「いま、商業空間づくりで、どんなことがテーマになっているのですか?」その3 〜植物


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↑こんな緑の見える場所で、よくブログを書いています。やはり緑が見えると、集中力が上がりますね。


いつもご愛読いただき、どうもありがとうございます。
「商店建築」2021年3月号は、大特集「ストリートカルチャー新時代のショップデザイン」です。
https://www.shotenkenchiku.com/mailm/?id=00264


さて、このnoteを読んでくださっているあなた。
あなたは、インテリアデザイナーさんでしょうか。
おそらく、何らかの形で空間設計にたずさわる方々ではないでしょうか。
 
「いま、商業空間づくりで、どんなことがテーマになっているのですか?」
クライアントから、打ち合わせや雑談の中で突然そう聞かれて、即答できますか。
 
「できる!」と答えたあなた。
このnoteを読む必要はありません。
「即答できないなあ」「ちょっと考え込んでしまうなあ」とお答えになった方だけ、続きを読み進めてください。


私たち編集部は、日々の取材活動を通して設計者、店舗オーナー、ディベロッパーの皆さんとお会いします。
「いま、商業空間づくりで、どんなことがテーマになっているのですか」とよく聞かれます。
けれど、短い雑談の中でそれを丁寧にお話しするのは難しい。
ならば、全部このnoteに書いておこう。いつでも参照していただけるように。
そう考えて書きました。

10分で読めます。


第1回のテーマは、【デジタルテクノロジーと人間の居場所】。
 https://note.com/shotenkenchiku/n/nfadff6378679
第2回のテーマは、【素材感】。
 https://note.com/shotenkenchiku/n/nd768fbcbe771
今回のテーマは、【植物】です。

植物があると、理屈抜きに、気持ち良いですよね

今回も、本日の結論から先に言ってしまいますね。
それは、「植物があると、気持ち良いよね」ってことです。
すみません、シンプル過ぎますね。
けれど、植物の魅力は、理屈抜きに、直感的に気持ち良さを感じられる、という点ですよね。
そして、「樹木や草花がキライ」という人は、少ないのではないでしょうか。
つまり、万人に受け入れられる。
 
そういう、キラーコンテンツなんです、グリーンって
そういうわけで、今回は、気持ち良く軽い感じで書きますので、コーヒー片手に、屋外テラスやお庭でグリーンに囲まれながら気軽にお読みいただけたらと思います。

「東京エディション虎ノ門」

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まず、グリーンに囲まれる気持ち良い空間デザインの事例を、昨年開業したプロジェクトの中から5件ご紹介します。
今や、「グリーン無しに空間デザインを考えることはできない」と言えるほど、グリーンは重要な要素になっています。


まず、虎ノ門に開業したばかりのホテル「東京エディション虎ノ門」
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3471
31階のロビー、バー、レストランが一体となった広々した空間には、大型のプランターが多数置かれています。実際に行ってみると、草をかきわけてロビーに入っていくイメージです。そして、鬱蒼とした草に囲まれて、ソファラウンジやバーがある。そんな空間です。
ここでは、おそらく、木や草は、単に空いたスペースに置くものではなく、空間を構成する要素の一部として捉えられています。ですので、もし、草木が無い状態でこの空間を見たら、物足りないように見えてしまうはずです。それほど、グリーンがいま、主役として扱われています。
なお、プロデュースは、あのホテルの仕掛け人として世界的に有名なイアン・シュレーガー氏。空間デザインは、隈研吾氏が手掛けています。

「東京エディション虎ノ門」の詳細は、「商店建築」2021年2月号にてご覧ください。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=379


「白井屋ホテル」

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続いて、群馬県前橋市にオープンした「白井屋ホテル」
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3470
昨年訪れた空間の中で、最も感銘を受けたものの一つです。
設計を手掛けたのは、建築家の藤本壮介氏。
この空間の魅力は、「アート」「空間」「植栽」が絶妙なバランスで融合していること。そして、これが建築という人工物でありながら、まるで自然環境の中を散策しているかのような自由な空間体験を来訪者に感じさせることです。
これは、現場に行かねば味わえない、唯一無二の空間体験だと感じました。
「自然環境」のように感じさせる大きな要因は、直線的でない自由で有機的な動線や、天井の高さにあります。と同時に、鬱蒼とした植栽も、「自然環境」の中にいるような空間体験を生み出すことに一役買っています。
これは、読者の皆さんにも、ぜひ一度訪れていただきたいプロジェクトです。

「白井屋ホテル」の詳細は、「東京エディション虎ノ門」と同様、「商店建築」2021年2月号にてじっくりご覧ください。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=379


