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フランスのファンキーなおばあちゃんから学んだこと

初めてフランスに長期滞在したのは、大学3年生のとき。

最初はTours(トゥール)という地方都市で半年弱ホームステイをしていた。

トゥールは、シュノンソー城やシャンボール城など古城めぐりの拠点としてよく知られる街。

もし世界史好きであれば、「トゥール・ポワティエ間の戦い」というワードでピンとくるかもしれない。

ホームステイ先は70代のおばあちゃんのおうち。

さて、「フランス人のおばあちゃん」と聞くと、皆さんはどんなイメージを抱くだろうか。

私は「赤ずきんちゃん」に出てくるような、優しくて穏やかな、暖炉の近くでひざ掛けをして、編み物している、そんなおばあちゃんをイメージしながら、これから始まるフランスでの新生活に胸を躍らせていた。

フランスに到着して、パリの空港からTGVで移動すること約1時間。

ホストマザーのおばあちゃんが、駅まで迎えに来てくれることになっていたので、電車から降りておばあちゃんを探す。

「Shoko?」と声を掛けられ、振り向くと、そこには私のイメージとは180度異なる70代の女性が居た。

キラキラのブロンドのショートヘアに、真っ赤なルージュが印象的な派手メイク。魔女のような長いネイルに、ゴールドのゴツめのアクセサリー。半分肩出しのアニマル柄のトップス、レザーのぴったりとしたレギンスパンツで、足元はヒール。

いや、全然オオカミに食べられなさそう。

むしろ赤ずきんちゃん到着する頃には、返り討ちにしたオオカミで作った鍋で出迎えてくれそう。

ギャルのようなルックスのおばあちゃんにたじたじしつつ、私とおばあちゃんとの生活はスタートした。

おばあちゃんは意外と(?)性格は優しく、面倒見が良かった。あと、とにかくサバサバしていて、豪快。

夜、学校のあと自分の部屋でおとなしく宿題をしていたら、「バーとかクラブとか夜遊び行かないの?若いのに?」と小言を言われた。おばあちゃんに夜遊び推奨される20代女子とは。

また、ある日は夕食時にルンルン機嫌が良さそうなので、理由を聞いたら、「遂に離婚が成立するのよ!自由よ!自由!」と小躍りしていた。

おばあちゃんの家庭事情はあまり詳しくないのだが、どうやら数年にわたって離婚調停していた元旦那がいるらしい。離婚や成立したことにより、やっと事務的な手続きが解放されたおばあちゃん。

ちなみに、おばあちゃんの新しい彼氏は、週末に森で捕まえた野ウサギをディナーにどうぞ、と進呈してくれたことがあるワイルド系男子。彼氏も彼氏でファンキーである。

こんな感じで、一般的な我々のイメージとは大きくかけ離れたおばあちゃんだが、意外とフランスにはこういう我が道をいく女性が少なくない。

周りの目なんて気にしないこと。
自分の着たいものを着ること。
いくつになっても恋愛を楽しむこと。
人生を謳歌すること。

世間が押し付けてくるイメージの型になんて、別にはまらなくたっていい。
自由に、自分らしくいることが幸せ。

そんなことをフランスのファンキーなおばあちゃんから学ばせてもらったような気がする。



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