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【司法試験攻略法】未修者こそ民法は手を抜くべき理由

こんにちは。司法試験合格戦略家の中山勝利です。
本Noteでは、ロースクール未修コース、社会人(以下「未修者」と総称します。)の方向けに「司法試験で優先して得意にすべき科目」について持論を書きたいと思います。持論にはなりますが、かなり自信を持っています。私も未修者ですが、持論を実践した結果、ロースクール未修者コースの3年間でH28司法試験に2桁合格(+H27予備試験合格)しています。

1.はじめに

未修者は既修者に比べてトータルの学習時間が短いというハンデがありますので、既修者とも五分で戦うためには戦略的に学習していく必要があります。本Note及び今後のNoteをお読みいただき、「未修者には中山勝利の戦略論があるからハンデはない」と思っていただければ幸いです。

今回紹介する中で、「得意な科目」とは、問題を読んで検討したときに、「回答の道筋を立てられる科目」をいいます。「この条文について検討させたいんだな」「この事情はこのあてはめに使うんだな」というのが代表的ですが、さらにいえば「この小問はこの分量書けばいいな」「最後の小問まで答えるためには何分残しておかないといけないな」というものです。なお、最後の2つはロースクールはもちろん、予備校や答案添削でも性質上教えづらいところなので、これらを鍛えるだけでも点数は上がると思っています。

それでは、さっそく得意にしていくべき優先順位についてご紹介します。

2.結論

結論からいうと、以下の順番です。
①選択科目→②憲法→③民事訴訟法→④行政法→⑤会社法→⑥刑事訴訟法→⑦刑法→⑧民法

※本Noteは優先して得意にすべき科目を紹介するもので、学習の順番を紹介するものではありません。民法の勉強を後回しにしていいわけではありません。例えば、民法の学習をしてから民事訴訟法を学習した方が効果的です。


以下、理由をお話しいたします。

①司法試験のスケジュール

司法試験は毎年、以下のようなスケジュールで行われています。
1日目:選択科目、憲法、行政法
2日目:民法、民事訴訟法、商法
(中日)
3日目:刑法、刑事訴訟法
4日目:短答試験(憲法、民法、刑法)

実体験ですが、初日が一番緊張しますし、前日もよく眠れません(私は憲法で統治が出題される夢を見ました…夢を見たので眠りが浅かったのだと思います。)。他方で、想像がつくと思いますが、初日につまずくと2日目以降に「取り返さなくちゃ」と焦り、失敗しやすくなってしまいます。そのため、初日の科目を得意科目にしておくことは非常に重要です。司法試験のスケジュールだけから考えても選択科目、憲法は必然的に優先順位が高くなります。


②既修者の苦手な科目を狙う

得意・苦手は人それぞれと考えがちですが、そんなことはありません。私が優先して得意科目にすべき科目として挙げた上位4つの科目(選択科目、憲法、民事訴訟法、行政法)のうち、憲法と民事訴訟法は多くの方が苦手です。

憲法と民事訴訟法は、既修者の方でもきれいな答案が書ける方は少ないです。この2つの科目はいわゆる「何を書けばいいか分からない問題」が生じやすい科目です。そのため、この2つの科目を得意にしておくと、相対的に点数は上がります。

既修者でも「何を書けばいいか分からない問題」が発生しやすい理由にはいくつかあると考えていますが、司法試験向けの学習が難しいからではないかと考えています。例えば予備校の答案添削はあまりアテにできません。というのも、添削者の多くは合格者のバイトですが、この方々も「何書いていいか分からない問題」を脱却できていない場合が多いからです。また、他の科目と違って作問しづらいので、そもそも司法試験レベルの問題が出題されづらいです。

加えて、憲法でいえば、知識としてインプットできてもそれを論述の形で表現することが難しい出題形式という特徴があります。すなわち、憲法の場合、「A(人権を侵害された人)の立場」「B(国や都市)の立場」「あなたの立場」と3つの立場で書かされることが多いですが、知識のインプットだけではひとつの立場で論述するのが限度です。また、ある論点のA説とB説を暗記して、A説をAの立場、B説をBの立場として書けばよい、というわけでもありません。

