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第63期王位戦挑戦者決定リーグの展望

お~いお茶杯王位戦は、前期成績によりシードされた4名と予選を勝ち上がった8名が、6名ずつ紅白2組に分かれて挑戦者決定リーグ(王位リーグ)を戦い、優勝者同士が挑戦者決定戦を行います。挑戦者は藤井聡太王位との七番勝負に挑むことになります。先日、紅組と白組の組み合わせが発表されましたが、今期は渡辺名人と永瀬王座が予選で姿を消し、例年になくフレッシュな顔ぶれが多く楽しみです。

■紅組

前期は白組に20代の棋士が5人入り、羽生九段対20代精鋭という構図になりましたが、今期は紅組に10-20代棋士が4人入り、豊島九段対10-20代精鋭という構図になりました。豊島九段が優勝候補筆頭だと思いますが、若手棋士の飛躍があるのか、特に初参戦でリーグ入りを果たした伊藤四段の活躍が楽しみです。

豊島将之九段
2007年プロ入りの31歳です。前期は藤井王位に挑戦しましたが1勝4敗で敗退し、今期はリベンジを狙います。昨年は無冠に転落しましたが、直後のJT杯では藤井王位を破って優勝し健在ぶりをアピールしています。

佐々木大地五段
2016年プロ入りの26歳です。前期は白組で3勝2敗の好成績を上げ、残留を果たしました。王位戦とは相性が良く、5期連続の王位リーグ参戦となります。他の棋戦でも上位に食い込んでおり、そろそろタイトル挑戦が期待される若手実力者です。

近藤誠也七段
2015年プロ入りの25歳です。予選で勝又七段、高野(秀)六段、佐々木(勇)七段、八代七段を破って勝ち上がりました。前期は3勝2敗で惜しくも残留はなりませんでしたが、2期連続の王位リーグ参戦です。B級1組に在籍する若手強豪の一人で、そろそろタイトル挑戦が期待されます。

西尾明七段
2003年プロ入りの43歳です。予選で阿久津八段、岡崎七段、深浦九段、青嶋六段を破って勝ち上がりました。これまであまり目立った戦績はありませんが、今期王位リーグの台風の目となれるでしょうか。

黒沢怜生六段
2014年プロ入りの29歳です。予選で松本六段、佐々木(慎)七段、増田(康)六段、片上七段、千田七段を破って勝ち上がりました。棋王戦の挑戦者決定二番勝負に進出した経験もある実力者です。

伊藤匠四段
2020年プロ入りの19歳です。予選で佐藤(紳)七段、先崎九段、永瀬王座、門倉五段、日浦八段を破って勝ち上がりました。藤井王位と同学年として知られ、今年度の新人王戦に優勝しました。挑戦権を獲得すれば史上初の10代同士のタイトル戦となることもあり、非常に注目されます。

■白組

紅組に比べやや年齢層が高く、タイトル経験者が3人入りました。順位戦A級で名人挑戦権争いをしている糸谷八段が優勝候補と思いますが、勝負強い羽生九段や王位リーグでたびたび好成績を挙げている澤田七段の活躍にも期待したいと思います。

羽生善治九段
1985年プロ入りの51歳です。前期は白組優勝を果たしましたが、挑戦者決定戦で豊島竜王(当時)に敗れています。紹介するまでもないレジェンドであり、タイトル獲得通算100期に向け挑戦権獲得を目指します。

澤田真吾七段
2009年プロ入りの30歳です。前期は紅組で3勝2敗の好成績を上げ、残留を果たしました。第58期王位リーグで紅組優勝した経験があり、相性の良い棋戦なのかもしれません。今期は悲願のタイトル初挑戦を狙います。

池永天志五段
2018年プロ入りの28歳です。予選で長沼八段、宮本五段、村田(顕)六段、小森五段を破って勝ち上がりました。前期は2勝3敗で残留はなりませんでしたが、2期連続の王位リーグ参戦です。加古川青流戦と新人王戦の優勝経験があり、更なる飛躍が期待されます。

糸谷哲郎八段
2006年プロ入りの33歳です。予選で豊川七段、稲葉八段、山崎八段、小林(裕)七段を破って勝ち上がりました。A級に在籍する竜王獲得経験もある強豪で、昨年の棋王戦以来のタイトル挑戦を目指します。

千葉幸生七段
2000年プロ入りの42歳です。予選で高橋九段、渡辺名人、戸辺七段、佐藤(康)九段を破って勝ち上がりました。これまであまり目立った戦績はありませんが、渡辺名人を降して久し振りの王位リーグ参戦を果たした勢いで、旋風を巻き起こすことはできるでしょうか。

久保利明九段
1993年プロ入りの47歳です。予選で村山七段、井田四段、出口五段、菅井八段を破って勝ち上がりました。タイトル獲得通算7期の強豪で、虎視眈々と挑戦権獲得を狙います。

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