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どうしたら良いかわからなくなったときに思い出したいこと

キホンというセーフティネット:①大体正解、②ズレに気づける、③ムダがないというキホンの3つの重要性

どうしたら良いかわからなくなることってありますよね。何やってもうまくいかない、スランプみたいな状態。こういうときに焦って色んなことに手を出すとよりわからなくなって泥沼にハマってしまいます

そんなときはよく、キホンに戻れなんて言われたりします。野球なら胸に向かって投げる、文章術なら主語と述語を対応させる、結論・理由を簡潔に書くなど。各分野にキホンとなることがあると思います。実はシンプルな交渉のコツで紹介した交渉のキホンは、自分と相手の"want"を把握するということでした。

私の実感としても、キホンに戻るとスランプ状態を脱出しやすくなる気がします。なぜでしょうか。

今回の投稿は、キホンに戻ることについて考えて、その重要性を再確認したいと思います。

キホンの3つの重要性

キホンに戻ることがなぜ重要か。私は、①キホンは大体正解②キホンはズレに気づける③キホンはムダがないという3点がキホンの重要性であると考えます。自分と相手の"want"を把握するというキホンを例に、これらのキホンの重要性について考えたいと思います。

①キホンは大体正解

キホンとなることは、大体の場合において正解の範囲に収まることが多いです。例えば、交渉では、自分と相手の"want"を把握できれば、その範囲内で妥結でき、自らの"want”を実現できることになります。

このほかにも、相手の胸に向かって投げれば相手が大体とれる場所にボールが行く、主語と述語が対応していて、結論・理由が完結ならば読みやすいなどなど例は尽きません。

キホンと呼ばれるものは、大体の場合において正解の範囲に収まるようにデザインされているのです。

②キホンはズレに気づける

キホンは大体正解であるため、キホンから外れたものは、不正解となる可能性が高まります。キホンからズレているのにうまくいったとしたら、ほとんどの場合それは非常に運がよかったか、まぐれに過ぎないのです。しかも、こういう(間違った)成功体験は、ズレを強化し、スランプへと誘い込む恐ろしい麻薬と化すのです。

例えば、自分と相手の"want"を把握するというキホンを行わず、オラオラの交渉で自分の都合の良い(相手の"want"を実現できない)合意ができたとしても、それは、圧倒的なバーゲニングパワーがあり(いわば相手と権力関係が生じており)、あるいは、相手が単に無知であったからという場合がほとんどです。でもこうした成功体験を覚えてしまうと、「交渉は、オラオラの交渉が一番なんだ」と間違った認識に陥り、こういう関係にない相手にもオラオラ交渉をしてしまい、見事に撃沈するという悲劇に陥りがちです(こういうときって大事な交渉だったりするんですよね。)。

キホンをおさえられていないと、どこがズレているかすらわからず、上手くいかなかったときに、対応できなくなる。特にズレている部分で成功体験をしてしまったときなどは、このような状態に陥りがちです。これがスランプを生み出す一つの要因だと思います。

他方、自分と相手の"want"を把握するというキホンをおさえていれば、仮に上記のようなオラオラ交渉をたまたま上手くいかせてしまった経験をしても、それは、圧倒的なバーゲニングパワーがあり(いわば相手と権力関係が生じており)、あるいは、相手が単に無知であったからだという正しい認識をすることができ、こうした交渉の通用しない相手に同じ手法を用いるという悲劇を避けることができます。

また、キホンをおさえることで、ズレていることとそのズレの幅がわかるようになります。そしてこれを極めれば、あえてズレさせるということもできるのです。

イチローさんはキホンの鬼ともいうべきスターですが、ファンサービスで背面キャッチをしたりします。小さいころ、よくマネしていました。でも、上手くいきません。それもそのはず、イチローさんは、体の使い方のキホンを極めていたので、ボールの位置と自分の体の状態を把握でき、背面キャッチができる位置にグローブを位置づけることができるのです。

しっかりとしたキホンに支えられているからこそ、応用をより効果的に正確に実行することができるともいえるでしょう。

③キホンはムダがない

キホンの特徴は、体に染み込ませることができるという点です。キホンはシンプルで思い出しやすく、極めれば無意識化することができます。そうすることで、キホンで対処できることはキホンで対処し、キホンでは対処しきれないことは、そのズレのみに注目して対処すればよくなります。対処するのにムダがないんです。

キホンができていない場合、キホンの部分までその都度考えて、対処しなければなりません。さらに応用問題が来た場合は、パニックとなります。そうするとどうしてもムダが生じてしまい、コストがかかるうえに、結果も上手くいかないという最悪の状態に陥りやすくなります。

例えば、自分と相手の"want"を把握するという交渉のキホンさえおさえていれば、双方の"want”が重なる範囲を探るということに注力できます。

しかし、このキホンができていない場合、相手が少しでも高い要求をしたときに、その都度検討することになり、時間がかかり、右往左往してしまいます。関係各所の了承を取り付け、ようやく進むという段になって、自分や相手の"want"に合わないということがわかり、ちゃぶ台返しを食らったり。このように、交渉のキホンが共有されていない場面では、どちらかの"want"が把握されないまま進み、あとで"want”が明確になって合意できないなんてことも良くあります。注力すべき部分に注力できないと同じ結果を導くにも非常にコストがかかってしまうのです。

キホンはこうしたムダが生じないよううまくデザインされているのです。

結語

いかがでしたでしょうか、①大体正解、②ズレに気づける、③ムダがないというキホンの3つの重要性。言い換えればキホンをおさえられると、①大きく外さず、②対処すべき課題が明確になり、③ムダなく実行できると言えます。

キホンの重要性がおさえられると、砂を噛むようなつまらない基本練習や基本動作も少し楽しく出来るようになりますよ

次回は、キホンとすべきものの特徴を考え、何をキホンとして据えるべきか、キホンを選別する方法について考えたいと思います。

法律書よりビジネス書が好きな弁護士。弁護士業務や弁護士になるまでに培った経験をなるべく言語化して共有したいと考えております。皆様からサポート・リアクションをいただき本当に感謝しております。励みになります。