また、民事訴訟法でいえば、予備校の議論は司法試験では通用しません。例えば、旧司法試験の問題を未だにテキストや演習問題として使っているところがあると聞きますが、そんな問題は出ません。旧訴訟物理論と新訴訟物理論の違いなんていう論点も出ません。司法試験の出題者は学者と実務家が組み合わさった委員会ですが、民事訴訟法上の論点はあまり実務では問題にならないので、民事訴訟法の問題作成過程ではどうしても学者の意見が強く反映されます。他方で予備校講師はほとんどが実務家なのでギャップが生じています。なお、ロースクールでは2年次から既修者と未修者のクラスが混ざりますが、私の周りの既修者もロースクールでもう一度学習をやり直していました。

選択科目と行政法は、「既修者でも多くの人が苦手な科目」とは言い切れません。しかし、これらの科目は、ロースクール既修者もロースクールに入学してから学習を始める方が大半です。また、予備校のカリキュラムでも最後の方に設定されている場合が大半です。そのため、この2つの科目は既修者と未修者の間に学習時間の差(ハンデ)が少ないフェアな科目です。逆に既修者は民法、刑法に関しては学習時間を十分にとり、しっかりと仕上げてくるので、未修者にとって民法や刑法で勝負するのは相対的にアウェイでの勝負になります。


③誰でもそこそこ書ける科目は優先順位が低い

これにどの科目があてはまるかというと、刑法と刑事訴訟法(捜査)です。というのも、これらは論述の体系がはっきりしており、また、問題中の事情がどの要件の検討に必要な情報化が分かりやすいので、論述が書きやすいという特徴があります。そのため、多くの人がそれなりの答案を掛けてしまうため、点差がつきづらくなります。一方で、苦手にしておくとそれだけで悪い意味で点差が生じてしましますので、苦手な人は克服しましょう。

3.私自身の結果の分析

ここまで理由をお話ししたところで、私自身の結果を振り返ってみたいと思います。

僕は紹介した順番で得意でした(なお、包み隠さず言うと、自分では刑事訴訟法や刑法の方が行政法より得意だと思っています。ただ、「(他の受験者との)相対的な関係」でいえば、やはり行政法の方が得意かな、という印象です。)。概ねこの順番どおりに点数をとった結果、以下のような結果になったのだと思います。

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(ご参考)
公法系:47~54位
民事系: 251~272位
刑事系:201~230位
選択科目:1位

以下、少し分析をしてみます。

まず、公法系と刑事系についてですが、どの科目もAですが、点数で言えば10点差がついています。順位でいっても150番くらい違います。刑事系も好きだし苦手ではないのですが、やはり他の受験生も書けるので点数が伸びませんでした。相対的には公法系の方が得意という自負があったのでこの結果は納得しています。

次に民事系を見ていくと、民法がBなのに民事系と刑事系の得点率はともに67%とほとんど変わらないことが分かります(順位もほとんど変わりません。)。推察ですが、民事訴訟法の得点がめちゃくちゃ良かったのではないかと思っています。1問とても難しい問題が出て、論述の道筋が分かったときは「これ分かるの俺だけじゃね?」って思った記憶があります(自惚れです。若気の至りと思って許してください。)。

僕は戦略的に優先科目をつくった結果、司法試験に合格、もっといえば2桁合格という意図していなかった結果もついてきました!

4.終わりに

ここまで読んで、「よし、憲法と民事訴訟法を重点的に勉強しよう!」と思ってくれたら大変うれしく思います(選択科目は各々なのでここでは省略します。)。ただ、ここで問題が生じます。「憲法と民事訴訟法ってどうやって勉強したらいいんだ…?」という問題です。

これらの学習の仕方については今後のNoteで紹介していくつもりですのでぜひスキ、フォロー(Twitter、Note)をお願いいたします。また、「司法試験×小説」の中でも勉強法について触れていきますので、こちらも応援(スキ、フォロー、拡散等)よろしくお願いいたします。




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