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#小説

いつかは揃って霜の冠を

「つまり露が凝縮なのに対して、霜は昇華なんだ。これが上空で起こると雨と雪――」 「あのさ、どうして霜が付くのとは訊いたよ? 冷凍庫の霜取りしてたあなたの頭にって意味でね。確かにお互い白髪になってもずっと一緒に笑ってたいねとは話したよ? でもこれじゃさすがに幾星霜が短すぎでしょもう」

足元から繋がった先に。

 足元に、小さなボールがある。僕が遊びに遊んだ、くたびれたボール。つま先で転がしてみる。特に何があるわけでもないし、くたびれたボールはくたびれたボールだ。ゲームの方が面白いや。そう思うのに、なぜか目に入る。ふと、お母さんに呼ばれると、ボールのことなんか忘れて、僕はお母さんまで走る。  足元には、純白なスニーカーが輝いている。僕はピンと張った半ズボンを履いてる。今、歩くコンクリートの道のりが大変で、その大変さが冒険を妄想させる。ツヤツヤの傘の取っ手に巻き付いているフィルムを、

一生の、一生のお願い 第16話

 翌朝、俺たちは二人で帰った。まずはサークル部室に行った。祐輔と一緒に入って来た俺に気がついて、弘樹が駆け寄って来る。 「お前、どこ行ってたんだよ」 「ゴメン」 「でも、無事に帰って来てくれてよかった」  弘樹はうっすらと涙を浮かべている。  美紀先輩は祐輔を見つけるなり、抱き締めた。 「祐輔くんっ。心配したんだから」 「すいません」  そう言いながらも、ヤツは心なしか鼻の下を伸ばしている。これがおっぱいの威力というものか。たく、しょうがねぇな。  わいわい話をしていたら、勇

お花見シーズン・オーバー

都合が合わないまま雨が降って風が吹いて散ってしまった悲しみ。まあ毛虫より一足早かったから良しとする。 「これ塩効いてるなあ」 「そだねー」 二人で齧る桜餅。 「満開だねえ」 「それどこ見て言ってる?」 「あんまり美味しそうに食べるから」 そうだよ。ネイルの桜色にも気付いてくれたからね。

雨あがりの土曜日

明け方の雨はすっかり止みスズメがチュンチュンと鳴いている。 こういう雰囲気、好きだな。

花びら一枚道連れに

肩にずっしりと食い込んだ 大きなリュックをひとつ背負い 履きなれた靴で 音の鳴らない地面を蹴った 卒業式の次の日に 私はこの町を捨てる 何の刺激も無い 未来さえ見えないこの地から 自分の痕跡を消すんだ 誰にも見つからないように 始発電車に間に合うようにと駅へと向かった 生まれてから何百何千と歩いたこの道の その傍らにそびえる大きな桜の木 まだつぼみのこの花が咲いたら 記憶に無い赤ちゃんの時を含めると 17回見たことになるのだろう いくつかの門出を祝い その都度

リアリティドラマ シーンイメージ〜「シンママ議員 高崎理恵のケース」(ドラフト)

政治をガチで変えるリアリティドラマ シーンイメージ 高崎理恵 2021年晩秋の衆院選で小選挙区から立候補する。 娘一人のシングルマザーの25歳。 出馬会見初めての記者会見。 「リハーサルとはやっぱ違うね」 2021年晩秋の衆院選。党としても初めての国政選挙。 学校の教室くらいの小さな会議室。前には会議テーブルに椅子がふたつ。隅にもうひとつ会議テーブルが置かれてる。 「いちにいさんしぃ…たった12人じゃん。リエ。大丈夫。私たちイケる」 ビジター席は半分ほど空いてたが

小学三年生のミニツキザーが、今日は、外国人に、伝わらない英語のトランプの事を話していきます。

①外国人がトランプで遊んでいた時に『trump』というのを聞いた日本人が誤解したのが由来だといわれる。 ②『trump』は切り札という意味。 感想は、やった事はないけど、これが、外国に伝わらない英語なんだ~と思いました。 また見てねええええええええええええええええええええええええ

