を持続させられるサステナブルな組織基盤の構築

2030年には3,000人を超える人員体制を予定しており、この人事戦略の実現を最短距離で達成するとともに、事業成長に貢献できる人事であるべきと考えています。2024年7月の組織改編は、この人事戦略を実現するためのものです。なぜ以前の組織ではこれが難しいと判断されたのか、詳しく見ていきたいと思います。

組織は戦略に従う

まず、アメリカの経営史学者アルフレッド・チャンドラーの「組織は戦略に従う」という考え方に基づき、「戦略」が決まって初めて「組織」の形が決まるべきだと考えました。
さらに、近年、急速な組織拡大により、人事部門も大幅に拡大しました。(3年前と比べて人事メンバーが約4.5倍に増加)

この結果、いくつかの事象が生じていました。

事象

  • 現場からの依頼に迅速に対応できず、現場のスピードに追いつけていない。

  • 人事部門が現場に対してリーダーシップを発揮できていない。

  • 業務全体の把握が難しくなり、業務を自発的に進められない場面があり、いわゆる「ボールが落ちる」状況が発生している。

  • 業務の重複も起こっていた。

なぜこのような状況になってしまうのか、組織の在り方に向き合ったところ、次の課題が見えてきました。

課題

  1. 責任の所在が不明確なことによる組織の機能低下

  2. 役割定義不足

  3. 人事メンバーのキャリア形成の不明確さ

1つずつ見ていきましょう。

課題① 責任の所在が不明確なことによる組織の機能低下

この課題は、急成長する組織に起きがちな課題かもしれません。組織が急激に大きくなるため、マネジメント不足に陥り、兼任マネージャーが発生しやすい傾向です。この傾向は、会社全体でも発生しています。一般的に、兼任状態が続くと、どんなに優秀なマネージャーでも負担が増え、リソースが分散してしまいます。スパン・オブ・コントロール(一般的に1人が管理できるとされている適正人数は5~8人程度)の限界を超えてしまうのです。

また、一つのチームに大きな課題が発生すると、そのチームを優先的に対応する必要性が発生し、他のチームへの管理が手薄になりがちです。物理的な時間を増やすことは不可能なため、マネージャーはなんとか対応しようと努力しますが、それがさらに負担を大きくしてしまいます。

複数チームの兼任は、自身の専門分野外のチームのマネジメントを任されることもあります。前任者からの引き継ぎが十分であれば対応が出来るかも知れませんが、引き継ぎが不十分な場合は、マネージャーの負荷も更に大きくなります。他部門のマネージャーもサポートを試みますが、その他部門のマネージャーも兼任していることが多く、充分なサポートも出来ません。マネージャーは最善で取り組みますが、兼任による時間の分散と管理の難しさが煩雑になります。

このようなマネジメント状態における組織は、以下のような機能低下状態となってしまうのです。

これらの問題は、マネージャー個人の問題ではなく、兼任を続けざるを得ない組織体制に起因していると捉えています。
そこで、新しい組織では次のようなマネジメント体制に変更しました。

【旧組織のマネジメント体制】

  • 多くの兼任が発生

  • 機能型別組織(詳細は課題②へ)

【2024年7月からのマネジメント体制】

  • 兼任を解消

  • 「機能別型」と「事業部型をマトリクス型にした」ハイブリッドの組織(詳細は課題②へ)

(Bさんは採用中です。総務は別部門に異動しました。)

兼任状態を解消したところ、改編直後に次の効果がありました。

  • 責任を取る人(取れる人)が明確になり、メンバーのチャレンジを後押しできるようになった。

  • 方向性を明示して、「わからない、できない、となったら責任取るよ」というメッセージにより自走ができるようになった。

これらの事象、課題は急成長企業ならどの会社でも起き得ることかなと思います。その状態を続けていると兼任マネージャーには大きな負担をかけるだけでなく、会社全体に影響を及ぼしてしまうことを私たちが実感したものとなります。

