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ちょっと前、ウチの奥さんとお蕎麦屋さんへ食事に行ったとき、メニューに「木の葉丼」というのがあって、ちょっと気になって食べてみました。カンタンに言うと、蒲鉾と青ネギを卵でとじたシンプルな丼で、おいしかったですね。

こういうのって、結構あるんかなと思ってました。ちょっと気になってたので、この機会にまとめてみました。

ちょっと歴史と様式の話から

丼物は、日本料理の中ではそれほど古い歴史を持つ食事形式ではありません。

室町時代に「芳飯」という料理が流行したことはあるそうですが、鰻丼の原型となる鰻飯が登場するのが19世紀初めの文化年間(1804~1818年)になってから。天丼や後に深川丼とも呼ばれるようになる深川めしの誕生は江戸時代末期以降と言われています。

近代に入って、明治初期には牛丼や開化丼、19世紀末頃には親子丼が誕生。大正時代の1913年にはカツ丼が生まれました。
丼物の様式は徐々に広がり、一般の人びとにも広く受け入れられ、さまざまな料理が丼飯として食べられるようになっていきました。

今でもごはんにおかずを乗っけて食べることをよしとしない、行儀悪いと言ってやりたがらない方もいますが、一汁一菜形式の食事の前は、いわゆる「ぶっかけめし」が主流だったようです。

江戸の町人文化が開花すると、短気で飾らない職人たちの食文化は広がりを見せます。人びとはぶっかけ蕎麦(後のかけそば)を常食とし、その他のおかずもめしの上にぶっかけていました。日本食の原形とも言えます。
おかずをごはんの上にかけた丼物は、今でも時間がかからず気取らない食事として好まれ、代表的な和食として、海外にも紹介されるようになりました。

丼もの、とにかくいろいろ紹介

冒頭「木の葉丼」のことを書きましたが、ここからはポピュラーなものから聞いたことのないんじゃないかと思われるものまで、まとめていきたいと思います。

●カツ丼 : トンカツ卵とじ。個人的には三つ葉が乗ってるのが好き。ドラマの取調室でもおなじみのぜいたく丼。

●ソースカツ丼 : トンカツとキャベツの千切りを乗っけておソースをかける。こっちのほうが定番のカツ丼になってる地域もあります。

ソースカツ丼

●天丼 : 天ぷらの種類はいろいろ。最近はリーズナブルなお店も多く、外国人のみなさんにも大好評。

●かき揚げ丼 : 立ち食い蕎麦屋さんで見かけることも多いですね。より庶民派の天丼といった感じ。

●牛丼 : 源流は「牛鍋」。1899年に創業した吉野家では、当時「牛鍋ぶっかけ」と呼ばれてました。

●豚丼 : 焼くのと煮るのと両方ありますね。個人的には、十勝帯広系の豚バラ焼き丼が好みです。

●うな丼 : 鰻の蒲焼きを乗せた丼。私が史上もっとも好きな丼ですね。毎日三食一年中これでもいいぐらい(笑)。

●ひつまぶし : 刻んだ鰻の蒲焼きを、薬味やお出汁でいただきます。はじめていただいたとき、「こりゃおいしい」とびっくりしたメニューのひとつ。

ひつまぶし

●親子丼 : 大定番丼のひとつ。東京・人形町「玉ひで」さんのトロットロの親子丼が忘れられず…。

●他人丼 : 牛肉や豚肉の卵とじ。牛玉丼、豚玉丼とも言います。親子丼の「親子」じゃないやつですね。

他人丼

●中華丼 : ごはんに乗った「あんかけ肉野菜炒め」って感じ。お店によって具材は結構違いますが、私はうずらの卵が入ってないと、結構がっかり。

●天津飯 : ご存じ「餃子の王将」人気メニュー。カニやエビの卵とじあんかけが基本ですが、あんかけにはいろいろなお味のバリエーションも…。

●麻婆丼 : 麻婆豆腐のフィニッシュで、自然とオン・ザ・ライスになってることも…。こばんにぴったり抜群の相性。

●イクラ丼 : 醤油漬けのイクラをごはんにたっぷりと。ぜいたく海鮮系丼の代表格。見た目も抜群の美しさ。

●ばくだん丼 : マグロ、納豆、卵、オクラなどを盛り、醤油とワサビで食す。混ぜることを爆発に例えたという説、混ぜたものを爆薬に見立てたという説あり。

ばくだん丼

●木の葉丼 : 蒲鉾と青ネギを卵でとじたシンプルな丼。しいたけや三つ葉、たけのこなどをあしらう場合もあります。

●若竹丼 : たけのことわかめを卵でとじる、関西ではおなじみの味。関東地方ではほとんど見かけないレアメニュー。

●衣笠丼 : 油揚げと青ねぎを卵でとじる、京都発祥のご当地丼。字違いの「絹笠丼」や「信太(しのだ)丼」と呼ばれることもあります。

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●ハイカラ丼 : 近畿地方ではおなじみの丼。天かすや具がほとんど入っていないかき揚げを卵でとじる。他地域では「たぬき丼」と言われることも。

●深川めし : アサリ、ハマグリ、アオヤギなどの貝類とネギなどの野菜などを煮込んだ汁物をごはんに掛けたものや炊き込んだもの。別名「深川丼」。

●鎌倉丼 : 海老を出汁で炊いたものや海老の天ぷらもしくは海老フライなどを卵でとじてごはんの上に乗せたもの。鎌倉長谷周辺のご当地丼。

●江ノ島丼 : 甘めのお出汁で煮たサザエの身を刻んだものを、卵と玉ねぎでとじ、ごはんの上に乗せたもの。明治末期から大正初期にかけて島内で誕生。

●柳川丼 : 柳川鍋(開いたドジョウと笹掻きにしたゴボウを味醂と醤油の割下で煮て卵でとじる)をごはんに乗せた丼。

●海鮮丼 : さまざまな魚介類をふんだんに入れた、大定番のぜいたく丼。地域ごとにウリのトッピングあり。心躍るメニューのひとつ。

海鮮丼

●巴丼 : 北海道・函館の朝市でおなじみの海鮮丼の一種。ウニ、イクラ、ホタテの、うれしい三つ巴。イクラをイカに変えたり、バリエーションもあり。

このほかにも、カレーをお出汁でといた「カレー丼」、ハンバーグと目玉焼きの「ロコモコ丼」、煮た鮭とイクラで「はらこ飯」、マグロオンリー定番の「鉄火丼」、まぐろととろろで「やまかけ丼」、刻んだネギとトロで文字通りの「ネギトロ丼」、ナマあり釜揚げありミックスありの「しらす丼」、ぜいたくにローストビーフ乗せの「ローストビーフ丼」、ハワイ風の「ポキ丼」などなど、たぶんまだまだあるでしょう。

要はなんでもアリってことでしょう。

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