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凶暴化する若者達。その原因と対策

世界で最も治安が良く安全な国と言われる日本。
しかし、最近、毎日のように、若者による強盗や誘拐、殺人のニュースを目にするようになりました。
お年寄りの家に押し入って暴力を加え、金品を奪い取る。非常に悪質で、凶暴な若者が、こんなにたくさんいる国になってしまったのかと嘆かずにいられません。同時に、このままそれを傍観している訳には行かない、何とかしなければと切に思います。

変わってしまった世界

隠語で「叩き」と言われる強盗がこんなに頻繁に発生するようになった原因の1つにインターネット環境が世界の端々まで行き届いたこと、SNSの普及が挙げられます。
インターネットで何でも検索してすぐに答えが出てくるようになったのと合わせて、SNSを駆使して周到に仕組んだコミュニケーションは人の行動を促すことや管理できるようになりました。
その結果、闇バイトと呼ばれる、本来、簡単にはできなかったはずの犯罪組織のリクルートがいとも簡単にできるようになったのは以前には考えられなかった非常に大きな変化です。
広がりを見せ始めた当初、バーチャルと呼ばれていたインターネットはそれまでとは全く違う歪んだリアル世界を作り上げました。

東洋哲学では、孟子が提唱した「良知」に代表される性善説が思想の根本に色濃く根付いています。特に日本人は長年、儒学を国学として長年普及させてきたこともあり、特に強く良心を持っている民族だとされてきました。
闇バイトでタタキに走る若者も例外ではなく、胸の奥には必ず良き心を持っていると思いますし、そう信じたいです。
しかし、その所業は金に困ったら手っ取り早く稼げる方法を探して、弱い者を叩いて金品を強奪する、まるで人の心を持ち合わせていない獣であり、社会に出てくる教育を受けている者の思考とは到底思えません。
それが毎日の様に多発している事実は目を背けたくなる程悲惨です。この国の教育はどうなったのか?と疑問に思わざるを得ません。

貧困、教育、無関心

もはや日本はこんな情けない恥ずかしい国になったのだ。と認識を新たにすると共に、その原因を何とかした叩き潰さなければ未来はバイオレンスジャックで描かれたディストピアになってしまいます。
その原因は決して単純な構造ではありませんが、根底にどっかりと横たわっているのは間違いなく貧困教育の不全、そしてそれを担うべき大人達の意識の低さ、無関心です。

あらゆる結果はすべからく状態に由来する原則を鑑みれば、若者の凶暴化は若者自体に原因があるのではなくそれを取り巻く環境に根本的な問題があるのは明らかです。

33万人の若者の選択

若者の貧困が広がっていることについては私は以前から懸念を訴えてきていました。その危機感もあって稼ぐ力を身につけるキャリア教育の高校の立ち上げを全国で行っています。

現在、学校に通うのをやめた不登校と呼ばれる学生は全国で33万人といわれます。学校に通うだけが選択肢ではないとの意見には私も決して異議を唱えるものではありません。しかし、家に引きこもってバーチャルな世界でゲーム三昧に没入するのを是とは思いませんし、子供のうちは社会に出る準備期間として人として生きるための学びの時間や機会を持つべきだと思います。

人と触れ合い、人の喜びや悲しみ、痛みを知らずして社会で活躍することはままなりません。安定した暮らしを手に入れるとか、企業で活躍する人材になることのために学ぶというよりは、獣ではなく人として生きる、社会を形成する一員となる準備は必要だと思うのです。

若者貧困化の構造

学校に通わない若者は現在の学歴偏重の日本社会では活躍の場が非常に限られます。小中学校に通わなくなった生徒が、押しつけられた教科の記憶競争の試験で優秀な成績を上げ、社会でもてはやされる有名大学を経て、安定しているといわれている大企業や官僚になるのは限りなくゼロに近い確率です。また、学歴偏重の社会では中小企業でさえ低学歴の若者を忌み嫌います。

そんな風潮を察してか、不登校の子供達を含めて99%の生徒は高校に進学します。何故か世間から全く評価されない、卒業しても大して意味がないと揶揄されるような学校に、目的もビジョンも大した動機もなく社会に出るのを先送りするだけに入学します。

その結果、途中でまた学校に通うのをやめてしまう、中途で退学をする若者が一定数生まれるのは想像に固くありません。そして、彼らの殆どが定職につく事なく生涯不正規雇用で過ごすといわれています。
コロナ以降、不登校児童は増加を続けており、国も自治体も、学校もその対処も予防もできていません。若者の貧困化はどんどん加速する構造になってしまっているのです。

既にdystopiaになっている

先日もTVのニュースで闇バイトに手を染めた若者が無期懲役を求刑されたとの報道を見かけました。しかも、その若者は自ら死刑を望んでいると言ってました。

そこにあるのは社会に対する圧倒的な絶望と自分自身に対する否定です。この世は生きるに値しないし、自分は生きていても仕方がない。そんな思考に陥った若者が自暴自棄になり、闇バイトに誘い込まれてしまうのはごく自然な流れなのかもしれません。

犯罪に手を染めてしまった若者はきっとインターネットの罠にかかった後、実際の行動に走るまでの過程でこれはヤバい、破滅に向かうと気づくはずです。にもかかわらず歯止めが効かないのは、この社会に対する絶望感からではないかと思うのです。教育の問題ではなく、この社会を構成する企業や経営者、大人達の若者に対する無関心、手を差し伸べることも、教え育もことも放棄して経済合理性を追い求め、短期的な収益を貪る体質が生み出した世情こそが若者の凶暴化を招いていると思うのです。

ソーシャル・パラダイムシフト

学歴社会から零れ落ちた若者を雇用して、一人前の社会人に育てるのはとても手間と時間と費用がかかります。
経済合理性から見れば、優秀な仕事が出来る即戦力の人材を引き抜いてきた方が簡単に稼げます。しかし、社会の課題に目を向ける事なく、目先の利益を追求していては、結局、国自体が滅びます。
孔子の時代から言われ続けた目先の利益ばかりに囚われる亡国の思想が今の日本には蔓延してしまっています。

私達大人が、生きるに値する世界とはどんな状態なのか、誰もが安心して暮らせる社会はどうすれば実現出来るのかを考え、その実現に向けて行動に移すことしかディストピア化する日本を救う道はありません。

経済合理性の外の世界での活動は今の社会では非常識で不合理だと思われるかも知れませんが、効率ばかりを追求してきた結果、日本の若者が凶暴化して強盗殺人が日常茶飯事になってしまった今、私たちは根本的なパラダイムシフトを迫られていると思うのです。

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学歴に関係なく誰もが生きがいを持って生きられる社会を目指して、キャリア教育を行う高校、経済格差が教育格差となる負のスパイラルを断ち切る無力学習塾を全国に広げル活動をしています。





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