(抜き書き)新井英樹×山田太一

『空也上人がいた』(新井英樹 原作・山田太一)の巻末対談より抜き書き

山田 ですから、独創性を誇るなんてことは、大半実は滑稽なことであって、どんどん人の本を読んでそこから引用して、その引用に自分を込めればいいんだと思うんですよね。それには、それなりの芸を必要とする。その時代に合うものの言い方とかね。しかし、同じことをみんなが同じように感じ、似たことを考えるなんてことは浅薄なことで、あの、やっぱり、流行の思いがあったら、だいたい、それに反するようなことを考える人間になったほうがいい。
新井 基本的に最近すごく思うのは、それこそ自分が考えてることは革命的なことじゃなくて、ただの中継ぎでしかない。だから、自分は先人たちが考えてることや何かで、これは後々まで残していったほうがいいっていうものを、ちゃんと受け継いで誰かに伝えていかなきゃいけないっていうことに、少なくとも、発表の場を与えられている位置にいる人は、多少なりとも責任があるんじゃないかって思って、何かやれないかって。

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