障害者ドットコム~障害のある方の「働く」「暮らす」「育む」を応援する障害福祉メディア

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障害者による、障害者のためのWebメディア『障害者ドットコム』の運営するnoteです。 就労継続支援B型作業所『障害者ドットコム編集室』のライターが日々記事を執筆しております。 記事は障害者ドットコムのものと重複しております。ご了承ください。

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障害者が合理的配慮を申し出ることはわがままなのか

3月中旬、X(旧Twitter)に車いすのインフルエンサーが「映画館のスタッフから、今までしてもらえた座席への移乗の配慮がこれ以上はできないので、今後は別の映画館にいってもらえないか?というようなことをいわれた。これまで3回ほど対応してもらえたのに。悔しい」という投稿をおこないました。 この投稿について映画館側はすぐに謝罪文を公表したのですが、Xでは車いすのインフルエンサーに対する非難が殺到したのです。 ネットでは大炎上「移乗が必要なら、介助者を連れていくのが常識」 「

    • 身体表現性障害とダイエット

      身体表現性障害とは「心身の過労や身辺の環境変化等がストレス要因となり、日常生活を妨げる自覚症状(痛み、吐き気、しびれ)が生じる障害」です。 治療の過程で、長期の休養を必要とするため、その期間を利用して、復職のためのダイエットに取り組む人も多いと思います。 46才で診断された私も、復職に向けてダイエットに取り組んできました。 その経験で気がついた、身体表現性障害への「有効性」と、過去の失敗から学んだダイエットでの「教訓」について、お話させていただきます。 私がなぜ身体表現

      • 内臓が左右逆となる「内臓逆位」とは何なのか

        今回は先天奇形の一つである「内臓逆位」の話です。内臓逆位といえば、漫画「北斗の拳」の登場人物・サウザーの名前が挙がることでしょう。内臓が左右逆ということで秘孔も逆になっているという、あのサウザーです。後に、内臓逆位のショウジョウバエが持つ遺伝子の名前にもなりました。 他に内臓逆位の設定を持つ例としては、ゲーム「HITMAN」のエリック・ソーダースが該当します。主人公47(フォーティセブン)のことを快く思わず失脚を狙う嫌な先輩で、やがて組織を裏切って最終ステージのターゲットに

        • ASD児がどのように遊んでいたかの実例集(例は自分)

          書面での知識として、ASD児は「物を集めたり規則的に並べたりする遊びを好む」「ごっこ遊びなど創造性と共同性が求められる遊びは苦手」とはよく言われます。では現実で具体的にASD児がどのような遊びをしていたか、実例を幾つか挙げてみましょう。情報元は当事者たる自分の、主に小学校入学前の記憶です。 並べ遊び これは具体例をしっかり覚えています。「ポケットモンスター」が全部で151種類だった頃で、その151種類のポケモンが1枚ずつ載ってある小さなカードの学年誌付録がお気に入りでした。

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          2本
        • 発達障害のASDとADHDを併発しています!
          5本
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          8本
        • 映画の中の障害者
          4本
        • 発達障がい〜神からの贈り物〜
          3本

        記事

          映画『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』 を観て思うこと〜発達障害のASDとADHDを併発しています!<vol.12>

          この映画は、タイプの違うADHDの2人の女子高生の友情を描いた映画です。私はASDとADHDの併発ですが、ちょうど2人のどちらの特性も併せ持つ感じですので大変共感できました。以下ネタバレするかもしれません。 私も高校生の頃はオシャレやメイクが好きで、制服も着崩してミニにしたり先生に怒られることも多く、遅刻も多かったです。落ち着きがなくてじっとしているのが苦手で、行きたいところにはすぐに行くくらい好奇心旺盛で、部屋は綺麗に片付けるのが好きでしたが、勉強は嫌いで学校をサボること

          映画『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』 を観て思うこと〜発達障害のASDとADHDを併発しています!<vol.12>

          勘違いの「アットホーム感」は通所型施設にとっての劇毒である

          B型事業所など通所型の障害者施設では、往々にして「アットホーム」を勘違いしたような言葉や行動が表出しがちです。「第二のおうち」「就労より居場所」を目標にしている施設も多いでしょうが、実際に居場所となっているかどうかを判断するのは入所者の方であることを忘れないようにしたいものですね。 勘違いのアットホーム感、言い換えれば「里親気取り」が常態化していると、職員と利用者が本来対等な大人同士であるという当たり前のことを忘れてしまいます。その結果、不適切なアプローチへの歯止めが利かな

          「再生モノ」作品に触れた時のこと

          半年ほど前、縁あって映画を2作続けて見せてもらったことがあります。題名はそれぞれ「オレンジ・ランプ」「裸足になって」といい、どちらも大きな傷と喪失から立ち直っていく「再生モノ」でした。 「オレンジ・ランプ」は、39歳で若年性認知症と診断された男・晃一が主人公です。戸惑いや不安、何より認知症という言葉の重みから、最初は職場でも家庭でもフットサルクラブでもギクシャクしてしまいます。しかし、中盤から自助グループに入ったことで晃一たちは一気に安定へ向かいます。同じ自助グループ仲間の

          「支援学級被害者の会」に毅然と反論した軽度知的障害者の方

          私がX(旧Twitter)でよくやるのがツイート検索です。あくまで自分が気になっていることが過去どのように語られていたか、自分が思いついたネタを過去に誰かが呟いていたか、そうした形跡を辿ることがたまらなく好きです。色々なワードで検索しながら、トレンドと無関係にXと向き合える貴重な体験を享受しています。 そうしてツイート検索していた折、ある軽度知的障害者の書き込みが目に留まりました。2020年の書き込みです。どうやら「支援学級被害者の会」に関することでした。実際にそういう会が

