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なぜ事業継承は○○代までにするのが鉄則か〜調査結果と実例で考える事業継承のあり方〜

さてさて、高校の頃からまちに関わっていると、おじいちゃん、お父さん、息子といった三代に渡ってお付き合いするということも少なく有りません。最近話題の「事業継承」なるものも幾度となくみてきました。

突然親がなくなってしまい事業継承となるもの、計画的に事業継承をされていくもの、親が会社の調子を悪くしてしまって事業継承になるもの、様々なパターンはあります。うちの父親が家族(親兄弟)でやっていた事業は、社長をしていた祖父が亡くなったことで閉じたパターンです。

そもそも事業はビジネスでしかないので、儲かればやればいいし、儲からなかったら閉めたほうがというのが私の考えでもあり、うちの親の仕事も祖父の死亡と共に累積黒字の状態で閉じたのは結果として大変よかったなと思っています。ま、祖父が事業継承なんて全くちゃんと考えていなかったというのがありますが。笑

今日は事業継承や事業売買の可能性について整理します。

○ 日本においてネガティブに捉えられる事業売却

事業継承というのもありますが、事業自体を起業し、そして売却するというパターンも存在をしています。事業自体を売買するということですね。どうしても日本だと家業的な意味合いが強くなると赤字でもだらだらと継続しないと親族や近所の人たちが白い目で見られるからやるとか、黒字だけど別のことやりたいから事業を人に売り渡すみたいなことは魂を売るくらいに言われたりします。

しかし本来であれば、立ち上げてある程度順調なところまで事業を持っていくことができたら、次なる経営者にバトンタッチして進むというのも普通にあってよいわけです。というのも、そもそもそんなに事業立ち上げて軌道にのせていける人はたくさんいるわけでもありません。立ち上げある程度まで持っていける人は連続してどんどん事業を作り売却していくというスタイルをとるのがよいと思っています。

日本ではどうしても事業継承すると「自分の立場がなくなる」とか、事業売却すると「あの人会社売っちゃったらしいせわよ」とネガティブに捉える人が多くいます。いやいや、調子がいい会社だからこそ売れるのです。調子が悪い会社は誰も買いたくないですからね。笑

あとはこれは事業継承も同様で何やら晩年現役でやって、死ぬ時に事業継承みたいなことが当たり前といった考え方があったりもしますが、天皇陛下でさえ生前継承されているわけでこれからは計画的に事業継承を事前に行うか、もしくは事業売買を積極的に、ポジティブに捉えるようになるのが大切です。

どんどん事業を起こし成長させ、次にいくというサイクルを早めていくことが地域活性化においても大切。最近ではFAAVO(今はCAMPFIREグループになっていますが)を創業した斎藤さんが、次なるサービスとして事業継承、売買のマッチングプラットフォームを準備しています。応援ですね!!

○ 高齢化し続ける社長の平均年齢

帝国データバンクの調査によれば、社長の平均年齢はこんな感じであがってきています。ほぼ還暦ですね。社長。笑

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https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190110.pdf

まぁ年とってたらダメなんてこともないし、今の時代は60代もまだまだ若いというのはありますが、重要なのは前述の通りもし挑戦が可能ならば、さっさと事業継承、事業売却をどんどんやって、同じことやっていないで別の事業に取り組んだほうがいくほうがプラスなわけです。

○ 実は事業継承したほうがいいタイミングは統計的に明瞭

結論からいうと、事業継承事案の分析によれば、2019年版「中小企業白書」にも「新経営者の年代別に見ると、30代以下への事業承継では承継の翌年から成長率を押し上げる効果が明確に観察されており、ほとんど効果が確認できない40代、50代への事業承継とは対照的な結果となっている」と分析されています。

ま、統計によっては違いはあるのですが、基本本調査をみると売上高においては年代別でみていくと、相対的に30-40代への事業継承が功を奏しているのが分かりますね。

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総資産をみていくと30代以下がぐいぐい伸びてて、まぁ当たり前ですけど若いから積極路線で投資しているのでしょうね。

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まぁこう見ていけば、若いからといって任せられないどころか、むしろ若いうちに事業継承しとかないと、どんどん会社の存亡的に厳しくなる、少なくとも次なる成長をもたらしてもらうには手遅れになってしまうというのがあります。

