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【書評】人生の教養が身につく名言集/出口治明 三笠書房

本書は、古今東西の名作・名著の中から出口治明さんが選んだ名言を紹介している。

「はじめに」で「『この名言によって、私の人生は大きく変わった!』などと、びっくりするような出会いを期待しないこと。」と書かれている。
しかし、読書家で70歳を越えて現役の著者が選んだ言葉と解説。
必ず「刺さる」言葉が見つかるはず。

ここでは私に「刺さった」言葉を紹介。
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「不思議なものは数あるうちに、人間以上の不思議はない」
(ソフォクレス「アンティゴネー」)

人間ほどわからないものはない。
時には合理的な判断をせずに、感情に流される。
それによって世の中が動くこともある。
だからこそ、人間を学ぶことが大切で、全ての学問はここに通ずる。
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「困難なことは、自己自身を知ること。容易なことは、他人に忠告すること」
(「ギリシア哲学者列伝」タレスの言葉)

この言葉を見た時、安岡正篤さんの「自得」を思い出した。
大切なことは自分を客観視し、信頼できる人の言葉に耳を傾けること。
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「専門のことであろうが、専門外のことであろうが、要するに物事を自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため、たったそれだけのことです。そのために勉強するのです」
(山本義隆)

「勉強する意味」に対するストレートな答え。
まずはインプットが重要だが、そこで終わってはダメ。
そこから自分で考えて、行動することまでがセット。
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「私が人生を知ったのは、人と接したからではなく、本と接したからだ」
(アナトール・フランス)

変化は遥か格上の人と接した時に起こる。
その人物と手軽に接する方法が読書である。
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「力強いとは、相手を倒すことではない。怒って当然という時に自生できる力を持っていること」
(ムハンマド)

怒りを顔に出してしまう人は子ども。
それを自制するのが大人。
世の中子どもが多すぎる。
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「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」
(二宮尊徳「二宮翁夜話」)

渋沢栄一さんの「論語と算盤」に通ずる。
理念とお金の両方を追求することが本当の商売。
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とても読みやすい本であるが、ここで止まってはいけない。
自分なりの名言集を作れるまで勉強あるのみ。


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