          発達障害者のためのイヤーワーム対処マニュアル

          数年前からよく聞かれる言葉「イヤーワーム」。直訳すると「耳の虫」、まるで耳の中に虫がもぐりこんで、音楽を流しているような体感があることから、そのように呼ばれています。 イヤーワームは特定の楽曲やメロディの一部が頭の中で繰り返し再生されるのですが、現象には個人差があり、数分で終わる人もいれば、何時間も続くケースもあります。 イヤーワームは発達障害者のストレス源になる可能性もSNSなどでは「発達障害者にイヤーワームが起こりやすい」という現説も流れていますが、イヤーワームは強迫

          SNSの渦に飲まれないように。

          昨今ではSNSを何も利用していないという方はなかなか珍しいのではないかと思われます。個人だけでなく、企業でも商品の告知やイベント・キャンペーンの案内にSNSを使うことが当たり前になっていますね。わたしも普段はSNSにどっぷり浸かっていたのを、距離を置くことで感じたことがありました。 SNSに憑かれて疲れてきっかけは「疲れ」でした。X(Twitter)を見ていると、心がザワザワしてとても疲れるのです。 原因はハッキリとはわからなかったのですが、有名人の訃報や、それに便乗して自

          中国雑貨大手・名創優品「知的障害の泣き虫ネズミ」の投稿を謝罪

          X(旧Twitter)で不定期連載中の人気漫画「ちいかわ」は様々な企業とコラボしており、遂には海外とも連携するようになりました。しかし、その海外のコラボ先が一悶着起こしてしまったそうです。 問題のコラボ先は、中国の雑貨大手である名創優品(メイソウ)です。そこのコラボ担当者がTikTokにコラボグッズの紹介動画を投稿したのですが、毒舌キャラ気取りで登場人物たちを「藍色褲頭猫(青ズボン頭の猫)」「瘋狂怪叫兔(クレイジーな叫び声を上げるウサギ)」などと揶揄し、中でも「智障愛哭鼠(

          映画の中の障害者(第14回)『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』

          ADHDの女子高生を描く青春映画今回、4月5日から東京・アップリンク吉祥寺で公開され、順次全国で公開が予定されている北宗羽介監督『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』を紹介します。ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、注意欠陥多動性障害のことで、注意力や集中力の欠如、過活動、衝動性などが特徴的な神経発達障害の一種です。一般的には、子供や若者に見られることが多く、学業や日常生活に支障をきたすことがあり、当事者は人口

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          苦手と苦手意識の違い(『発達障がい~神からの贈り物~』第89回)

          私はずっと器用だと思って生きてきた。発達障害の診断を受けるまで。 診断結果は私の指先の器用さが平均値より低いと告げられた。青天の霹靂のような感覚に少しの間浸った。 さて、発達障害の困りごとの代表的なものとして、「苦手なこと」「苦手意識」というものが挙げられると思うが、上記の苦手なことと苦手意識は実は全く異質であるが混同されやすい。 私の場合は先に述べたように客観的には指先の微細な動きが苦手なはずなのに、主観的には得意分野だと認識して生きてきた。もちろんそこには苦手意識は

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          ネット右翼だけの専売特許ではない!意外と身近に潜む「歴史修正主義」

          ミクロ規模の歴史修正主義「歴史修正主義」とは、ある歴史上の出来事について特定の界隈にとって都合のいい言説を流布し、あわよくば歴史そのものを改竄してしまおうとする動きです。代表的なのが上述した「関東大震災に伴う虐殺の否定」で、発生から100年を過ぎた今では、生き証人の絶滅を待っていたかのようにデマゴギーが噴出しています。 扱われている出来事からして、いわゆるネット右翼のイメージがありますが、別にネット右翼に限ったことでもありません。それに、歴史上の出来事という大きなターゲッ

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          工賃未払いで夜逃げした埼玉のB型事業所とは一体何なのか

          雇用契約を結ばない就労継続支援B型事業所は、事業の報酬から少ない工賃を捻出して利用者に与えねばなりません。確かに工賃は少ないですが、それでも毎月支払うのが事業所に課せられた義務であることに変わりはないのです。実際に工賃未払いをしていた兵庫県福崎町の事業所では、半年の指定停止という処分が下りました。 さて、埼玉県内で3つのB型事業所を運営していた「ベル・エンプロイメント・サポート(以下、ベル)」が、利用者への工賃や職員への給料を払わないまま音信不通になったと話題になっています

          ひきこもり、うつ病の30代男性が就労移行支援を受けてみたら?②~状況が変わればやることも変わる

          前回のコラム では就労移行支援を利用することになった経緯から、実際にプログラミングを学べる事業所を利用するまで書きました。 その中で「本当にこれで私は就労を目指したいのだろうか」という問いが生まれ、そして「NO」という結論を出しました。 今回はその続きをお話しします。   「NO」という結論を出した理由なぜ「NO」という結論を出したかというと、プログラミングの仕事を自分が「一生懸命やっている姿」が浮かばなかったことです。 仮に、この分野で就労に結び付いても、たいした「情熱

          ひきこもり、うつ病の30代男性が就労移行支援を受けてみたら?②~状況が変わればやることも変わる