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THE TELESCOPEまでの日々1


"サテライト"や"Hundred Thousand"が収録されてるアルバム 「THE BLUES」の反応は僕にとって過去一大きかった。

でも決していい反応だけではない。
僕は基本的に自分の事を嫌いな人や、自分を誹謗中傷してくる人は完全に無視してる。
理由は簡単で、なぜかと聞かれる度に僕はこう答える。

「もし自分があと5分で死ぬとする。目の前に扉が2つあって1つは好きな人や、家族。自分の事を応援してくれてる人がいる。もう1つの扉は自分の事を嫌いな人や、否定してくる人がいる。どちらを開けて最後の5分を過ごす?」

って。

僕はこんなに大事な5分を自分の事を嫌いな人達に使いたいくない。
大切な人と過ごす時間や感謝を伝える事に使いたい。


だからその日僕は予想外な人からのひどい言葉に面食らってしまった。

"その人"の事をAと呼ぶ。
その日Aは僕に連絡してきた。

「せんせい!家まで行くから曲作ろ!」

Aはまだ世に名前はそこまで出ていないが僕はカッコイイと思っていたアーティストだ。Aの事は人としても音楽としても好きだったからもちろん快諾した。

「せんせい久しぶり!元気だった?ごめんね忙しいのに…ありがとう。

「全然!今日は誘ってくれてありがとう!」

僕らは雑談をしながら僕の家に向かって製作を始める事となる。
いい雰囲気だったのだがまずAがこう切り出した。

「せんせいのアルバム聞いたよ!悪いけど俺は全然好きじゃなかったな…」

僕はちょっとビックリしたが好みは人それぞれだと思い、

「そうなのか💦まあ好きじゃないのは仕方ないよ!」

そう返して少しひっかかる気持ちはあったが製作を続けていた。

少し経った頃Aはさらにこう言ってきた。

「うーん。せんせいの最近のJ-popっぽい感じって言うか、邦っぽい感じ?ダサいからやめて欲しい。
俺との曲ではそのダサい感じ出さないで欲しい」

僕はちょっとイラッとしながらこう返した

「ダサいと思うのはしょうがない。
じゃあどうして今日は俺と曲が作りたいと思ったの?アルバムも嫌いで、俺のスタイルもダサいと思うなら来なければよかったやん。」

今思い返しても僕のこの返しは間違ってなかったと思う。
何故来たのかがホントに不思議だった。
するとAは

「いやもしかしたらそのダサい感じももしかしたら化学反応になるかもやん?日本人のアーティストは全員ダサいんだよ。海外に比べて劣ってる。」

俺はかなりイラッとした。
何を基準にAはアーティストを"劣ってる"とか"優れてる"とか言ってるのかホントに理解できなかった。そもそもアーティストに優劣があるとは思えないからだ。
みんな持ってる"ものさし"は絶対に違う。
俺はそう信じている。


その後も彼と口論をした。それでも最後僕は疲れてきて、"もうどうでもいいや"と思ってしまった。
だから途中から全て向こうの話を肯定して話は無事に落ち着いた。

もちろん曲は作れなかった。
その帰り道、駅の改札でさよならをする時にAは言ってきた。

「せんせい!最近めっちゃバカにされてるよ?(笑)色んなアーティストに。よく聞くもん名前。みんなダサいって言ってるよ?頑張って見返しちゃいなよ〜(笑)」

僕は答えた。

「そうだね、ありがとう。」

Aと別れてからホントに嫌な気持ちが抑えられ
なかった。

叫びそうだった。

だから僕は1番信頼してるアーティストのアンバーに電話して、今あった事を話した。
すると彼は電話越しで声を強く荒らげてこう言ってくれた。

「なんだよそれ!ずるいよ!!しょうたろうは曲もアルバムもMVもたくさん出して自分でツアーもやって!!Aはソロで曲も全然出してないしライブもしないし、MVももちろん全然ないし!!
ネットの中に隠れて一生懸命のしょうたろうをバカにして許せない!
そんな奴Youtubeのヘイトコメントしてる奴と同じだ!アーティストなんかじゃねえ!
しょうたろう!そんなん気にするな!
お前は体を全部セカイに出して戦ってる。
みんなが狙って叩く場所がたくさんある!
でも曲も出さずに露出もないAにはない!
そんな指先すらみんなに見せずに裏でコソコソしてるアーティストにごちゃごちゃ言われたくねえ!!!!
大丈夫だ、しょうたろうはかっけえ。」


「…ありがとう」


俺は人がたくさんいた交差点で思わず泣いてしまった。必死になって抑え込んだ悔しかった想いとか、もう見えないように隠していた1人で孤独な気持ちとか全部思い出して声を出して泣いてしまった。
アンバーはすごく怒っていた。
でももうアンバーがどんな事を言ってくれているかは大事じゃなかった。俺のためにすごく怒ってくれていた。
アンバーは真っ直ぐなやつだからきっと顔を真っ赤にしてブチ切れてたんだと思う。

俺はこの日覚悟が決まった気がする。
そしてこの先こんな事がたくさんあるんだろうなって、なんとなく理解した。

でもこうやって俺のためにブチギレてくれる仲間がいるから俺も頑張れるって思ったし、
こんな事に負けたくないって思った。



10月半ば、何ヶ月振りかにAからラインがきた。

「この間家に行った時に色々と失礼なことを言ってしまいごめんなさい。」


きっとAも、弱いやつなんだろう。
自分を否定出来ないから他の物のせいにして何とか自分を保ってるんだろう。
俺はあの日もしかしたら彼に手を差し伸べる事が出来たのかもしれない。大丈夫だよ。って言ってあげたらよかったのかもしれない。
だからとりあえず
気にしてないよ。って言っておいた。

でもこれはホントだ。このラインが来なければ俺はもうこの事を思い出す事すらなかっただろう。

でもAからのラインのお陰で優しい仲間とのエピソードが思い出せた。ありがとう。

どうかAがこのNoteを読んでいない事を祈ります。
お互い自分の信じる物のために頑張りましょう。



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