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映画感想『ラストマイル』2回目

毎度のことながら、映画を2回観ると、いかに1回目は結末を急いで観ていたかということがわかります。2回目は比較的道中を楽しむことができます。

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まず、キャラクターへの愛着が増えました。これは、1回観たのでキャラクターに最初から愛着があるのか、2回目故に、序盤から各々の表情や言葉が頭に入ってきたのかは定かでないのですが、1回目ではノイズであったエレナの情緒がそこまで邪魔をせず、むしろ一貫している部分も感じられてよかったです。

仕事に縛られていないフリをしながら、結局仕事にがんじがらめになっているのが序盤のエレナへの今の印象です。それが段々と八木たちとの交流を経て、犯人の意思をある意味継いだ、労働者側へと変化を遂げていきます。この流れは1回目では自分の中で組み立てられませんでした。

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次は一つ一つのシーンの作り込みに感動しました。先程も言ったように、僕は1回目ではとにかく結末を急ぎます。予想される見たいシーンを待ち望みます。犯人は誰だとか、いつMIU404チームがやってくるんだとか、アンナチュラルチームはどう関わってくるんだとか、そればかりを追うので、例えば冒頭のホラーばりの緊張した空気感だったり、エキストラを大量に使った長回しの撮影だったりと、シーン毎の素晴らしさを認識できていない部分があります。2回目は余裕を持ってワンシーンを大事にできるので見応えが増えますし、何より、2回目の方が結局犯人がわかるシーンも、404が出てくるシーンも感動できるというのがなんというか、皮肉みたいに感じますね。

人間というのは、あるいは僕というのは、一回では物事のほんの表層しか理解できないのでしょう。仕事でも毎回同じこと聞いてますし....。

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2回目で気付かされたのが、僕は日本人として、仕事の美学とでも言うのでしょうか、やっぱり仕事を優先することがいい、みたいな概念を持っているということです。これだけ仕事に追い込まれて精神をすり減らしている登場人物たちを見ているのに、最後には結局彼らの仕事ぶりは素晴らしいという気持ちになっているからです。こういう考えを持っていることが、今回の事件を引き起こしたと言っても過言ではないのに、です。
山﨑は、結婚を約束した恋人を残して自殺を試みました。仕事にプレッシャーを感じていたのはわかりますが、恋人をこの世に残して自分が死ぬという選択肢は、よくよく考えると極めて狂気的です。その狂気が自然なものとして受け入れられる風潮も映画から感じて、もしかしたら、僕以外にも、概念的に仕事の美学を悪い意味でも持っている人がこの国には多いのかもしれませんとも思いました。

「馬鹿なことをした......」それが恋人への思いからくる言葉だと僕は信じたいです。仕事なんかではなく。

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