足を切った話

日曜日に、足を切った。
流れるような切り方で、「今日じゃなくても…」がいくつか重なった。
この日は切るように出来ていたんだなと思わせる、そんな1日だった。

「あっ」

と思った瞬間に、傷が見えて、その深さと相応の出血を理解した。切った瞬間は案外痛くないものだった。

将棋を指すときは言葉を発さず、常に冷静であろうとする。そういう日々を過ごしているせいか(たぶん関係ない)、私は全くというほど動じなかった。
あまりにも冷静に状況を説明するものだから、夫は何が起こったのかを理解するのに少し時間がかかった。

上の子が生まれた時に、応急処置にはよく目を通した。
実際に子どもが出血を伴うケガをすることもあったけど、それを自分に適用するとは思わなかった。ともあれ知っておくことは大事である。

病院につくと、縫う必要があると言われた。
そうだろうな、と思った。

足の裏は敏感な上に皮が厚いらしい。
要するに、処置がめちゃくちゃ痛い。切った時より余裕で痛い。
出産で経験した「いきみ逃し」は大体の痛みに応用出来る。痛い時はとにかく深呼吸をするに限る。


無事処置を終えて家に帰ると、ずきずきとした鈍痛が足にまとわりついていた。包帯ぐるぐるマンである。
我慢できる痛さがずっとあると、私は笑う人間だったようで、しばらく変なテンションで過ごした。

足の裏は平均で1週間から10日で抜糸し、元に戻るという。
これが1週間で治るの?と少し疑っていたけど、確かにすでに痛みはなくなった。人間の治癒力を見せつけられている。


人間、目の前に困難があるとそれに集中するが、少し落ち着くと日常に関して考える余裕がでる。

これ、どうやって移動すればいいんだ?

靴がとにかく入らない。
夫のサンダルは全て鼻緒があるタイプである。なんでだよ!
サンダルを買うにも、そこまでの靴が無い。外に出るための靴が無い。

意を決してスリッパで家を出た。まずは病院に行かねばならぬ。化膿が一番こわい。次に抜糸がこわい。

スリッパで病院から帰る今、ゲリラ豪雨に降られて途方に暮れている。スリッパ濡れるじゃん。
タクシー万歳。今日もお世話になります。

明日は対局です。
スリッパは濡れると困るので、たぶんサンダルで行きます。



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