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遅すぎた緊急事態宣言の完全解除、そして残念ながら無駄だった自粛

連日ニュースを賑わした新型コロナウイルス(COVID-19)だったが、本日の諮問委員会でも緊急事態宣言解除が妥当と判断され、今夜解除が正式に発表された。これで明日からは晴れて"緊急事態"ではなくなる。COVID-19が世の中から根絶された(そんな日は一生来ないとは思うが)訳では無いが、ようやくこの自粛、自粛で疲れ切ったムードに光が見えた。

世間を本当に大きく騒がせた事件だっただけに、この機会に自分が感じている違和感や、少し調べたデータについてまとめておきたいと思う。

最初に断っておきたいのだが、感染症の専門家ではないし、統計の専門家でもない。一般のビジネスマンが普通に、そこいらに落ちているデータを見て思ったことを書き並べているだけなので正しいこともあれば、誤解があることもあるとは思う。おかしいと思うことがあれば是非コメントなど頂きたい。

1.解除のタイミングは妥当だったのか?

5/14に39県での解除、続いて1週間後の5/21には関西3府県、そしてその4日後の本日5/25に東京を含む関東圏4県および北海道の解除が発表された。正直、遅かった。データを振り返りながら、何を根拠に「遅かった」と思っているのかを書いていく。

今回は自分が済む東京都のデータをもとに確認する。ここで扱っているデータは都内の最新感染動向から引用しているので、オリジナルデータはそちらを参照頂きたい。(ただし、データ変更やサイト停止などの影響も加味して画面ショットを一部利用している)

新規感染者の報告件数推移(累計)
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5/14:5074人、5/21:5133人、5/25:5160人(5/24 5152 + 5/25 8)という数の推移だけをみても、明らかに違和感がある。上記のように累計のグラフにすれば明らかに高止まりしているのだ。マスコミに併せて新規感染者を基準に記載したが、私はもともと新規感染者だけを追っても仕方ない、と思っていたしTwitterなどで発信もしていた。

ちなみに検査実績件数は高止まりはしていない。もちろん感染が疑われる人も減っているはずなので検査件数自体も緩やかに減っていっているが、感染者数と比べてどうだろう?明らかに感染者数は減っていると言っていいのでは無いだろうか。

検査実績件数(累計)
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私がきちんと把握しておきたいと思っているのは入院患者数。こちらは下記の通り、順調に下方に推移している。5/14:831人、5/21:655人、5/24:517人。ちなみに新型コロナ対応の病床数は東京都で3300。このオーダーに対して、5/14,21,24の減り方が判断に影響したと言えるのか?とてもそうは思えない。

入院患者数
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ただ上記は5/11までのデータに、宿泊療養者、自宅療養者を含んでいる。だとすると減少傾向が見えなくても仕方ない。逆にいつから計上していたのだろう、そしてそれは緊急事態宣言とどう因果関係があるのだろう。邪推は止まない。

極めつけは重症患者数だろう。2000近くはあると言われている人工呼吸器設置数を考慮すると、今は5%にも満たない利用率。これでもまだ"緊急事態"と言われて信じるあなたは立派なコロナ脳。

重症患者数
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結論、緊急自体宣言の解除はどう考えても遅すぎる。逆に他に何のデータに配慮していたのか、東京都や国は今回起きた騒動の教訓・反省として、きちんと開示していただきたい。そしてももしも万が一、そこにロジカルな理由があったとしたら、その指標こそが公開すべき指標なのだから。

2.何故、緊急事態宣言解除が遅れたのか?

これを推測するためのデータはさほどない。ただし、これはみなさん知っておくべきだ。

東京都選挙管理委員会事務局HPより
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都知事選の告示日が6/18にある。選挙は7/5。

小池氏の出したロードマップは
・ステップ1:5/25 →学校など
・ステップ2:6/8に判断 →集会場など
・ステップ3:6/22に判断 →パチンコなど
 →ライブハウスなどはまだ先

ロードマップの出口は選挙中に重なる。選挙活動は良いか悪いかさておき、握手をしたり、演説をしたり、密を伴う活動となる。これらの活動に制限をおき、自らの再選を楽なものにするという戦略があってもおかしくはない。

また、出口戦略に向かう途中であることアピールし、自らの指導力をアピールする狙いもあるかもしれない。私は別に小池支持でも不支持でもない。ただ、こういう日程と重なっていることを有権者は知っているべきである。

3.結局コロナってなんで収束したの?

私が緊急事態宣言解除が遅すぎる、と考えているのにはもう一つ理由がある。解除を早めて欲しいというのは、もちろん経済への影響を考えて、である。

欧州や、アメリカで発生しているのは大変な事態で、文字通り「緊急事態」だ。そのため多少経済に打撃があろうが仕方ない。ただ今回少なくとも日本は明らかに死亡者数は少なく、医療崩壊までもまだ若干の余裕があったのではないかと考えている。

その状況を経済を止める判断をさせたのは世論だし、それを煽ったマスコミが少なからず後押ししただろう。マスコミは視聴率を稼ぐモデルだから、日本だろうが海外だろうが関係ない。とにかく炎上したり、恐怖に慄いたり、メディアを観てくれればそれで良いのだから。
(本当はマスコミのみなさんに言いたい、視聴率取れたって経済が打撃うけたら広告収入下がるからね、と)

話は少しそれたが、経済の打撃をこれだけ被ってまでやった、「自粛」が効果があったのだろうか?ということだ。

せっかくなのでデータを集めて少し検証。ドコモさんのモバイル空間統計を利用してみた。マスメディアなどで「今日の人出はxx.xx%でした」と言ってるアレの元ネタ。普段は有料だが、緊急事態前後の数字をここで公表してくれている。

東京都なので、新宿のデータをサンプル。コピペで面倒なのでまとめた集計はやめたので、どなたかに是非やって頂きたい。

モバイル空間統計は「前年大型連休との比較」、「昨年同月との比較」、「感染拡大以前との比較」「宣言前との比較」「前日との比較」などがあるが(この時点で意図的な数字操作の匂いを感じるはさておき)、昨年のデータの比較では実際に密になる人の推移が分からない。

なので「前日との比較」を選択。「前日からどれだけ人出が推移していくか」=「蜜に接触した人の数の推移」だろうと考える。まずは単純に日付毎に出したグラフが下記。

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当たり前だが、人出が減ったってすぐに感染者は減らない。潜伏期間が2週間であることを考慮し、2週間ずらしてみる(2週間前の人出推移と比べて感染者がどう推移するか)

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もう少し相関でてしまうかもなぁと思ったが、やはり予想通り全く相関は無さそう。つまり、人出が増えようが減ろうが関係なかった。この数字を見せられたら自粛を余儀なくされた業種の方々、怒りを覚えませんか?ということ。

不要に政治を煽るつもりは全くないのだが、自分たちがやったことへの責任として、データを分析し公表すべきだ。どうせ国も都もやってくれないので自分で手軽にやれるところはやってみた。

もちろん東京全体の感染者数と新宿だけのデータをみても意味は無いだろう。だが、それでも何の数字も持たず映像だけで恐怖を煽ったり、数字による検証をしないマスコミよりはマシではないだろうか。

このアホな結果一つが、賢い人達の分析のきっかけにでもなればと思う。もっと正しい結果があって、自粛が正しかったならそれはそれで良い。考えない人たちが一番悪い。

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