失敗はあって当然!

書籍のタイトルや雑誌の見出しには頻繁に「成功」という単語が並んでいます。「株式投資で成功する秘訣」「起業で成功するには?」「受験で成功する方法」・・・等々。

確かに「成功体験」から学ぶことはとても多いです。私自身、司法試験受験生だった頃は「合格体験記」を6冊くらい手の届くところに置いていて、いつもチェックをしていました。こと試験勉強に関しては、先人の知恵から学ぶことが必須であり近道であると今でも信じています。

しかし、明確にターゲットが決まっておりそのターゲットゾーンに入れば合格する試験と違って、実社会で成功を収めるためには先人から学ぶだけでは不十分だと思っています。

そもそも、先人の成功とあなた自身の成功が果たして同じものなのでしょうか?

起業を成功させて億万長者になった人を見て、私たちは「成功者」と呼ぶでしょう。大豪邸の写真を見ては羨ましいと感じますよね。できることなら、同じとまではいかなくとも、10分の1、いや100分の1のお金でもいいから稼げたら・・・などと思ったことはありませんか?

しかし、私は成功というものは相対的なものであって、各人によって全く異なるものだと考えています。

巨万の富と大豪邸は成功の象徴ですが、それを維持するために毎日神経をすり減らすような生活が耐えられない人もいるでしょう。一挙手一投足が世間の注目を集める人生って、結構しんどいものかもしれませんよ。

極論すれば、一生豪遊して生活しても使い切れないお金は、預金通帳に並んでいる「単なる数字」に過ぎないのです。

あなたにとって成功とは、困らない程度のお金があって大好きな配偶者と子供と過ごす時間がたくさんとれる生活かもしれません。楽しくて時間を忘れてしまうような仕事に取り組むことかもしれません。友人たちと定期的にバーベーキューに行ったりスポーツを楽しむことかもしれません。憧れの異性と結婚することかもしれません。

「大豪邸の独居生活をとるか、憧れの異性との普通の生活をとるか?」と問われれば、迷う人も多いのではないでしょうか? かように、成功とは相対的なものなのです。

そして、これが一番肝心なことですが、人生は成功だけでは決してないということです。

野球で打率4割を打てれば最高のバッターでしょう。最高のバッターでも、10回のうち6回は失敗するのです。三振したり内野ゴロで打ち取られたり。

ですから、あなた自身の成功の定義が決まっており、あなたがその分野の最高のプレーヤーであったとしても、トライした数の6割は失敗するのです。

「失敗を気にするな」とは言いません。大いに気にして「失敗の原因」を突き止めて同じ失敗を繰り返さないようにすることが重要です。

ただ、「失敗はあるもの」「あって当然」という大前提を忘れないことが大切だと私は考えています。7割失敗しても3割バッターです。書籍や雑誌に描かれている「成功」ばかりに目が行くのは、最高のバッターのホームランシーンばかりを録画で見ているようなものなのです。その裏には三振やゲッツーがたくさんあるにもかかわらず・・・。

昔、ユニクロの柳井氏が「1勝9敗」と書いていました。真偽のほどは知りませんが、もしかしたらビジネスでは1割バッターが最高のプレーヤーなのかもしれません。

「成功するまでに諦めるのが失敗者で、諦めないのが成功者だ」という趣旨のことを言ったのはエジソンでしたっけ? 発明の分野では打率が1厘でも最高のプレーヤーかもしれません。

表があれば裏がある。光あるところに影がある。同じように、「成功」の裏には「失敗」があるのです。


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