名前の呪縛を解く、もしくは転化する 〜中小企業は地域企業へ〜
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名前の呪縛を解く、もしくは転化する 〜中小企業は地域企業へ〜

高橋剛志 #職人起業塾塾長

私の持論の1つに「名前は呪い」と言うものがあります。呪いと聞くと悪いイメージに思いますが、いい意味でも悪い意味でも大きな影響を及ぼすとの意味でそんな言い方をしています。先日、登壇させて頂いたナショナルフォーラムで中之島大阪中央公会堂の舞台に立って自己紹介をした際も冒頭にその事を話しました。それが私の人生の全ての根源だと言っても過言では無いとの意味を込めて。

ナショナルフォーラム2022

Strong purposeの呪縛

私の名前は剛い志、strong  purposeと書いて「たけし」と読みます。人は意識をするものばかりが目に入ってくると言いますが、私は子供の頃から剛という文字を使われている熟語に敏感に反応し目に留まる様になりました。赤い車を購入したらやたらと赤い車が多く走っている様に感じるあれです。そして、自分の名前にその文字が埋め込まれているのを意識し始め、中学生くらいから以下の様な熟語を自分自身のあり様や価値観に徐々に、そして深く埋め込んでいきました。

剛で始まる言葉
【剛毅果断】
意志がしっかりとしていて、思い切って事を行うさま。また、決断力に富んでいるさま。
【剛毅直諒】
意志が強く、正直で誠実なこと。また、そのさま。
【剛毅木訥】
心が強く、しっかりしていて飾り気のないさま。
【剛腸石心】
度胸がすわっていて、何ものにも屈しない強い意志をもっていること。
出典:コトバンク

志が苛烈な人生に誘う

私の名前を構成しているもう一つの文字である「志」についても自分で人生の選択をする様になり始めた中学生の頃から「剛」の文字よりももっと深く意識する様になりました。志に生きた先人達の苛烈な人生を本を通して間接体験して、敗戦によってズタズタになった日本が戦後から復興、復活してバブルに向かう平和で明るい希望に溢れた時代に生きていたにもかかわらず、戦国時代や明治維新に生きている様な錯覚を覚えるほど、ドラマティックで熱狂と命の危険が隣り合わせの世界にのめり込みました。山岡荘八の長編歴史小説にハマったのはこの頃です。その中でも天下布武を掲げて日本を切り取り、あと一歩で理想の国を作り上げかけた織田信長には深く傾倒しました。志半ばで非業の死を迎え、生涯を終えた信長のように太く短く行きたいと願うようになりました。お陰でマンガの世界よろしく、学校の勉強よりも友達が巻き込まれたいざこざの解消の方が優先順位が高くなるなど、学歴社会から零れ落ちる事になる一因になりました。

織田信長 山岡荘八著

志の膨張と拡大

そんな剛い志に呪われた私は、起業した後、とにかく志やミッション(使命)を全うしたいとの想いで事業に取り組むようになりました。常に問題意識、課題を抱えているのは経営者なら誰しもだと思いますが、経営者としての年数を重ねるに従って目の前の課題だけではなく次の課題、もしくは根本的な課題に意識を向けるようになりました。創業当初はまず自分と家族、そしてスタッフの暮らしを守る事、その次に取引先の職人や仕入れ先に喜んで貰える様にと安定した適正単価での受注が出来る体制づくりに注力しました。目の前の人の不安や心配、課題を取り除くことは社会課題と言うには小さすぎますが、決して自分だけ良ければ良いとの「今だけ思考」に陥っていた訳では無いのは少なくとも志を意識したからだと思っています。現在、職人の地位向上を掲げてつむぎ建築舎や一般社団法人職人起業塾の活動を行なっているのはその延長線上です。

自社大工の採用と育成

名は体を表すのは組織も同じ

以上は私の経験を書き連ねましたが、名は体を表す(名はそのものの実体を表している。名と実は相応ずる。)との諺があるように、私の持論である名前は人生の呪いと言うのはあながち間違いでは無いと思います。そしてそれは人に限ったものでは無いと思うのです。ちなみに、私が代表を務める株式会社四方継は20周年を機に事業ドメインと共に社名を変更しました。また、先日、300人規模の大阪で大々的に行われたソーシャルシンポジウムで、主催者でもある経営実践研究会の藤岡会長から一つの提言がありました。それはこれまで中小企業と言われてきた資本金一億円未満(法人税法での定義)の呼称を変更すべきだ。との提言で、大企業に対して中小企業というのは、とにかく圧倒的にリソースが無いと先入観が刷り込まれており、諦め、チャレンジ精神を失って日本経済を衰退させているからだとの事でした。そして、日本の企業の97%は中小企業であり、日本の景気を支える実態経済そのものであるとも。今の日本の衰退は中小企業に勢いと志が無いからだと一刀両断にされました。

中小企業の定義
中小企業基本法では、第二条で「中小企業者の範囲」を次のように定義している。資本要件、人的要件いずれかに該当すれば、中小企業者として扱われる。

資本の額(資本金)又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員・社員の数が300人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

資本の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であって、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの

資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であって、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの

資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であって、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
出典:Wikipedia

地域企業こそ共感資本社会の主役

藤岡会長の提言は中小企業と言う呼称を廃止して「地域企業」に変えようと言うものでした。建築業界では工務店を地域工務店と呼ぶのがかなり一般的になっており、私的にはとてもしっくりくる呼称です。また藤岡会長は大企業にしても広域企業といい名前に変えるべきで、事業の目的が社会課題の解決にあるのなら、事業所が向き合う対象を地域の課題なのか、日本全体の課題なのか、世界中に溢れる課題なのかを切り分けるだけで良いはずで働き手の問題意識や志向によって課題解決に取り組む先を選べば良いはずだと述べられました。確かに地域企業との名前を名乗ると地域を良くする為の取り組みに注力するモチベーションも高まるし、意図が明確になれば行動が変わり、共感を得ることも増えるのは想像に難くありません。名は体を表す。30年に渡って低迷を続け、諸外国に大きな差をつけられて埋没しつつある日本の経済を復活させるカンフル剤になる可能性が大いにあると思うのです。共感資本社会への第一歩にな可能性もあると思うのです。

ナショナルフォーラム2022

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志は四方良しの世界に実現

創業の志を事業で貫いてます。

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高橋剛志 #職人起業塾塾長
本業は神戸と台北を拠点に設計デザイン、自社大工による施工を行う建築事業を営んでいます。 自分自身の出自は大工と言う事もあり、職人育成と職人の社会的地位の向上をミッションに掲げ、一般社団法人職人起業塾を立ち上げて日本全国で職人の意識改革、キャリアアップの支援活動を行なっています。