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【41/66】読書記録「紫式部本人による現代語訳『紫式部日記』」

こんばんは。大河ドラマ「光る君へ」は、数回で脱落しました。紫式部の少女時代が創作感満載なのは仕方ないとはいえ、なんかわざとらしいというか(特に道長との絡み)。そのへんは、スポーツ紙のX(Twitter)で流れてきます。ミュートすればいいんだろうけど、面倒くさいので人物関係だけ見ています。

この時代はいろんな文学作品が入り混じってるので、それを忠実に描写しないとファン(?)から物言いがありそうです。古典文学にどうやって入ってゆく(沼にハマる)のは、人それぞれだと思うのです。マンガだってアリじゃんねえ。それこそ「あさきゆめみし」だって。

古川日出男著「紫式部本人による現代語訳『紫式部日記』」(新潮社)

なんていうか、この著者の本を初めて読んだのですが、ゴリゴリの日本文学というより、英文学も勉強した人だなあというのが、正直な感想です。天皇に“the Emperor”と注意書きをつけてたりするのは、紫式部本人から1000年後の現代を生きる我々の理解を助けるためなのでしょう。

何しろ出だしがこれだ。

あなたはいまからわたしの日記をのぞこうとしています。そうしてもらってけっこうです。けれども心がまえというものはほんの少しだけいるかもしれません。

5ページ。紫式部本人からの注意点

知られている通り、これは一条天皇のおきさきである彰子の皇子出産時の記録を中心にした紫式部による日記形式の記録です。最初は誤解のないよう、我々に注意しています。「わたしはシングル・マザー」と書いてます。たぶん大河ドラマでも、このあたりが放送されてるんでしょう。

紫式部のモノローグと、日記に該当する部分とが入り混じってて、これは読者に向けた補足とか注意点であり、ここは実際のお産のシーンだとか、頭を切り替えて読む必要があります。

この時代、十年一昔なのか、清少納言の描いた定子サロン(とよくいわれる)の枕草子とはまったく違う世界です。紫式部は「帝のワイフ」がふたりいたことを書いてますが(「お一人の帝にお二人の后でした」)、そのうちひとりの定子はとっくに亡くなってる。

そのことはスルー。

男の人も出てくるけど、彰子の父で権力者の道長が多い。

ああそうだ。これはどうやって出てくるのか期待しまくった、有名な「清少納言こき下ろし」ですが、こんな文章でした。紫式部も漢字が書けないふりをしてましたが……ここに出てくるんですね。

清少納言のことです。わたしが、いま、あわれんでいるのは。あれこそは得意顔で「あたしは風流をわかっている」と自己アピールして、自己アピールざんまいで、ようするに度がすぎていた女(ひと)です。

118ページ。有名人(女房)の評価は後半戦に収録されている

なんか、作られた「紫式部像」というのは、この紫式部日記によるものが大きいのではないかと思いました。これが「光る君へ」の後半戦のベースなのだろうか?(数週間前に見たときは、彰子入内のシーンをやっていた。紫式部がお仕えするのはこの後だと思う)。

だから「本人による現代語訳」という形をとらないと、ありのままの紫式部という人を描写できないのだと思った次第です。

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