華麗なる平民

 「お母さん、映画に行くからお金ちょうだい。」  私がそう言うと、ドラマを見ていた母親が、そこから取っていきなさいと言う。  私はお金室に入り、億束の椅子に座る。そこから百万円の札束を取り出し、一万円札を抜き出す。財布も持っていない私は、誰の指紋もついていないような、真っ直ぐで美しさすら感じるその一万円札を雑にポケットにしまった。  何世紀遊んで暮らしてもお釣りが帰ってくるような、それほど莫大な資産を私の親は所有していた。しかし、私たちの暮らしは、同級生のたーくんやさっ

ふとーこーエッセイ【2】ゴッドの待合室

ゴッドの待合室いつの頃までを、振り返っていただろう。 この子は、たしか小さい頃から 朝は弱い方で、起こされて起きることのほうが ダントツ多かった。 なのに、乳児期のお昼寝は、ほんの小一時間 すぐ起きてしまうから、家事は全くはかどらない。 幼稚園の発表会、舞台の上でよく「あくび」をする。 普通あくびは、眠くなると出るものと思っていたが 緊張によって、無意識に息を吸うことを忘れてしまい 脳に酸素が不足することで、出ることもあるのだとか。 集中力が足りないのでは? と案じた私

急に君が笑い始めたから それがおかしくて つい僕も笑ってしまって それにつられて君はまた笑い 僕もまた同じように笑う 何で笑い始めたのかなんて知らず 知らないことにまた笑い 笑うことに笑っていた 涙が出るくらいに 呼吸がおかしくなるくらいに おさまりかけてはまた溢れ出す 「足が寒いと思ったんだ」 少し落ち着いてやっと話し出した 僕に足を見せる君 靴下から小指だけが 見事に顔を出していた 君は些細なきっかけの中から 幸せを創り出す天才だと思う

サラリーマンはプロの小説家になれるのか?検証306日目

〈検証の概要は最下部に記載しております〉 皆さん、おはようございます。 本日の報告になります。 【日記】 11/2(火)08時45分に起床。 朝は、トースト/バナナ/ホットコーヒー。 午前は、資料を作る。 昼は、納豆ご飯/ほうれん草と白ネギのお味噌汁。 午後は、会議など。震えながら話す。その後は問題が発生。しかし、解決できず。こういうときは頭を冷やすに限る。 夜は、豆腐ハンバーグ/納豆ご飯/お味噌汁/レタストマトサラダ。 一人でお風呂に入る。くもん式中学国

重い朝をくぐって

死ね!死ね!死ね!! 目の前のこいつが死んだとて、悲しくも何ともない。ぴっかぴかに清々するに決まってる。60間近になっても45歳だと堂々と言い張る女。皺くちゃの顔に原色まんまの青いアイシャドウと、顔色に馴染まない明るい赤のグロス。艶感が余計きもい。その口で、私が作ったご飯食うな。 カオルは台所から出て行こうとした。 「人が食ってるときに、バタバタとうるさい娘だよ。大体、老いた母親を労わろうって気が無いなんて、あーあ、子育て失敗って、こういうことを言うんだね」 「だった

探り合い①

月曜日。 真一は起きると昨日の事を思い出して溜息ひとつ。 とりあえず学校に行く準備をするが翔の事が気掛かりで作業が億劫になる。 自分には何も出来ない。 そんな考えしか浮かばない。 それでも数少ない手掛かりから少しでも翔の為になりたい。原因がサッカー部にあると考えるも近付く理由がない。 どうしたものかと思いながら手を進めていた。 会話のない食卓で何となく朝食を口に入れて家を出る。もう何度も繰り返しているのに今日が一番全てに対して物事が前に進まない。 家を出て、少