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GN Athlete Interview #5 鈴木啓太

2019年にひょんなことから知り合った鈴木啓太さんは同い年の元サッカー選手。日本代表主将まで務めたアスリートでありながら、今はアスリートの腸内環境を研究するベンチャー経営者でもあります。4月も飲みに行く約束をしていたのですが、やむなく断念。ZOOMを通して話した内容がとても前向きな未来を感じられるものだったので、本人の了承を得てここにシェアします。

Shoe: 新型コロナで世の中大変なことになっていますが、影響は大きいですか?

Keita: 実験系が進まないということと、被験者さんとの研究が進まないですね。目先のビジネスはそこまで影響は受けてはいないですけど、実験ができないと先々苦しくなっていく。主力は12月に販売し始めたサプリメント、今後ラインアップを増やしていく計画で、それが大体今のところは半年に一回自社の製品としてアウトプットすること。協業先と一緒に商品開発というところもゆくゆくは考えています。ただ我々のブランドが立ってない限り、あんまりそこまでいくのは良くないかなと思っていて、まずは自分たちでしっかりとブランドを作るところをこの一年ぐらいやって行くイメージですね。

Shoe: なるほど。今後それ以外に注力していく分野はあるんですか。

Keita: 一つは製品。それから健康経営っていうところは我々のサービスとして大事だなと思います。ただ、こちらはそう簡単じゃないなって思っています。例えば、腸内細菌だけでも駄目ですし、食事、トレーニングだけやっても難しいと思っているので、それを複合型という形でやるには、どういった方々とできるかなっていうのは考えています。

(写真)2019年1月@AuB

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Shoe: それではちょっと僕の方のお話もさせていただくと、うちはなかなか大変で。僕たちはワークアウトスタジオで売り上げの85%ぐらいをあげているんですが、 今の状況の中で営業はできないと店舗はクローズしています。3月末まで最大限の注意を払ってお店を開けてたんですが、けっこう繁盛はしてたんですよ。だけど段々とコロナの真相みたいなもの、無自覚な感染者が広げてしまう状況が分かってくる中で、僕達がお店を開けてるってことは人々に外出を促すメッセージになってしまうなと。

そもそも何のためにこの事業をやっているのかというと、僕自身がスポーツに育てられたという実感が凄くある中で、スポーツの力で人々がもっと前向きになったり、やるって言ったことをちゃんとやったり、挑戦し続けたり。
そういう人が増えてくると、人の足引っ張ってる暇がなくなっていくんじゃないか。いい感じの社会っていうのは、一部の意識高い人だけが運動してますとか、あるいは腸内環境に気遣っていますではなくて、もっとその裾野が広がっていくイメージ。多くの人が、なんとなくみんなに合わせて生きていくんじゃなくて、自分のやりたいことにちゃんとフォーカスできてる状況を作っていきたい。
そのためのマインドセットを僕らは「進化を楽しむ」という言葉に込めていて、特に啓太くんも含めて成功したスポーツ選手はずっと絶好調ってわけではなく、挫折とか苦しい時もあって、でも諦めなかったからここまでこれたっていうことには、凄く大きな学びがあるよねと。ゴールだけを喜ぶんじゃなくて、プロセスを楽しんでるようなマインドセットを広めたいなというのが、僕たちのスタイルなんですよね。

今、スタジオ運営という一つの手段が失われているけど、僕らの目的やスタイルが失われたわけじゃない。きっとこの環境に適応してできることがあるはずだと考えてます。

Keita: いいですね!

Shoe: 5月になって「はい元通り!」ってわけにはいかないと思うので、ゼロから事業を考え直した時に、僕達がメディア化していくイメージがあります。AuBは栄養という分野から、GRIT NATIONは主には運動という分野から、人々のパフォーマンスを上げるためのファンダメンタルに介入してる。どちらかだけでは人は変わらないから、コンソーシアムというか、チームを組む必要がある。これってある意味「少年ジャンプ」 というか、何をこの週刊誌の中に載せるのかという編集能力みたいなことが大事なのかなと。その編集に対してみんなが好きとか嫌いとか、信用するとかっていうことだと思う。選択肢は世の中にたくさんあって、でも正直多すぎて何がいいのかわからないから、信頼している人やブランドの編集力を頼りにする。

僕たちが一貫して目指してることは「スポーツの力で世界を鮮やかにする」ことで、そのために進化を楽しむカルチャーを広めたい。僕達単体だけでは実現ができないから、信頼できる人だったりブランドだったり、情報をキュレーションするというのかな。その信頼で繋がったコミュニティの中で商取引も起きていく気がしてますし、そこで AuBとGRIT NATIONが手を組めるんじゃないかと思ってます。

