大工になりたい中学生に語ったのは・・・
私が代表を務めている一般社団法人マイスター育成協会が運営する全国のマイスター高等学院、15校では、只今、来年4月入学の学生を絶賛募集しています。
夏休みが終わって、中学校の進路指導も本格化、9月から問い合わせを頂いた生徒に募集要項の資料を送付したり、来年開校予定の中学生向けの個別説明会を随時開催しています。
昨日も大工になりたい。という中学生と親御さんが来校され、2時間ほどの面談を行いました。
伝えたいのは未来
中学生の生徒に私が初めに訊いたのは「なぜ、大工になりたいの?」でした。生徒から返ってきた答えは、「何かのワークショップに参加してモノづくりの楽しさを感じたから」みたいな感じでした。あまり熱量があった訳では無かったのは、本当は大工の仕事、職人として働くこと、モノづくりの世界で生きていくことについてあまりにも知らなさ過ぎるなのだと感じました。
それでも、面白い、やってみたい!と思って個別説明会に足を運んでくれたことを嬉しく感じました。ちなみに、友達でも大工に興味があると言っている人が四人ぐらいいるかも、と呟くように言っていたのには少し驚きました。
そんな中学校3年生に私が伝えたのは、未来の展望です。
以前は大工になりたいと言うと、近所の職人のおっちゃんに弟子入り的な感じでついていき、雨が降ったら休み、仕事は雑用をしながら親方の作業を見て覚えろ、技術以外の学びはこれと言ってなく、ただひたすら早く稼げる職人なることを目指して懸命に汗をかく。と言った具合でした。
その先にあるのは、1棟の家を任されて建てられるようになる一人前の大工なのですが、歳を重ねて50代のピークを過ぎると段々と所得は減っていく、病気や怪我をしたらその日から無職になり、失業手当も年金もろくに貰えない、社会的に見放された働き方でした。
職人という知的労働者
今は時代も変わって、私達マイスター高等学院では、そんな誰も働きたくないような労働環境を改善しました。
高校の3年間で基礎的な技術を習得して、卒業後は正規雇用の大工として入社。退職するまでのキャリアパスを運用して、役割と責任と給与が明確に見えるように運用しています。
当然、社会保険も厚生年金も有給休暇も整備されている他の業種と比べても遜色のない環境を作り上げています。学校であり、そのまま就職する事業所は未来創造企業の外部認証を受けているガバナンスの整ったいい会社だと認められた企業です。
そして、その先に待っている未来について、熱を込めて説明しました。
15歳からの高校3年間で、給与を貰いながら高卒の資格を取得し、同時に見習い期間を終えて、職人として就職すると、それから5年くらいで現場作業は一通りできるようになります。
23歳くらいで作業員としては一人前として扱われる程度まで成長できます。
その先、建築のプロフェッショナルである証である国家資格、建築士の資格を取得して、現場作業以外の施工管理や設計、営業的な業務までこなせる力を身につけてもらいます。
30代半ばには推しも押されぬ建築のプロフェッショナルになり、既に肉体労働者ではなく、知的労働者としての働き方に自動的にシフトできるのがマイスター高等学院の卒業生の未来です。これは奇しくもドイツのマイスター制度と類似していますが、決してドイツに倣った訳ではありません。
他の選択肢を伝えるのが在り方
紙芝居風のスライドをめくりながら、大工になりたいとやってきた彼を待っている未来について説明すると、お母さんと顔を見合わせながら大きく頷き、目を輝かせていました。
私としては、若者が未来を標榜して働きたい!と思える環境を整えてきたので、喜んでもらえて当然ですし、是非とも喜び勇んで願書を出してもらいたいのですが、それでも、別の選択肢があることも伝えるようにしています。
マイスター高等学院の高校卒業資格は通信制高校で74単位を取得するのですが、建築の専門知識ではありません。大工になるにしても、工業高校の建築科や高専に通って建築の基礎を学んでから入職する方法もあります。
働きながら現場で技術を覚えるのではなく、ふつーの高校生活を3年間過ごす選択肢もあるのだと伝えて、それでも中学卒業してすぐにモノづくりの職人の世界に飛び込んでみたいと思うなら、まず、冬休みにインターンシップに来てみて、現場で働くことを体感し、納得してから願書を出してくださいと伝えました。
本願を叶える事業
私の説明を聴いて彼がどんな判断をするかは分かりませんが、私たちは決して、自分達の都合だけでキャリア教育のカリキュラムや就業システムを組み立てた訳ではありません。
子供達に学歴社会以外の選択肢で生き甲斐を持って働ける環境を整備することが、私の念願であり、創業の志である職人の社会的地位の向上の実現をsj社会に実装させることだと信じており、彼らの幸せこそが私の本願です。
私の価値観を押し付けるような事は絶対にすまい。と思いつつ、そんな想いが伝わっていたらいいな、と思いながら説明会を終えて二人を見送りました。
建築業界から教育業界、そして地域社会を変えるプロジェクトがいよいよ本格的に動き始めました。私達に出来る事、どれくらいまで届くかは分かりませんが、本気で人生を賭けて推し進めてみます。
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マイスター高等学院はあらゆる業種の事業所が教育機関になれる仕組みです。興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
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