性犯罪被害について解説する理由

性犯罪被害者側の弁護士として10年以上仕事をしてきました。

この春からネット上では、性犯罪に関する判決を巡って、弁護士とそうでない人との論争が目立ちます。正直、論争を通り越して単なる攻撃にしか見えなかったものもあります。

私も法曹ですから、罪刑法定主義はわかります。法曹でない人が罪刑法定主義上無理な主張をなさっているのには「それは無理ですよ」と言わざるを得ません。

しかし、法曹は、法の支配の下、法に仕えているだけです。法律は、国民の多数決で作っているのですから、普通の人々の普通の感覚には敬意を持って接する必要があると思っています。

弁護士の専門性を理由に、非法曹を、強い言葉で非難するのは傲慢と感じますので、私にはできません。
知らない人が多数だからこそ、私達は専門的な知識技術を売って、仕事が成り立つのです。非法曹の知識不足を非難するのは、自分の職業を否定することであると思っています。

他方、非法曹が、過去の経験や誤った知識を述べ、それがインターネットで広まることにも危機感を覚えました。

20年前に犯罪被害者基本法が制定され、今、第三次まできた犯罪被害者基本計画の影響、平成29年7月の刑法改正の影響もあって、警察・検察・裁判所の性犯罪被害者への対応は、格段に良くなっています。

もちろん、今までの対応が酷すぎたのは事実であり、今の状態が良いとは思っていません。
しかし、ファクトフルネスの表現を借りるなら「悪い」ことと「良くなっている」ことは両立します。

今、被害に遭って、被害申告を迷っている人が、古い情報や誤った情報に触れて、被害申告を諦めることがあってはならないと思っています。

そこで、私は自分の専門性を、罪刑法定主義、刑法177条178条の構成要件、刑事訴訟法のルール、事実認定のルールを説明することに使おうと思いました。

という訳でよろしくおつきあいください。

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