Our initiative 〜知ってしまった責任〜
私は高校3年間で社会で通用する人間力と技能を身に付ける職人育成の高校を運営している校長です。
これまで、日本に全く根付いてこなかった本質的なキャリア教育を全国に広める、一般社団法人マイスター育成協会の代表理事もしています。建築業界が圧倒的な職人不足に陥ったこともあり、最近、頻繁に講演やセミナーでの登壇やオンラインでの面談を依頼されるようになりました。
求められるのは「やり方」、伝えたいのは「在り方」
私に講演の依頼をされる方は、国交省が長年取り組んでも全く何の成果も残せなかった、若手大工育成に対して、私たちが成果を挙げ始め、根本的問題解決を全国的に進めているのを聞きつけて、具体的な方法論を聞きたいと思って依頼されるのだと思います。
しかし、私は職人育成の「やり方」についてはあまり多くを語りません。なぜなら、それは大きな目的の手段の1つに他ならないからです。その大きな目的とは、閉塞感に満ち溢れて、どんどん人口が減っていき、このままではこの国が滅んでしまう現状を憂いて、生きるに値する日本に生き返らせて次世代につなぐことであり、若者に未来への希望を持ってもらうことです。
その手段の1つのとして、学歴偏重のこの国の学校教育に馴染めない若者たちに明るい未来を見せられる高校を運営していると言うことであり、大事なのは人としての「あり方」を見直すことです。
自社に若者が入ってこない、リクルートに多大な費用がかかる、職人不足で売り上げが低迷する。そんな自分都合の問題解決にばかり興味を持つ人たちにもう少し広い視点を持ってもらいたいと全体的な話に重点を置いています。
大人がこの国の未来を語たない、語れない
若者の雇用ができたり、これから大きなリソースとなる現場人材の育成が叶ったりしたところで、そもそも、市場そのものが無くなったら何もなりません。今は良くても、未来はジリ貧で、子供達が大人になる26年後、2050年には日本の国内産業、地域の需要が無くなってしまう事実に目を向けずして、人材育成に取り組む意味はありません。
残念ながら、今だけ、金だけ、自分だけ思考が知らず知らずのうちに身に染み付いてしまっているのが現代の日本人で、「自分はそんなことはない。」って顔をしている人もこの国の未来について語ろうとしないし、語れない人が大半です。
そもそも、国が統計、予測として提示しているこの国の未来にどれだけ自分ごとにして興味を持って情報を取りに行き、その意味を解読しようとしているのか?
自分たちが住まう地域の2050年の姿をどれだけイメージできているのか?
そんなことを講演の際にオーディエンスに問いかけるところから、職人育成の意味や意義を考えてもらうようにしています。
知って、無関心でいられるのか?
ちなみに、先日、広島での講演を終えた後の懇親会で参加者の経営者さん達と話していると、今まで考えたこともない事実を突き詰められて、何か行動に移さなければならないと強く感じた。との声を多く耳にしました。
是非とも、一歩を踏み出して下さい。と伝えましたが、具体的なアクションの話になると、それどころではない現実、自分のこと、自社のことで精一杯、個別の事情にがんじがらめになって、金縛りにあっているかの如く口をつぐんでしまう方が散見されました。
そんな中、やってやる!やらねばならない!と気を吐く方もおられました。知ってしまった以上、見て見ぬふりはできないと。
そしてそんな人は全国各地におられます。
私が、全国で職人育成、若年層の現場人材への入職の機会を作る企業を増やす活動を紹介し、仲間を増やしているのは、事業者が儲かるためとか、事業を継続できるようにするとか、そこの従業員さんが幸せになるとか、そんなことよりも、地域を生きるに値する社会にする、その一助となり同じ志を持つ仲間と地域からムーブメントをおこしていく同志を募っているのです。
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消滅するシナリオが着々と進む日本を一緒になんとかしませんか?
実は、私たちは答えを持っています。ただ、それを進めるには仲間が必要です。
知った以上、知らん顔できないって方は、是非とも繋がって下さい。
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