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【高校受験】不合格体験記と高卒学歴コンプ

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 「私は大学へ行くなら国公立か難関私立を目指すよ。」

 『へぇ〜、しゃわはすごいね!』

 「すごくなんてないよ(笑)大学にいくなんて当たり前じゃん!今のうちから予習に復習を重ねれば、誰だって合格できるから!」


 高1の春、新生活が始まり学生とサラリーマンが溢れる電車内で私は友達とこのような会話をした。

 中学の時はクラスの中でもまぁまぁ頭がよかった。第一志望には落ちてしまって滑り止めの高校に入ったけれど、そこまで偏差値は悪くなかった。

 最初の授業は簡単だけど、だんだん応用をきかせて難しくなる。高校ではあまり遊ばずたくさん学習して、大学生になったら夢のキャンパスライフを充実させるんだ。

 その期待と夢を胸に抱き、キラキラした私は希望を追い求めて高校に入学した。






 ……ごめんね、叶えてあげられなくて。

 高校受験で第一志望に不合格した理由

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 「あれ…番号………ないね。」

 中学の部活動で一緒に所属していた仲間と受験した。

 せーの!で番号を見つけるも、見当たらなかった。

 その瞬間以降のことは、もう覚えていない。


 後期試験も同じ高校を受験するも落ちた。

 あ、私……滑り止めの高校にいくんだ…。

 下を向きながら、地面をふらふらと歩く。嫌だ、帰りたくない、帰りたくない…家になんか。


 家に帰ると家族みんな私をそっとしておいてくれた。

 めちゃくちゃ悔しくて泣いた。

 「なんで……なんでだよ……。」

 泣いていたのはめちゃくちゃ勉強をしたからではない。


 勉強のしなさすぎだ。


 勉強しなくても、受験なんてなんとかなるって甘くみてた。

 確か、数学社会理科は70点くらいで…国語は50点…英語は30点くらいだった気がする。

 定期テストではいつも80点台、学年でも首位をキープしていた私が高校受験に失敗するなんて、プライドがズタズタに引き裂かれた。

 自分は頭がいいと思っていた。いや、頭はいいかもしれない。

 先生の言うことを聞いて期末テストはきちんとこなしていた。

 でも、それだけだ。私はそれだけの人物だった。

 定期テストが終わるとその範囲は放り投げ、次のテストの準備をしていた。

 もう、覚えていなかった。


 頭がいい事と、受験に合格するかは別物。

 それが、この失敗でよくわかった。


 塾に通えていたら、親がバカではなかったら


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 中3 3月卒業前

 『しゃわはさ、すごいよね。塾に行かなくても高校に受かったんだね。』


 「そんなことないよ。ミクだって塾に行って頑張ってたじゃん。」


 『・・・滑り止めの高校に行くことになったんだけどさ。私ね、親に塾に行けって言われ嫌々行ってた。

 塾では仲良くなった友達と遊んだり宿題の写し合いとか、コンビニでおやつ買ってきて食べたりして…

 それはそれで楽しかった。途中からは受験のために本格的でやり始めたんだけど……

 やっぱり間に合わなくて。親に塾の学費の為にいくら使ったと思ってるのって怒られた。

 私が行きたくて行ったわけではないけど、家族のお金…無駄遣いしちゃった。

 だから偉いよ、塾に行かなくてもしゃわみたいに頑張っていれば勉強できたんだね。』


 暖かな風が優しく私たちの髪と制服を撫でる。

 ミクから私へのお世辞と少しの悔しさが混ざっていたのが伝わった。


 そんなことないよ…っていったらますます傷つけてしまいそうで、なんて言ってあげたらよかったのかわからなかった。

 でも、心の中では私も悔しかった、塾…行きたかったから。




 私は小学生の頃から塾に行かせてくださいと親にお願いしていた。

 経済的に余裕がなかったから
『塾なんてね、お金を搾取する一つのビジネスなんだ!義務教育中は塾に行かなくたっていい!!』

 と母親にずっと断られていた。

 塾に行かなかったから、志望の高校に受からなかったんだって母親のせいにしていた。



 中学卒業後、母親は娘を塾に行かせてあげられなかったから志望の高校に落ちてしまったと近所中に話をした。

 そして母親は、話し終わった後家の玄関で



 「塾にいけなかったことが、志望校に落ちた理由になってよかったじゃん。塾にいかせて落ちたりなんてしたら、こっちが恥ずかしいもん。」

 と言った。どうしてこんなセリフが言えたのか、わからなかった。

 はらわたが煮えくり返り、私は母親の腹を思いっきり蹴った。

 泣きながら、大声で喚きながら髪の毛と衣服を引っ張って死ねばいいと神様に願った。母親も私を殴り返した。

 この時から、私の精神は破壊しきっててボロボロだった。



 こんな家庭に生まれてしまったことを、心の底から後悔した。

 未来の自分は奨学金を返せないという判断

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 『いいですか?我が校は大学進学を目指す高校であり…』

 「お前模試どうだったんだよw」「いや、やべぇって!英語とかボロクソだし、今回の数学むずかったわ〜」

 「そういえば○○先輩、国立の△△大学らしいよ!」「え、そうなんだ!すごいね〜、めっちゃ綺麗だし可愛いしほんと大学でもモテそう!」


 模試、偏差値、難関校合格……他の高校には負けない!我が校は県内1を目指す!

