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素直になれば一級建築士に受かる

あなたはきっと素直じゃない

松下電器の創業者、松下幸之助が一冊の本にしたくらい、素直は大切だし、難しい。

松下幸之助は、「素直な心」を次のように定義している。
「素直な心とは、寛容にして私心なき心、広く人の教えを受ける心、分を楽しむ心であります。また、静にして動、動にして静の働きのある心、真理に通ずる心であります」。

一級建築士に合格するために一番大切なことは「素直になること」です。

私が通っていた資格学校の教務部長であったYさんの言葉だ。その言葉を聞いた瞬間「私は素直だから大丈夫」と思った。

しかし、そこから悲劇が始まった。

私は全くもって素直ではなかったのだ。素直であると勘違いしていただけだったのだ。

なんとか一次試験(筆記試験)は合格した。しかし、二次試験(設計製図試験)は一年目、二年目と不合格。三年目でやっと合格した。

一年目と二年目に不合格だった最大の原因は「素直じゃなかった」ということであると今、断言できる。

一年目は設計製図試験を舐めていた。仕事で設計をルーティンワークとしているので、「試験は実務をやっていれば楽勝」というイタイ考えを持っていた。

一級建築士の設計製図試験と実務設計は、やること自体は似ているが、全く別のものだ。試験は試験と割り切って頭を切り替える必要がある。

実務設計のやり方は人それぞれだが試験のそれは定型がある。そして何より試験は制限時間内に終わらせないと合格できない。設計実務だけうまくても、設計製図試験を突破することは出来ない。

二年目はそんな一年目を反省し、大金をはたいて長期コースに通った。誰よりも勉強した自負があった。しかし不合格だった。やはり、まだ実務設計の頭から試験の頭に切り替えることが出来ていなかった。

そして、運命の三年目。

通っていた学院の問題の解き方に疑問を持ち、市販の参考書を片っ端から読んだ。そして、ネット上にある一級建築士合格サイトも見た。その中から、自分が「これだっ」という方法を見つけ出した。学院のやり方を無視して、その方法に固執した。

なかなか結果に結びつかない。これでは今年も不合格となってしまう。来年また一次試験からやり直すことを想像したら吐き気がしてきた。しかし時間だけが無情にも過ぎていった。

2回目の模擬試験の時だった。担当のH先生が、エスキス中の私にいきなり檄を飛ばしたのだ。

「なに無駄なことやってんだよ。これと決めたら、この道でエスキスしろよ」

びっくりした。H先生はこのタイミングを見計らっていたのだろう。私に効果てきめんなタイミングで喝を入れてくれた。

私は、ネットで見たやり方に固執し、何パターンもプラン(平面図)を考え、最も良いプランを選ぶという高度な技法に固執し、時間をロスしてしまい、まとめきれずに終わっていたのだ。

H先生はそれまでも、「お前のやり方は間違っている」と何度もシグナルを送ってくれていた。しかし、素直でない私はそれに気付かなかったのだ。

その瞬間、私は目が覚めた。この試験は制限時間が命だ。先生の言う通りに「このプランでいく」と決めたら、迷わずその道でいくと決断した。

その結果、三年目になんとか合格することが出来た。

私は、やっと不素直の呪縛から解放されたのだ。

素直さに目覚めるまでに何年かかり、何円かかったか、、、。

しかし、冒頭にも述べた通り、世紀の大経営者である松下幸之助も著書にしたため、世に広げようとした程、「素直」は難しい。

最近は、中学生の娘の「素直さ」について妻と悩んでいる。

まだまだ、これからも「素直」を追求していきたい。




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