男2人×女1人の日常。突然の冤罪
時間は17時。まだ夕飯には早い時間。でも、私たちはなんだか飲みたい気分だった。
あ、いつもか。居酒屋って18時からオープンするお店が多くて、私と慎吾は17時から開いているお店を探してぬるんっと入店する。
けれど、私は知っている。私は酒の神に愛された女。外れたお店に入るわけもなく、大当たり。時間が早いからちょっとつまみながら飲んでほろ酔いぐらいで帰るつもりが、おつまみもお酒もおいしくて、ついつい長居しちゃう。
梅雨は明けたとニュースでは言っていたのに、まだまだ雨雲さんは上空をうろうろしていてなんだかじめっと蒸し暑い。そんな日の乾杯はやっぱりビール!体は炭酸を求めているけれど、気持ち的には日本酒を飲みたい・・・!という私の気持ちを慎吾は汲んでくれる。慎吾はビール、私は日本酒を注文して、最初の3口程ビールを貰う。うまい!!
体の炭酸欲を満たしたところで、私はすぐさま日本酒に移行する。くー―――!心が満たされる!
初めて入るお店だったけれど、日本酒に合うおつまみが多くて、ついつい日本酒が進む。慎吾も二杯目からは日本酒を飲み、一緒にすいすいと体に収めていく。
ぽきぽき。男性って指を鳴らす人多くない?慎吾も例にもれず、よく指を鳴らす。ぽきぽき。―――っっっ!慎吾が途端に変顔をする。私は思わず慎吾の顔を凝視した。
「え?どうしたの?どっかぶつけた?」
「いや、この間からなんだけど、左の中指、多分、折れてる」
思わず、日本酒を吹き出しそうになった。
「え?何?どうゆうこと?」
「この間からなんだけど、俺、指をぽきぽき鳴らしちゃう癖があるんだけど」
ええ、存じ上げてますが。
「この間から左の中指を鳴らそうとするとめちゃくちゃ痛い。だから多分、折れてる。もしくはヒビ入ってる」
「そんな事ある!?何か心あたりないの?どこかで突き指したとか」
「それが、ないんですよ。多分、誰かにやられた」
「「・・・・」」
「それさ、指を気づかれずにこっそりやるって、私ぐらいしかできなくない?」
「うん、だから俺、なんかしたかなぁと思って」
やめて、私の腹筋はもう限界よ。
「病院行こうかなと思ったんだけど、そうなると何か心当たりありますか?って事になるじゃん。何もないって言うと、不審がられて警察で事情聴取って事になって、そうなると翔英が大変な事になるじゃん。だから耐えてる」
「冤罪やめろー!!」
もう、腹筋が崩壊したよね。よくもそんな淡々と話せたよ。
あー笑った。今日もお酒がうまい。
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