「グリーンスプリングス」

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次は、東京・立川にオープンした「グリーンスプリングス」
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3407
「グリーンスプリングス」は、単体の建物ではなく、複数の建物が集まって新街区を生み出す、巨大なプロジェクトです。
これは、エポックメイキングなプロジェクトと言えます。
いま、商業空間をつくる際に、最も重要なのは、「モノを売る前に、人を集めよ!」という観点です。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=376
そのことは、「商店建築」2021年1月号の新年特集において、多くの事例を集めて紹介しました。

「グリーンスプリングス」は、まさに、そのことが実現されています。その方法は、使える容積率を犠牲にしてでも、敷地中央に大きな公園を設け、グリーンに覆われた豊かで気持ち良い空間を生み出し、誰もが集える空間を生み出すという方法です。
文句なしに気持ち良い都市公園が生まれています。
芝生広場、ビオトープ、ベンチ、カフェなどがあり、老若男女たくさんの人が思い思いの過ごし方をしています。
何かを買う予定がある人も、ない人も、「とりあえず、あそこに行ってみよう」と思える。そんな空間です。
では、どうして、こんな贅沢な空間が成立したのか。それを知らずに、この奇跡的なプロジェクトを表面的に真似しようとすると、「絵に描いた餅」で終わります。プロジェクトの背景を、「商店建築」2020年12月号で詳報していますので、ご覧ください。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=375


「玉川髙島屋S・C 本館グランパティオ」

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続いて、「玉川髙島屋S・C 本館グランパティオ」
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3350

百貨店の1階ロビーを、グリーンと書物とソファで満たした、非常に気持ち良い空間です。
公園のような気持ち良さ。いや、公園を超えてますよね。エアコン効いてますから。
こんなに気持ち良くしてしまったら、お客さんが長時間滞在してしまうんじゃないか。
と心配になるほどですが、これこそが、今の時代の潮流なんです
「玉川髙島屋S・C 本館グランパティオ」の詳細は、「商店建築」2020年10月号のグリーン特集にてご覧ください。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=372


「ミヤシタパーク」

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最後に、渋谷の「ミヤシタパーク」
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3380
施設内の店舗や共用空間にノマドワークしやすいスポットがたくさんあるので、大好きで、よく行きます。

4階のレベルに、鉄道の線路沿いに広がるリニアな都市公園があります。
ここに芝生広場が広がっています。
さらに、公園の上に、アーチ状のフレームがかかっていますが、植物が伸びて、ここに絡みついてくると、もっと緑に覆われた公園になるはずです。
随所に座れる場所やカウンターが設置されていて「人間のための居場所」が多いのも、素晴らしいですね。
また、ミヤシタパークと一体になった商業施設「レイヤード」では、一部が屋外モールとなっているため、ここから、目の前の明治通りの樹木を感じることもできます。

「MIYASHITA PARK」の詳細は、「商店建築」2020年11月号でご確認ください。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=373


なぜ、グリーンが重要なのか (まとめ資料付き)


では、なぜ、グリーンが、いま店づくりにおいて重要なのか
これは、第2回【素材感】の中で書いたことと同じです。
第2回に、長々と、以下のような話を書きました。
時代の大きな流れとして、いまや私たちの生活は、効率性を是とする企業システムに全面的に覆い尽くされている。その反動で、「人間的なもの」、つまり「自然なもの」「不均質なもの」「アナログなもの」「生身のもの」を求めている
近年、人間味のある素材感や、植栽の重要性が増しているのも、そうした背景によるでしょう。


というわけで、グリーンが、商業空間づくりにおいて、重要性を増していいる今、そうした事例を読者の皆さんと共有したいと考えて、編集部では、以下のような、まとまった資料をつくりました
もはや、グリーンは、インテリアを構成するエレメントの一部です。
この流れに乗り遅れないでください。


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2020年10月号 グリーン特集
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=372

増刊号 グリーンイズ 1、2
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=336
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=360

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今後も、グリーン溢れる空間がつくられていきます


国内外を見渡すと、まだまだ今後も、グリーン溢れる空間がつくられていきます。
例えば、23年完成予定の「神宮前6丁目プロジェクト」(平田晃久氏による設計)や、28年の完成を予定する大阪駅北側の「うめきた2期地区開発事業」でも、4万5000平米の都市公園を含み、豊かなグリーンをまとった複合建築が生まれます。
アメリカでも、アマゾンがバージニア州に第2本社ビル「The Helix」を建設予定で、これが大量のグリーンと一体化した二重らせん形状のビルです。
商業インテリアでも、単体の建築でも、都市開発でも、今後もグリーンが重要な要素になっていくことは間違いないでしょう。


今日も、お忙しい中、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
またお会いしましょう。
もし、少しでも役に立ったと感じてくださった方は、「いいね」と「お気に入り登録」お願いいたします。〈塩田〉




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