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咲くやこの花館

先月咲くやこの花館に行ってきた。
ビカクシダという熱帯地域原産の植物を育てており、植物園での立派な株を見に行きたかったからだ。
もともと好きな植物園だが、はっきりとした目的を持って訪れたことはなかった。

チケットを買って、入館すると、さっそく温室に入る。
扉を抜けるとすぐ、というより視界をふさぐように植物が現れる。フジのように垂れ下がっており、ちょうど小さな黄色い花が咲いている。すぐそばにイチオシ☆と書かれたボードがあり、今開花している植物の説明が書かれている。それによると扉のそばに垂れている植物は、「デンドロキルム・コッビアヌム」というらしい。お米が実った穂のようにみえることから、「ライスオーキッド」という別名があるとのこと。
入ってすぐ、ふむふむと感心していたら、そのそばには、本日のお目当て、ビカクシダが。

思っていた通り、大きい!
現地ではこんな立派に育っているんだろうな、と想像する。
これが見ることができてもう満足だと、思わず笑顔になる。

写真もぱしゃぱしゃ撮って、楽しんだ。
いろんな種類のビカクシダがあって、楽しかった。このために、咲くやこの花館に来たのだ。
やっぱり、ネットや本は生でみる喜びには勝てない。
それに、花やさんなどでは、育てやすい種類しか置いていない。
品種改良などで、簡単に育てられるようにしたり、市井の好みに合わせたりすることも、文化であり、面白いところでもあるが、原種を守ることはそれ以上に大切なことだ。すべての博物館は保存という役割を少なからず持っているが、植物園もやはり保存は大事な支えのひとつだろう。

ビカクシダに着目して温室を歩くと、実はいたるところで育てられていることに気付いた。意識しながらでないと、見ているようで見えていないということは多々ある。

温室は4つのゾーン、「熱帯雨林植物室」「熱帯花木室」「乾燥地植物室」「高山植物室」にわかれている(外部庭園もある)が、最初の熱帯雨林のゾーンですっかり満足してしまうほどの充実さだった。もともと植物が好きなので、植物に囲まれているだけで気持ちがよかった。
おすすめ☆を中心にビカクシダ以外の植物も楽しみ、ところどころにある説明を読む。おすすめ☆を探しながら見て回るのも楽しかったし、説明もわかりやすい。
このような工夫によって、学習機関としての役目もしっかりとはたしてくれている。とても勉強になった。

しかし、素人がひとりで見て回るだけでは、わからないことや見逃す部分はたくさんある。そして疲れる。
簡単にぎゅっと学びを得るには、解説ツアーに参加するのが1番だ。
自分一人ではどれだけじっくりみてまわってもわからない知識をアテンドの方がわかりやすく説明してくれる。
そしてなにより、咲くやこの花館では解説ツアーを毎日3回おこなっているらしい。
これはすごい。
土日祝日限定なら、まだわかるが、平日も含めて毎日というのは、それだけツアーにかける思いがあるのだろう。
ジャンルは違えど歴史系の博物館も、自然史系の博物館も、解説付きでなくては楽しめない部分は多少はあるものだ。できれば解説ツアーはおこないたいと思っている博物館はたくさんあると思う。そこで労力と結果をはかりにかけて日数を調整している。
そんな中、咲くやこの花館では毎日おこなっている。それは、博物館としての役割に、学習の場としての意味を強く持っているということだ。とても好感を持った。

また、小規模ではあるが、企画展をしており、わたしが行ったときは「コーヒーとカカオ」展だった。
これも、ライブ解説という名で、企画展を説明してくれた。土日祝限定だが、興味深い内容で、しかしパネルだけではわかりにくい部分をトークで解説してもらうことで楽しく学ぶことができた。
わたしは今回参加しなかったが、セミナーやイベントも企画展に関連しておこなっており、企画展の世界観にひたることができる。

あと、チラシなどの広告がいつもおしゃれで、行きたくなるようなデザインなのが素敵だ。
年パスを買おうか悩んでいる。
年に何度も行くかはわからないけれど、今後も定期的に訪れることは確かだ。

植物たちを輝かせるため、日々手をかけている人たちに敬意を。
人と植物が共に生きていく世界を目指して。

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