見出し画像

リンク

このところ『The Good Ancestor』の翻訳三昧行に入っていて、それ以外のことがまったく手につかない。毎日10時間以上の翻訳を、来る日も来る日も続けている。翻訳の仕事はマラソンのようであり(マラソン走ったことないけど)、一度途切れると最後まで翻訳仕事をやり切れる気がしないので、どうしてもこの勢いでやってしまわないといけない想いに駆られている。このnoteマガジンでも、5月半ば頃までは、この「The Good Ancestor」の話題が続くと思うけれど、訳文先出しキャンペーンを楽しんでもらえればありがたい。

幸いにも内容がとても興味深いから、飽きることなく集中力を持って続けられるけど、そうでなければ、景色の変わらない校庭で数百周、マラソンの距離を走るような苦行になるだろう。今、三分の一を過ぎたあたりで、最初の山場を迎えている感じがあるが、完走した後にきっと楽しく読んでくれるはずの、未来の読者のことを思い浮かべながら、それをモチベーションに走り続けている。

というのも、本自体が「目に見えない人のことを思い浮かべて、それをいかに自分事とするか」についてひたすら書かれているのだ。翻訳作業は、1ページ1時間もかけて読書するようなものなので、否応なくその感覚が段々と身についてくる。

ふと、僧侶の仕事は「リンク」を作ることではないかというインスピレーションが降りてきた。

思えば、僧侶の仕事というのは、これまでも神仏という目に見えない存在や、今は亡き家族や先祖とのつながりを作る手助けをしてきた。そして今は、時代の要請として、まだ生まれぬ未来の世代とのつながりを作ることが重要になりつつある。

それらが「目に見えないつながり」を作る仕事だとすれば、もう一つ、これから大事になってきそうなのが、「目に見えるつながり」を作る仕事だ。

ここから先は

1,133字

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじ…

"Spiritual but not religious"な感覚の人が増えています。Post-religion時代、人と社会と宗教のこれからを一緒に考えてみませんか? 活動へのご賛同、応援、ご参加いただけると、とても嬉しいです!