先代が70-80代になってから次に事業継承なんていったら、もう息子は40-60代とかになっているわけでありますからあかんですよね。死ぬまでやっとるなんていったらマジで息子還暦突破とかになるので、大変なことです。

○ 事業継承前に社会経験ではダメ。起業・新規事業成功経験をつけるのが大切

私の周りを見ていて30-40代で事業継承して成功収めている人をみていると、よくある「一旦東京の会社に勤務させて」というよりは、むしろ「自分で起業させて会社を軌道に載せていくorそして売却する経験」であったり、もしくは「自分の会社に就職させて新規事業を任せて、ちゃんと既存事業を超える柱を作らせる」といったあたりが大切だなと思っています。

まず、単なるリーマンで経験積んでもほぼ生きていない人は多くみています。というかむしろそこにいったら、別に戻って事業継承という話にならないことも少なく有りません。笑

むしろ自分で事業起こしたら、その会社が育ったら別の役員とかに株を売却して離れたり、会社ごと売却したり、もしくはその会社でもともとの家業を買収していくというスタイルもあったりします。何よりこれは経営者としての力がついていくので、もともとの家業も屋号を残し、より発展させていくことは十分に可能になったり、事業改革に取り組んだりして調子が悪かった本業を再生したりできるからです。

もう一つは、下手にリーマン生活させるよりは、自分の会社に入れるものの、現場での仕事も見ることができるほうがプラスだったりします。が、最も重要なのは、ここで単に現場をさせたりするだけというのは絶対にNGということです。ちゃんと新規事業とかを任せて成功させるという挑戦する経験をさせることが大切です。ここでやはり大きな実績をあげれば、周りの従業員も認めることになるし、親としても安心して事業継承できたりします。既存事業ばかりではなく、やはりゼロから事業を作り出していくという経験をさせることが大切なわけですわ。何か現場の部長や専務させながら、青年会議所のお付き合いだけさせるとかは最悪ですね。笑 もちろん地元付き合いも結構ですが、事業挑戦力のほうが大切で付き合いだけで会社は存続しません。

10-20代でどんどんこういう経験をさせて、30代前には事業継承というのができたらベストじゃないですかね、と思うところです。周りを色々とみている中ですが。

となれば、10代で高校生くらいになったら自分たちの会社の役員に入れて、仕事も一定任せながら株とかも買わせていくという流れを作るのは必然だなと思うところです。そこで新規事業やったり、もしくは自分で会社を作られたりとかをどんどん経験させる。んでもって事業成功させたら売却市場とかを形成させて現金化し、次の事業にとりかからせるといった具合になると、より地方での事業はよいな、と。

○ 地方起業は都市部の若者の前に、地元企業の継承者たちこそ立ち上がるべき

最近はわざわざ都市部から何の資産も地元にない若者を引っ張ってきて地元で起業しろーみたいな話になったりしますが、その前に地元で資産などを多数持つ企業はまだまだあるわけで、その継承者たちにどんどん挑戦させ、失敗も適切にさせながら、成功者を生んでいくほうが大切と思うところです。

どっちにしても年寄りになってから事業継承は愚の骨頂であり、どんどん若いうちに経験させて早いうちに事業継承。親世代はまた別の事業やったり、もしくは会社が調子良ければ息子たちが会長だ顧問とかにしてくれて悠々自適な生活に必要なお金は出してくれるわけです。むしろ時間ができたら付き合いなども積極的にやりながら、次世代の社長にかわりネットワークを構築して話を通したりとか、年代による役割はあるわけです。そっちにいくほうが実は家業の調子はよくなっていくのもありますね。

10-20代で自分での事業立ち上げ経験、失敗も行いながらも最後に成功までに導く経験をつけさせて、20代後半〜40代前半には事業継承は完了させる。先代はまだまだ若いから別の事業や付き合いで家業を応援するといったのが適切でしょう。

死んでからでは次の代が苦労してても手伝えないですからね。笑

ぜひ事業継承の経験がある方、事業売買の経験がある方は本記事とともにご自身の体験をSNSでシェアいただければ幸いです。


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