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賢者は歴史に学ぶ 〜SINIC理論研究委員会〜 メタ実践プログラムday2

私がCOLとして参画している経営実践研究会では専門の分野に分かれて様々な分科会活動が展開されています。その一つがオムロンの創業者、立石一真氏が50年前に発表して、「当たりすぎる未来予測」として話題になったSINIC理論を研究し、広く地域企業の事業計画に落とし込み、社会実装させるプログラムの開発を進めているSINIC理論研究委員会です。

メタ実践プログラムと名付けられたこの度の研修は、SINIC理論を企業活動に実装すべく、導入のアプローチを明らかにすると共に未来を創造する企業のパターンを形成することを目的にしています。
先日、その2回目の講座が開催され、主宰頂いている杉岡さんのアテンドの元、参加メンバーがそれぞれの業界の歴史を紐解きながら、未来へと繋がる緒を模索しました。
前回(第1回目)の記事はこちら。

賢者は歴史に学ぶ

本プログラムを組み立て、講師としてその幅広く、深い知見をご披露頂きながら講座を進めて頂いている杉岡氏がSINIC理論を紐解いてその未来予測の根幹として見出されたのは丁寧で本質的な歴史研究です。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。との古い格言を引用されていましたが、視座を高め、歴史を俯瞰して観ることで、時代の変化を超えて存在する不文律や繰り返しのパターン、そして未来への見通しが見えるようになるとの理論はなるほど!と完全同意させられました。
未来を紐解くなら、これまでの時代の変化がどのように起こったのかを知る必要があるのはあまりにも自明です。

幅広く多種多様な業界にSINIC理論の実装を行うならば多くの業界史の研究がさなれる必要があります。

図1.モノづくりと職人の変化

パターンランゲージの端緒

私が歴史研究のテーマに選んだのは「建築・職人・暮らし・文化の変遷とみらい」です。少し欲張りな感も否めませんが、そもそも大工だった私が神戸で行っている足元の事業は、創業20周年を機に脱建築を掲げ「四方よしの社会の実現」を理念に掲げ、創業の志だった「職人の地域向上」を「誰しもが取り残されることなくIkigaiを持って生きられる社会への変革」へとアップデートさせています。

モノだけではなく、暮らしや文化に焦点を当ててこそ、人の営みのパターンは見えてくるものだと考えています。

図1では人としての営みが始まったとされる縄文時代から現在に至るまでの職人の歴史年表をSINIC理論のダイアグラムに落とし込んでいます。
西洋でルネッサンスが起こり、人間回帰のムーブメントがヨーロッパを席巻した同じ時期に日本では城郭を代表とする脅威から防御する建築様式の成熟から、大衆文化・和風民家と言われる現在に通じる大衆に裾野を広げるデザインへと移行しているのは非常に興味深く、分断されていたと考えられていた世界は実はシンクロしていたのではないかとさえ思えます。
これがパターンを掴む端緒になるのではないかと直感的に感じました。

図2.© Yamanashi Prefectural Industrial Technology CenterのHPからモチーフを拝借

建築・職人・暮らし・文化まとめ

次のステップとして、社会構造、代表的建築物と建築様式、それらに大きな影響を与えた文化を時系列にまとめてみました。

中央の時代の変遷の周りに配した文様は© Yamanashi Prefectural Industrial Technology CenterさんがHPにアップされている縄文デザインのモチーフを拝借してみました。
その理由は、縄文の文様には循環と共生、繰り返しの変化が描かれていると感じたからで、SINIC理論の示す世界観と非常に親和性があると感じたからです。

実はSINIC理論では今年(2025年)、時代は最適化社会から自律社会への移行の年と定められており、2033年には自然社会と呼ばれる、ノーコントロールから更に進んで縄文時代のような争いのない、ひと同士、また自然と共生する時代になる(なってもらいたい)との予測(希望)があるからです。

私たちは分科会の中での実践チームですが、大学や学者と連携を進めている研究チームでは縄文文化研究の高名な方との連携を進めているようです。

図3.循環のパターン

スパイラルアップの構造

縄文のモチーフを使ったのは単なる私の直感、思いつきですが、図に起こしてみて感じたのは歴史の変遷と非常にしっくりくるデザインである。ということです。
日本の建築様式、もしくは職人の技術は太古の昔から独自文化を育みつつも、大陸からの外来の文化に影響を受けては融合と進化を繰り返してきました。これまでの歴史を紐解くと日本の伝統・文化は内製→外来→融合を繰り返しながらスパイラルアップして成長・成熟を繰り返してきたのは一目瞭然で感じられます。

最近、1万6千年前に栄えていた世界最古の文化ではないかとさえ言われている日本の縄文文化。そこに描かれていたモチーフこそ、日本の文化を凝縮し、過去から未来までを見通した未来予測ではないかとさえ思ってしまいます。

このパターン、そこに底通している不文律や原理原則に注意を払いながら、時代の流れを読み解くと、これまで感じられていなかった未来が見えてくる可能性を強く感じました。
次回は、未来予測についての分析をまとめます。

図3.建築文化と文明のスパイラルアップ

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これまでのSINIC理論研究のアーカイブ

自律循環型社会の実現に向けて、民主活動家としてもあれこれやってます。














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