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“抽象化”や“定義”には慎重になる

shogo

数学では“抽象化”や“定義”が基本にあり,それが数学の醍醐味の一つであるということを,ぼくはよく言います.

ですが,“抽象化”も“定義”も,何も数学だけのものではありません
おそらく,仕事などでも普通にあるものではないでしょうか.


例えば,3人のクライアントからの相談に対して同じ対応をしたときに,すべて上手く解決できたとしましょう.
このような場合に,3人のクライアントの共通点を考えて,「○○のようなクライアントには,この対応をすると上手くいく」というマニュアルを作ったとすると,これは抽象化になるわけです.

なぜマニュアルを作るときに抽象化をすることになるかと言えば,抽象化することにより汎用性が高くなるからです.
マニュアルの汎用性が低いと困りますよね?(笑)

(参考↓↓)


定義に関しては,数学以外の場面では“言葉の意味”と考えるとわかりやすいかもしれません.
仕事上,お互いにコンテクストが十分に共有できていないときには,使う言葉の意味を明確にしておかないと誤解が生じたりしますよね.


さて,仕事上も必要になる“抽象化”や“定義”ですが,実はこれらには慎重になる必要があるんです.
ここからは数学の例で話を進めますが,“抽象化”や“定義”に対して慎重にならなければいけない理由がわかってもらえたら嬉しいです.

例えば,$${x^2+3x+2=0}$$と$${x^2+5x+6=0}$$と$${x^2+4x+3=0}$$という3つの二次方程式を考えてみましょう.

この3つの式って,こんな感じで書くことができます.↓↓

$$
x^2+3x+2=x^2+(1+2)x+1\times2=0
$$

$$
x^2+5x+6=x^2+(2+3)x+2\times3=0
$$

$$
x^2+4x+3=x^2+(1+3)x+1\times3=0
$$

で,実は
$${x^2+3x+2=0}$$の解は$${x=-1,-2}$$,
$${x^2+5x+6=0}$$の解は$${x=-2,-3}$$,
$${x^2+4x+3=0}$$の解は$${x=-1,-3}$$
になるんです.

…なんか,抽象化できそうな雰囲気ありません?
「二次方程式を$${x^2+(a+b)x+a\times b=0}$$としたら,解は$${x=-a,-b}$$」みたいな感じで.

でもこれ,例えば$${2x^2+3x+2=0}$$みたいに$${x^2}$$の前に何か数字がついたら詰むんです.(笑)
$${2x^2+3x+2=2x^2+(1+2)x+1\times2=0}$$だから,解は$${x=-1,-2}$$とはならない.

何がまずかったかというと,$${x^2+3x+2=0}$$と$${x^2+5x+6=0}$$と$${x^2+4x+3=0}$$の3つだけでは抽象化するには不十分だったってことです.


定義に関しては,$${\infty-\infty}$$を定義することを考えるとわかりやすいと思います.
$${\infty-\infty=0}$$のように感じる人もいるかもしれませんが,このように定義するとまずいことがあるんです.

$${1+\infty=\infty}$$なので(無限大に1足したって無限大),

$$
1+\infty-\infty=\infty-\infty
$$

となりますね?

ここで$${\infty-\infty=0}$$だとしたら,$${1=0}$$になっておかしなことになる.

だから定義をするときには,本当に不都合がないか,慎重に確認しなければいけないんです.


というような感じで,数学でも仕事でも,抽象化や定義は強力な威力を発揮できますが,適切な抽象化や定義ができているか,慎重にならなければならないという話です.


※“定義”についてのちょっと小難しい話に興味ある方はコチラ↓↓

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