Keita: 本当に凄く僕らも考えさせられるというか。多分消費も減少していくと思っている。結局商品だけ作っても、 メッセージがバラバラだとやっぱいけないんだよね。 その少年ジャンプ、結構分かりやすいなと思って、そこに行ったら自分がプラスになれるなという場所、そして専門的な知識。言い方が正しいか分からないですけど、セレクトショップとか百貨店とかをオンラインのなかでやれたらね。そこにエビデンスがちゃんとあるのはすごくいいなと思っています。確かに僕ら腸内細菌をほじくらないといけない。そうなるとメディアやりたいんですけど、そこには労力は裂けない。そのメディア構想の中のひとつのコンテンツとして、例えば腸内細菌を、ブランドの洋服屋さんにみたいに扱う。僕らが百貨店のようなメディアは作れないんで、誰かやってもらうところに僕らも入っていくんだろうなと。例えば脳科学の人が入ってきてもいいですし、資格をもってる人とか。食材屋さんとか入っても面白そうですね。本当そういうメディアだったら面白いなと思って、その辺りの構想とか、どういう人達を巻き込んでやっていくのかと、是非深掘りしてお話ししたいです。

(写真)2019年2月@GRIT NATION Meguro

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Shoe: GRIT NATIONとしては鍛えるべきは筋肉なのか体幹なのかという問題ではなくて、そもそも脳を鍛える必要がある。 それでその脳がどういう風に体を制御していくのかみたいなことを学問にしようとしている人が御意見番にいます。動作学といってまだ相当マニアックだけど、一本で僕達の少年ジャンプに軸を通すとしたら、やっぱりスポーツであり、アスリートクオリティなのかなと。広くあまねく「皆さん健康になりましょう!」みたいな世界観ではなくて、やっぱり極端なことを追い求めてる人達が、オリンピックやワールドカップを目指すためにやってくる場所でありたいし、そこで学んだことを漫画というかポップにして一般の人たちでも取り入れやすい形にしていくのが大きな方向性です。

Keita: 多分これから健康や、政治に皆さん凄くフォーカスすると思うんですけど。多分このコロナウィルスがちょっと一息つけば、健康意識に革命が起きるんじゃないですか。経済がぶっ壊れてない前提だと思いますけど、多分我々がいるポジションって悪くないなと思っているので。今までの世の中もシェアが大切と言われてきましたけど、さらにそういうところに皆さんの意識が向くんじゃないかなと思う。何かそこで一つ仕掛けたいですよね。

Shoe: 仰る通りだと思っていて、2019年以前までに言われた「シェア」ということと2020年以降の「シェア」はちょっと深みが変わるというか。これまでは余っている物や時間・空間を分け合うという感覚だったけど、それだけじゃなくて繋がりそのものを人は求めてるとみんなが思い知ったじゃないですか。だからトレーニングひとつとっても、あるいは栄養を一つ取っても、いいことだけど自分のためだけには頑張れないというか寂しいというか。何かを拠り所にする、信頼するみたいなことなのか。その中で多分人は本当に繋がっていたい生き物なんでしょうね。

Keita: ええ。僕、共感と競争って表裏一体なんじゃないかと思っていて、やっぱ繋がりがあって、ちゃんとした人間関係の上での競争じゃなきゃいけないし、共感じゃなきゃいけないと思う。一緒にトレーニングするっていうのも別に勝ち負けを競うための競争じゃなくて、一緒に生きてるんだよっていうことを実感できる。「何だアイツこんなにいいことやってるのか。俺も負けてられねえ。」みたいなポジティブな競争心が生まれてきたり、「アイツも頑張ってるから俺もちょっと頑張ろうかな」みたいな。本当になんか出し抜いてやろうというよりもいいなって思いますね。

Shoe: いや本当そうですよね。僕達が作る「少年ジャンプ」も単に情報を伝えるメディアではなくて、まさにスタイルというか生き方の提案みたいなことになってくるんだろうなと。これからしばらくはオンラインシフトを一生懸命やらなきゃなとは思ってるけど、コンテンツの本質的な価値というものはトレーニング自体ではなくて、繋がりそのものだったりとか、そこで前に出る人たちの凄くポジティブで前向きな影響力だったりとかが、今後の鍵になるんだと思ってます。

(写真)2019年7月@GRIT NATION Ginza

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少年ジャンプという平易な固有名詞が、お互いのイメージを繋ぐ鍵になりました。ヒトが動く時代から、モノが動く時代へ。都市化の一途を辿っていた人類の生活様式も大きく変わるかもしれません。モノも情報も溢れる中で、結局大事になることはコトやヒトが紡ぐストーリーになっていくことでしょう。僕たちの作る少年ジャンプ(のような性格を持ったオンラインメディア)が、ヒトを輝かせ、信頼で繋がる場になることを夢見て、毎日の挑戦を続けたいと思います。

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