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30年後の住宅の「資産価値」はどうなるのか

これから30年、住宅の資産価値は

「魅力」と「居心地」と「耐久性」

に移り変わっていく


賃貸か、持ち家かという議論

よく見かけますよね。私見を述べたいと思います。

ちなみに私は、建築に関してはプロですが、不動産に関してはアマチュアです。ですので、多少建築よりの考えになりますがご承知おき下さい。

そもそも今までの時代の「住宅の資産価値」って具体的にどんなものなのでしょうか。

ネットでざっとあたってみると

1.人気のエリアであること

2.交通利便性が良いこと

3.眺望・日当たりが良いこと

4.ブランド力があること

などです。正直、3以外は建物自体にはほとんど関係ないことばかりです。そしてお気づきかと思いますが、これらは3を除いて

今の時代だからこそ通用するもので30年後はどうなっているかわからないんですよね。

1.人気のエリアであること

→人気のエリアって、色々あります。確かに「みなとみらい」など景観が美しい街や、「世田谷区成城」などの高級住宅街のイメージを持っている街は30年後も相変わらず人気かもしれません。しかし、現在人気であるエリアが30年後に人気かどうかはわかりません。

2.交通利便性が良いこと

→これは完全に「鉄道」を中心とした考え方です。いわゆる「駅チカ物件」です。30年後に鉄道はどうなっているか。そもそも、人の移動手段が飛躍的に変化している可能性が高いですよね。そうすると、駅近く=人気という方程式は崩れます。

3.眺望・日当たりが良いこと

→これは人間が自然の一部である以上は変わらないと思います。しかし、びっくりしたことに不動産業界では価値の高い順に1.南向き→2.西向き→3.東向き→4.北向きということです。

どの方位もそれぞれ価値があると私は考えますが、あえて順位をつけるとしたら、1.東向き(朝日が入って爽やかだから)→2.南向き→3.北向き→4.西向き(夏は暑くてしょうがない)にします。

4.ブランド力があること

→今の不動産業界では住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスの7社を「メジャーセブン」と呼ぶそうです。住宅業界ではメジャーというと積水ハウスや大和ハウスなどでしょうか。

これからの時代、これらの大企業が突然倒産なんていうこともあるかもしれません。倒産とまではいかなくても業績が悪化することは間違いないでしょう。そうすると大企業=質が高くて安心なんて価値観は崩れ去ります。このように、

今の時代の住宅の「資産価値」は「時代背景」という土台の上に成り立っていたものです。

これから30年は、この「時代背景」がどんどん変化していきます。

人口減少、AI・ロボット時代の到来、終身雇用の崩壊、さらにコロナウィルスの世界的な蔓延。様々な価値観が変化しています。私は毎日のように価値観が変化しています。これらの変化は一見大変なことのように見えますが、大局的に見るといい方向に進んでいるようです。

ではこれからの30年、本当に価値のある建物とはどんな建物でしょうか。

今、「所有」に対する考え方が変化しています。

20代の車離れが加速しています。高価なものを「所有」するとイニシャルコスト、ランニングコスト、税金などお金ばかりかかるということに気づいたからです。すると住宅についても、

新築は高いからやめとこう→中古住宅でいい→世の中に住みたい家が全然ないな→じゃあ格安の家を買って改装して住もう。

となります。その時に、先ほど説明した古い「資産価値」の概念が残っているので、都市の中心部はどうしても住宅が高いという問題が出ます。

しかし、コロナウィルスの蔓延で、自宅で過ごす時間が増えています。リモートワークをされている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。今後、リモートワークに対応出来ない会社は時代についていけなくなるでしょう。会社に行く必要なんてなくなる時代がすぐそこまで来ています。

ですから、都市の中心部に住む必要が全くなくなるでしょう。住みたいなら住めばいいんですけどね。田舎暮らしで全く問題なくなります。そのうち、Amazonが食料品業界にも参入したら、ネットで食料品を注文してその日に自宅に届けてくれるなんて日がくるのではないでしょうか。

このように考えると、これからは

どこに住んでもオッケー。ならば、田舎の安い中古住宅を買って、オシャレにリノベーションして住もう。

という流れが一般的になるのではないでしょうか。そして、その時に重要になるのが

「魅力」と「居心地」と「耐久性」

もはや、「魅力」がないものは売れない時代になります。魅力は「愛着」になります。愛着のある家だと、多少使い勝手が悪くても許せますし、手放した後も売れる可能性が高くなります。

自宅で働く人が増えると、一日中自宅に居る人も増えます。ならば気持ちよく仕事をしたいですよね。お気に入りの音楽をかけたりなんかして。自宅の「居心地」にこだわるようになります。

そして、中古住宅ですので心配なのはやはり「耐久性」です。台風も心配だし、地震も心配です。新耐震基準以前の住宅は耐震補強がもちろん必要になります。新耐震基準の住宅であっても、耐震の検討をした方が良いと私は考えています。

いかがでしょうか。これからの住宅、建築は

「新しくつくる時代」から「あるものを活かす時代」になっていく。

そして、新しくつくるのなら

「本当に必要とされる魅力あるものしか必要とされない時代」になるでしょう。









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