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「塩」を知る、"すごい!"の一言

 徳川家康公に「塩」に関するとても有名なエピソードがあります。

徳川家康はある日、側に仕える阿茶の局に

この世で一番うまいものは何か?」と尋ねると、阿茶の局は

「それはです。山海の珍味も塩の味付け次第でございます」

では一番不味いものは何だ?

「それもでございます。どんなに美味しいものでも塩味が過ぎると食べられなくなります」

塩はさじ加減ひとつで、他のものの味を引き出したり、殺したりする…。

この挿話は「一番うまくて、まずいもの」というものですが「塩」の効能を余すことなく表現しています。

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”塩”という唯一のもの

私たちの食べるものは、植物性食品か動物性食品に分類されますが、

実は、すべての食品の中で唯一、塩だけがどちらにも属さない食品なのです

塩の成分は、ナトリウムなどのミネラル。日本で造られる食塩は、基本的に海水を凝縮して煮詰めたものですから、植物由来でも、動物由来でもありません

ナトリウムは私たちの身体に必須のミネラルです。
これだけ科学の発達した現代でも、塩に代わるものを人工的に造りだす方法はありません。

塩だけは代用のきかない、地球上に唯一無二の食品なのです。
また、味覚的にも、人の塩に対する要求はひときわ強いことが知られています。

塩は、

栄養的にも味覚の上でも代わるもののない、かけがえのない食品なのです。

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では、塩が身体の中でどんな働きをしているのか見ていきましょう。

①細胞を正常に保つ

 塩は、私たちの身体の中の血液・消化液・リンパ液などの体液に、イオンの状態で溶けています。そして、細胞の内と外との体液の圧力(浸透圧)を調整し、バランスを一定に保つ働きをしています。

このバランスがどちらに傾いても栄養を体内に取り込めなくなってしまいます。

②神経や筋肉の働きの調整

 私たちが身体を動かすとき、脳からの命令が電気信号として神経細胞を伝わっていきます。この電気信号を伝える働きをするのが、塩の成分であるナトリウムイオンです。

 塩が不足すると、この伝達がうまくいかなくなるので、体調不良などを引き起こします

 足をつったという経験がある方もたくさんいると思いますが、これも、汗をかいて身体のナトリウムが極端に不足した結果です。

③食欲や味覚の正常化

 適切な塩味は食欲を増進させます。また、塩味の刺激によって、おいしさを感じる正常な味覚が保たれています。

 あまりに塩気のない食事を続けると、味覚も鈍くなるため食欲も落ちてしまいます。


 そのほかにも塩は、身体が酸性になるのを防いだり、消化と吸収を助けるなど、様々な働きをしています。

塩はさながら、健康のマルチプレーヤー、多すぎず少なすぎず、良い関係を保つことが、健康のためには一番なのです。

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さて、塩の働きはわかりましたので、次は調理の場面での塩の効果について考えていきたいと思います。

1、塩味をつける

・ 塩味をつける

2、素材のおいしさを引き出す

・ 塩には素材のおいしさを引き出す効果がある

3、水分を出す作用がある

・ 浸透圧の効果によって、調味料の味も入り込みやすくなる

4、肉・魚の下ごしらえに利用する

・ 塩により食材から水分が出ていく際、臭み成分も一緒に出るため、臭みをとる効果があります。

5、食品の変色を防ぐ

・ 野菜の緑色を出しているクロロフィル(葉緑素)は長い加熱に弱いので、塩でそのクロロフィルを守ることによって色あせるのを防ぐ

・ 塩で、リンゴに含まれるポリフェノールの酸化を防ぐことができるため、リンゴの黄変も防ぐ。

6、食品を保存する

・ 塩は腐敗菌が活躍するために必要な水分まで奪うため、腐敗を止め、食品の長期保存が可能となる。

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以上、6つの効果が塩にはあります。

その中で2の素材を引き出す効果について、もう少し考えていってみます。

塩は他の基本五味(塩味、甘味、酸味、苦み、うま味)の、どの味についても何らかの効果を示す「万能」な特徴を持ちます。

 🔻 甘味と塩味・・・対比効果

 ・スイカに塩をかけると甘さが増す
 ・おしるこに塩を加える
 ・塩スイーツなど

 🔻 酸味と塩味・・・抑制効果

 ・魚の塩焼きにレモンをかけると塩味が抑えられる

 ・塩レモン

 🔻 苦みと塩味・・・抑制効果

 ・コーヒーに塩を入れると苦みがまろやかになる

 🔻 うま味と塩味・・・対比効果

 ・味噌汁とだしを合わせると旨みが際立つ

 🔵《対比効果》
・・・2種類以上の異なる味を混合した時、一方または両方の味が強められる現象

 🔵《抑制効果》
・・・2種類以上の異なる味を混合した時、一方または両方の味が弱められる現象


冒頭で述べた内容だけでなく、

このような観点からも、塩はとても特徴的な食品であると言えます。


ここには出てきてないですが

 🔵《相乗効果》
・・・同じ味をもつ2種類以上の呈味物質(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸など)を混合した時、相互に味を強めあう現象
 例  こんぶとかつお節を合わせて出汁を取るとより一層旨みが増す
 🔵《変調効果》
・・・2種類の違う味を続けて味わう時、後で食べる味が変化する現象
 例  生クリームを食べた後にイチゴを食べるとイチゴが酸っぱく感じる
    するめを食べた直後のミカンが苦く感じられる

など、五味の組み合わせでいろんな効果がほかにもあります。

味に関して、興味深いことがたくさんあってまだまだ学びがいがありそうです。

 🍀まとめ 🍀

✅塩は唯一無二の存在で、他の食材にはない様々な特徴を持っている。
✅塩はいい塩梅で摂り、適切に扱いましょう。
✅塩の効果で料理をより一層楽しみましょう。


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最後まで読んでいただきありがとうございました❗



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