 大学進学こそ人生のスタートラインだ!という進学宗教高校で学年で1人だけの就職者となった。



 きっかけは高2の冬、とある夢を見た。

 私が大学を卒業しても正社員になれず派遣社員として点々と社会を彷徨う夢。

 今思えばコロナ不況を予知夢していたことになるのだろうか…当時はその夢が現実となることが怖かった。

 本当にそんなことになってしまうのか、YouTubeで検索すると関連する動画が何件かでてきた。


「大学進学の為に奨学金を借りたが、生活がカツカツで返済できない。正社員になれず、途方に暮れている。」


「自己破産を考えている。でも高齢の親が連帯保証人なってしまうのでどうしたらいいかわからない。」


「お金のない友達は結構水商売をやってるみたい、私もやった方がいいのかなって。」


 奨学金を借りて大学へ行き、正社員として就職して毎月返すことの大変さが目に見えてしまい、将来の恐怖のあまり私は絶望した。


 大学にいっても、自分なんか…自分なんか…


 大学への進学は進路として適切だと思う。

 しかし、本当の自分を大学へいってから見つけよう!なんて、未来の問題を先延ばしにしているだけで、幼い私が解決できないとも思った。


 動画内で紹介された難関校として有名な大卒者でも正社員になれないんだ…


 私なんかが…なれる訳ない。


 奨学金、返せないや…。



 どんどんマイナスな方向へ進んでいき、ストレスで受験のために買った単語帳と参考書を一気に捨てた。

 そして、とある考えがポンッ!と浮かんだ。


 (未来の私に借金を残すのは辞めて、残高0円から人生を歩もう。)


 思い立って就活を始める事にし、そこからとんとん面接まで話が進んだ。

 このネガティブな気持ちが原動力に変わって、内定をもらうことができた。


 高卒が決定し、学校のお荷物と化した私は静かに定期テストの勉強をした。

 周りの生徒のモチベを下げないでほしいと先生から私が高卒者であることを口止めされた。

 優越感に浸れたあの頃。受験からの解放…いや、将来のお金に対する不安を解消することができ、思う存分高校生活を楽しむことができた。


 もし、奨学金を借りていたらどうなっていただろうか…実に考えたくない。


 大学にいくのは当然、なんて信仰していた私が高卒として生きていくのは悪くないよっていうのは、同級生が知ったら本当におかしな話と思うだろう。

 就職か大学進学かを迷っている君へ


 この記事を読んで、へぇ〜こういう人生もあるのかと少しでも思っていただけたらとても嬉しい。


 大卒でないと社会に出たら厳しい状況になる、就活・転職では不利になるぞ!と周りの大人達に言われていて私自身もそう思っていた。

 そんなことはない、高卒でもうまくやっていけるものだ。職種にもよるけれど、高卒で正社員になれるのは若いうちだからうんと能力をつけるといい。不安であれば、働きながら資格を取ったり通信制の大学へいくのもいいと思う。


 もし君が、経済的に厳しく奨学金を借りるとなった場合、将来返済する設計を考えていなくちゃいけない。

 大学を出て、正社員になれるのか。毎月返済できる能力と給与を手にすることができるのか。途中で失業、けがや病気で返せなくなったらどうするのか。

 自信があるなら結構、返済できるかはやってみないとわからない!と思えるならよし。1ミリでも心配してしまうなら、辞めたほうがいいと思っている。

 私の母校では奨学金説明会が開かれて、パソコンのある教室で無理やり資料の申請、奨学金を借りるにあたっての作文と同意書を書かされた。

 私は怖くて途中で逃げ出した、闇金の取引者のように思えてしまってサインなんてできなかった。


 なんのために勉強をするのか。それは、社会に出てから勉強した知識を使うと言うより、会社の組織の一員として業務を無事に遂行することができるかどうかのために近い。

 だから、大学へいくのも専門的な知識を深めるためであって勉強が得意な人なら仕事もある程度はできると思う。

 仕事なんてみんな最初は初心者。中には大卒じゃないと初心者としての資格を与えない会社もある。

 そんな会社は無視、自分の能力を評価してくれる会社をひたすら探し、求めるといい。


 高卒でも、大卒でも、君自身が幸せな道に進めますように。


 Twitter:SwSw_girl

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