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金子侑司についての考察

『日本で1番、積極的なランナーは誰か?』

という問題があったならば、難しいかもしれない。答えは、西武ライオンズの金子侑司だ。金子侑司は2019年シーズン・セパ両リーグを通じて盗塁企図数が1位の選手だ。

□テーマについて

この記事を書いている私は、他球団ファンであるにも関わらず、なぜ金子侑司について書こうと思ったかと言うと、2016年の53盗塁で盗塁王になったのに続き、昨年の2019年シーズンも盗塁王になり、リーグも違う選手で見る機会は交流戦くらいしか無かったものの、気になったのでデータを見てみると最大の武器となる足を生かすなら”こうするべきでは”という点がいくつも見つかったからだ。

・他球団ファンから見た金子侑司

金子侑司という選手をはたから見ると、やはり第一にでてくるのが”足の速い選手”という印象。その次に出てくるのが、”そこそこ打てる”だったり”スター性のある選手”という印象だ。

やはり今年からつけることになった『背番号7』もスター性のある選手にしか着こなせない、似合わない部分があるが、春季キャンプの金子侑司は早くも自分のモノにしているようにさえ見える。

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□西武ライオンズの現状

・秋山翔吾のメジャー挑戦

西武ライオンズの1番バッターといえば秋山翔吾。2015年にはワンシーズンの安打記録となる216安打を放っている。その後も、2017年から昨季まで3年連続で打率3割を記録し、侍ジャパンにも選出され続けている**日本を代表する安打製造機。  **

現在の辻監督の前任の田辺監督時代から西武の1番打者を任されていた。辻監督が就任すると2019年にはキャプテンとしてチームを連覇に導き、まさに西武の顔だったと言えよう。

しかし、この西武の顔であり、キャプテンであり、絶対的な1番バッターだった秋山翔吾がシンシナティ・レッズに移籍してメジャー挑戦することになった。

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・辻発彦監督の提言

西武ライオンズの絶対的な1番打者だった秋山翔吾のメジャー挑戦に伴って、空いた”1番センター”の穴。辻監督は秋山の移籍が決まった年越し直後の時点でこの穴を金子侑司で埋めると提言した。

https://www.nikkansports.com/baseball/news/201912250001015.html

そこでデータを見てみると気づいた事があったということもあるが、よりチームの1番センターとして責任感の増す金子侑司がもっと楽に盗塁王を獲る方法があると考えた。  

□盗塁王をもっと楽に獲る方法。

・ここ数年のデータ

今回は、”走り方について”や"滑り方について"と言ったような技術的な物ではなく、過去数年のデータを見て盗塁王をもっと楽に獲る方法を考えていきたい。

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①四球率の低さ

2018年の四球 数の34はパ・リーグ32位の記録。更に、2019年の49はリーグ23位の記録。2019年は133試合出場に対して、49四球といかに少ないかが分かる。

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②選球眼指標の悪さ

選球眼の良さ悪さを表す指標〈IsoD〉は2018年に[0.080]、2019年には[0.074]を記録した。2019年の[0.074]の記録は規定打席到達者29選手の中で22位の記録だ。

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③三振の少なさ

2019年の三振数がパ・リーグ規定打席到達者の29選手中26位の少なさ。少ない三振率で3年間安定した成績が出せている。

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◇データから分かる決定的特徴◇

ここで①②③のデータから分かる金子侑司の決定的な特徴が浮かび上がってくる。”早打ちバッター”という事だ。つまりは、ボール球が4球来る前に打ち《①四球率の低さ》、ボール球に簡単に手を出し《②選球眼の悪さ》、ストライクが3球来る前に振る《③三振の少なさ》確率が高いバッターという事だ。

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□この特徴のネガティブな側面

これまで3つの特徴から金子侑司が早打ちバッターという特徴だということが分かった。ここからはいかにして”早打ちバッター”という特徴がネガティブな側面になるのかが分かる。その前に2つのデータを見てみる。

①低迷する打率

過去3年間の打率データを見てみると、2017年に[.272]とある程度の成績は出しているものの、2018年、2019年とチームは連覇しているもののお世辞にも良い成績とは言えない。

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②出塁率の低さ

2019年の率[.324]は規定打席到達者の29選手中26位の成績。2018年の率[.303]は2019年に比べて更に低い。

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□結論

ここまでのデータを振り返ると

・選球眼が悪い
・打率が低い
・出塁率が低い
・積極的に振れるバッター

というのが特徴的なバッターと言える。  

2019年の盗塁企図数がプロ野球1位を記録した金子侑司。前提として、盗塁する絶対数になる出塁数を増やせば、企図数も増え、盗塁の数が増えるという考え方で考える。

まず〈選球眼が悪い〉〈積極的なバッター〉という2つの特徴は、普通の場合、積極的なバッターとして高い評価を受けるが、この選手の場合、打率が低い。なので結果的に、自分の苦手なコースやボールに積極的に手が出てしまっているという印象になっているのが現状だ。

この事から結論を言うと、ストライクボールををよく見極め、自分の得意なコースの球を打つ事を心がける事、それによって打率が上がる事、四球の数が増える事が出塁率upに繋がり、走れる絶対数が増える事で盗塁数も必然的に増えてくるという事が私の言いたかったことだ。 

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□終わりに

このテーマにした理由は、最初にあるようにデータを見た時にいくつも驚いた事があったからだ。しかし、このテーマと全く関係の無いところでもまた、驚くデータを見つけたのでここで紹介したい。

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走塁技術を抜きにした”走力”の良さ悪さを表す指標である〈spd〉の成績が[5.699]でなんとパ・リーグ6位だったのだ。金子侑司といえば、日本野球で見ても最も足のスペシャリスト的イメージの選手の中の1人だったのだが…。ここから言えることは憶測になってしまうが、走力が無かったとしても本人の努力で身につけた走塁技術で盗塁王までいきつけたという事のように感じた。最初は、チャラチャラした印象の選手だったものの、三振した時の悔しがり方、努力で身につけた走塁技術。"本当は物凄い努力をしている選手なのかもしれない"と気付かされたような気もした。去年の2019年シーズンを見ると、打撃では今ひとつなものの、足は投手がバッターと戦う神経を削られるほどプレッシャーをかけられる超一流の物があるので、成績を見ていると、辻監督の9番起用というのはとても納得できるものだったが、秋山の抜けた今季は1番打者としての活躍、盗塁王に期待したい。

□お願い

こちらが2つ目の記事投稿でした。良いと思った方は、スキ、フォローをどんどんして頂けると今後の投稿の励みにもなります。お願いします!

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