読了★4「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形」

(稲田豊史・著。光文社新書。2022/4/12発売)
2022/5/7(土)夜読了。honto電子書籍にて。

以前からちょっと気になっていた書籍というか現象だったのだが、4月下旬だったか、立て続けに著者がテレビで自著のテーマを紹介しているのを見かけ、これは早めに読んでおかないとと思い、急ぎ電子書籍で買った。

過去から変化しつつある現象の存在をとらえて、それを分析したり、意見や仮説や提案のようなものを表していて、
何かの現象に対してこういうアプローチをするんだよ、という手法として参考になるとも思った。
きちんと「歴史は繰り返す」的なこともおさえていて、結局、世の中は変化するし、倍速視聴はその一瞬間時代の行動なだけかもしれない。

本書が完全に「倍速視聴」を解読したとまでなわけではないとは思うけど、背景も含めて一定の仮説を提示できているし、
これがきっかけというか、「今、こういう人が増えていて、これからもさらに変化していく」ということをしっかり記録した意義がとても大きいと思う。

本書がなかったら、状態がひずみのまま世代間ギャップでしこりやあつれきとなったかもしれないが、
本書のおかげであらゆる人に倍速視聴の背景の一端は理解されるというか、モヤモヤはいくらか晴れると思う。

倍速視聴をしない「好き」なものに、落ち着いてリアルタイムで没頭できる、そういう軸のようなものを持てると楽しいかな、と思います。自分自身を大切にしてあげるというか。
あとは、倍速視聴的な思考から人間同士のコミュニケーション能力や寛容さが失われたりすると怖いですね。いろんな人がいるのは仕方ないから、どこかで諦めないといけないのに、それができなくなってしまわないか心配。
あと、そういった点も含めて、改めて教養や教養的行動が大事としみじみ思います。

余談としては、著者が私とほぼ同年代で、オタク的なものも含めて通ってきた時代の温度感がとても共感できたのも、楽しくすらすら読めた一因かも。
(あと、Wikipediaで見たら、愛知・春日井、明和、横国、というのも微妙にツボった。)

https://www.amazon.co.jp/dp/4334046002/ref=cm_sw_r_cp_api_i_V4WAWKXBDZY8WXCYHGQE

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