課題② 役割定義不足

ボールが落ちる、業務の重複、現場からの期待に応えられていない事象については、「役割定義不足」の課題もありました。

例えば採用チームのリクルーター職には、採用の目標数値があります。これまでは「◯◯職を◯人採用!」の依頼を現場から受け取り、数値目標の達成がメインのミッションとしていました。目標数値の妥当性やなぜその人数が必要なのか?などを検証するような役割は明確にはなく、担当する現場のチームの採用数のリクエストに全力で応えることが中心でした。

その状態に対して疑問を持ち、自発的に担当チームに関与するメンバーもいましたが、旧組織では機能別型組織であったこともあって、採用チームと他の人事チームとの情報連携が弱く、双方で必要な情報の不足があることで適切に人事としてのサービス提供ができない状況がありました。人事メンバーのキャリア形成としても伸びしろがあるとは言えません。

そのため、新組織では事業部型組織も取り入れ、

  • 現場のニーズを把握し、

  • 現場を適切にサポートし、

  • 人事としてのリーダーシップを発揮する

これらの実現を目指していこうとしています。

また、新組織では新設した人事戦略部が横串の役割を果たし、「新たなるサイロ化」を生まないような設計を行いました。新組織の役割の定義も人事戦略部主導で再定義を図っています。

【策定中の定義リスト】

【ハイブリッド組織】

「機能別型」と「事業部型をマトリクス型にした」ハイブリッドの組織を採用することで、繰り返しになりますが現場のニーズを把握し、現場に適切なサポートを提供し、人事としてのリーダーシップが発揮できるサービス体制を確立していこうとしています。

課題③ 人事メンバーのキャリア形成の不明確さ

人事戦略の実現に向けて人事メンバー全員にヒアリングを実施したところ、「人事としてのキャリア」に対して不安を抱く声も寄せられました。課題②でもあった伸びしろの少なさを感じざるを得ない状況もあって、将来のキャリアパスが見えない、キャリアパスを十分に提示できていない状態でした。
課題①、②の解決によって、

  • チャレンジできる環境と場所が増えた

  • ポジションも増えた(一方で、業務が細分化されていることの課題は残っています)

  • 人事内のローテーションの促進

上記に加えて、人事外のジョブチェンジの機会も積極的に作り、課題③の解決に向けて走り出しを開始しました。人事メンバーのwell workingの実現を目指します。

なお、上記3つは一部の課題であり、この3つが解決できたら完璧な組織!というわけではありません。まだまだ解決していかなくてはならないことはたくさんあります。まずはクリティカルな課題を特定し、向き合うことで人事戦略の実現への第一歩を踏み出した状態です。

私たちが目指すこと

今回の組織改編によって、私たちは次のことを目指しています。

  • 人事戦略の達成が具現化される

  • 事業成長に人事が更に貢献する

  • 現場に対するサービスやリーダーシップが発揮され、共創パートナーとしての位置づけを確立

  • 戦略人事としてSmartHRとしての存在感を築く

  • 人事メンバーのキャリアパスへの不安が軽減され、well workingが実現される

  • 今後の会社全体の変化に対して柔軟に対応できる組織状態を維持する

これらのゴールにどこまで近づけたのか、2024年下半期(12月末まで)の成果を年明け頃に本noteで開示する予定です。

また、今回の組織変更に対し、2024年8月時点での人事メンバーの理解、期待についての意識調査を実施しましたので開示します。

Q.2024年7月の組織変更の目的は理解できましたか?に対し、98%が理解傾向
Q.自部門で起きていた事象、抱えていた課題は解消・解決できそうですか?に対し、84%が期待傾向
Q.新組織による人事パーソンとしてのキャリア形成について、70%が期待傾向

おわりに

組織変更から1ヶ月経過した時点では上記の状態でした。今後ますます理解度、期待度を上げ、「私たちの目指すこと」の実現に向かっていきたいと思います。

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組織改編PJメンバー
宮下 竜蔵
豊田 聡
日永 早希
藤井 直人

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