【最終稿】第一回ショートショート落語『猫の死にざま』作・堀真潮 演・三遊亭遊七
数か月ぶりにじいさんの家に来た。
このじいさんは家族が仕事や学校で居ない間、ずっと一人で縁側に座っているんだ。
俺は家族が居ない時にしか、ここに来ない。
いつだったか孫だというちんちくりんな女の子二人に「猫ちゃん猫ちゃん」と追い回されたからだ。
追いかけまわされるのはともかく、猫だからわかりにくいと思うが、
俺だって本当はじいさんと同じくらいのじじいなのだ。
『ちゃん付け』はちょっと辛い。
「よお、じいさん」
「ノラ公かい、久しぶりだねえ」
このじいさんは、俺が人間の言葉を話