見出し画像

縄文杉【詩】

鹿児島本土から六十㎞の洋上
屋久島の地を
何時間もかけて分け入った森の奧に
その木はひっそり佇んでいる
縄文杉
数千年の歳月が作った巨木
仰ぎ見るほどに高く
何人がかりでも抱えられないほどに太く

でも
最初はほんの小さな芽だったんだ
どんな大木でも そうなんだ
最初はぼくらの足下にもおよばない
小さな小さな命の輝きから始まった
やがてその輝きは
気の遠くなるような時間をかけて
まぶしい命の輝きを放つ大きな存在へと
姿を変えた
初めからこうだったのではないのだ
数千年という歳月が作ったのだ
一年という期間はわずか
一日ならなおさらに
だが数千回の一年に
数百万回の一日に支えられ
今ここに
まぶしいほどに大きな一つの命に結実する

初めからこうだったのではないのだ
それなら
数千年の時間はかけられないけれど
ぼくらも積み重ねよう
一日一日のわずかでも絶え間ない努力を
昨日は今日を作り明日へとつながって
やがてぼくらを
一つの大きな大きな命へと
輝かせるだろう

この記事が参加している募集

卒業のことば

よろしければサポートお願いします。もし、御支援いただけたときは、大好きなみたらしだんご(コンビニで百円くらいで売ってるの)を食べて、また創作に励みたいと思います。