ショートショート落語書庫

ショートショート落語の本棚です。

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  • 第二回ショートショート落語『春はサリンジャーを読ませない』

    ショートショート作家×落語家。ショートショート作家がテーマに沿って書き上げたショートショートを落語家が落語にして演じる「ショートショート落語」。 今回のテーマは「風」。 各ショートショート原稿は下記公式noteよりお読みいただけます。 是非ご来場前にご一読いただき、ショートショートが落語になる時どのような変化をするのかお楽しみください。

  • 第一回ショートショート落語『ミヌエットは静かに落ちていく』

    2021年12月22日に行われた第一回ショートショート落語会『ミヌエットは静かに落ちていく』のまとめです。台本や音声でお楽しみください。

最近の記事

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第二回ショートショート落語『春はサリンジャーを読ませない』終演後アフタートーク

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      【音声】第一回ショートショート落語『猫の死にざま』作・堀真潮 演・三遊亭遊七

      • 【最終稿】第一回ショートショート落語『猫の死にざま』作・堀真潮 演・三遊亭遊七

        数か月ぶりにじいさんの家に来た。 このじいさんは家族が仕事や学校で居ない間、ずっと一人で縁側に座っているんだ。 俺は家族が居ない時にしか、ここに来ない。 いつだったか孫だというちんちくりんな女の子二人に「猫ちゃん猫ちゃん」と追い回されたからだ。 追いかけまわされるのはともかく、猫だからわかりにくいと思うが、 俺だって本当はじいさんと同じくらいのじじいなのだ。 『ちゃん付け』はちょっと辛い。 「よお、じいさん」 「ノラ公かい、久しぶりだねえ」 このじいさんは、俺が人間の言葉を話

        • 【原作】第二回ショートショート落語『先輩の風』作・田丸雅智

          巷に初々しいスーツ姿が目立つ季節が訪れると、やたらと張り切る輩がいる。 先輩風を吹かせる者たちだ。 彼らは入社してきた新人に向かい、社会人とはかくあるべきと持論を説いたり、講釈を垂れ流したりする。傍から見ると痛々しい限りなのだが、右も左も分からない新人たちは、これが社会人かと圧倒される。  ある大手の会社においてもそれは例外ではなく、新人に先輩風を吹かせる者たちが毎年必ず現れた。しかし、その会社の人間たちは世間のそれとは少し毛色が違っていて、特異な力を持っていた。新人に説教を

        第二回ショートショート落語『春はサリンジャーを読ませない』終演後アフタートーク

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        • 第二回ショートショート落語『春はサリンジャーを読ませない』
          3本
        • 第一回ショートショート落語『ミヌエットは静かに落ちていく』
          7本

        記事

          【原作】第二回ショートショート落語『吹き流し』作・洛田二十日

           また何やら媼さん拾ってきたものだから、せいぜい襤褸(ぼろ)切れか何かだろうとみてみれば、どうにも襤褸切れか何かであった。少し角度を変えて眺めてなお襤褸切れであるからに、ここは媼さんに理由を訊ねなければならない。  「かわいそうだったもので」。  さて草履やら笠やらを編んでは門前町の市に売ることを生業に早四十年。正味、昨今において藁草履などてんではやらず、暮らし向きは悪くなるばかり。そんななか媼さんが襤褸切れにまで憐憫の情を示し、白濁した眼をきらり輝かせ「うちで面倒みてあげま

          【原作】第二回ショートショート落語『吹き流し』作・洛田二十日

          第二回ショートショート落語『春はサリンジャーを読ませない』

          第二回ショートショート落語『春はサリンジャーを読ませない』

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          【音声】第一回ショートショート落語『隙間猫』作・洛田二十日 演・立川かしめ

          【音声】第一回ショートショート落語『隙間猫』作・洛田二十日 演・立川かしめ

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          【最終稿】第一回ショートショート落語『隙間猫』作・洛田二十日 演・立川かしめ

          猫を飼っている方ならご存知かもしれませんが、猫というのは本当に、信じられないくらい細い隙間からでも入ってくるもの。あんまりに自由に隙間を出入りするもんだから「猫液体説」なんてものも浮上しているみたいで。令和の今だってそうなんですから江戸のボロ長屋なんてまあ隙間だらけ。さぞ野良猫の侵入に困っていたでしょう。 さて、舞台はそんなボロ長屋、ある日のこと大工の八五郎という男が朝から何やら急いでおりました。 八「ったくこれだから独り身ってぇのは困るねぇ。誰も起こしちゃくれねんだから

          【最終稿】第一回ショートショート落語『隙間猫』作・洛田二十日 演・立川かしめ

          【初稿】第一回ショートショート落語『隙間猫』作・洛田二十日 演・立川かしめ

          猫を飼っている人なら知っているかもしれませんが 本当、信じられないくらい細い隙間からでも入ってくるもの。あんまりに自由に隙間を出入りするもんだから「猫液体説」なんてものも浮上しているみたいで。令和の今だってそうなんですから江戸のボロ長屋なんてまあ隙間だらけ。さぞ野良猫の侵入に困っていたようで。 さて、ある日のこと大工の八五郎という男が朝から何やら急いでおりました。 八「ったくこれだから独り身ってぇのは困るねぇ。誰も起こしちゃくれねんだから……仕事に遅れちまうよ。しょうがな

          【初稿】第一回ショートショート落語『隙間猫』作・洛田二十日 演・立川かしめ

          【初稿】第一回ショートショート落語『猫の死にざま』作・堀真潮 演・三遊亭遊七

           数か月ぶりにじいさんの家に行った。  家族が仕事や学校で居ない間、じいさんは一人縁側に座っている。  俺は、じいさんの家族が仕事や学校で居ない時にしか、この家には来ない。  一度、孫だという女の子二人に「猫ちゃん猫ちゃん」と追い回された事があるからだ。  猫だからわかりにくいとは思うが、俺だって本当はじいさんと同じくらい年寄りだ。  追いかけまわされるのはともかく、ちゃん付けで呼ばれるのは辛い。 「よお、じいさん」  俺が声を掛けると、じいさんも「ノラ公かい、久しぶりだね」

          【初稿】第一回ショートショート落語『猫の死にざま』作・堀真潮 演・三遊亭遊七

          第一回ショートショート落語『ミヌエットは静かに落ちていく』

          第一回ショートショート落語『ミヌエットは静かに落ちていく』