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九州の「京大」、熊本大学:九州の大学別受験事情②

前回からシリーズ記事として、九州の大学について、受験や九州内の社会的評価を踏まえて書いていきたいと思います。

今回は私の母校でもある熊本大学を取り上げたいと思います。

九州内の国立大学の知名度の低さ

九州大学と言えば九州の大学、受験事情や歴史に詳しい人であれば旧帝国大学といったイメージを思い浮かべるでしょう。

一方でそれ以外の国立大学に関してはほとんど知らない、興味がない人がほとんどでしょう。

偏差値表で見てもどの県の国立大学もそれほど差があるように見えず、また就職に関してもそれらの大学は地元か、九州内がほとんどのため、わかりにくいようです。

ところが、九州内では一応はある程度の評価序列が存在しています。

九州大学に次ぐ国立総合大学

熊本大学は九州内で九州大学に次ぐ国立総合大学です。

その歴史は古く、明治20年に第五高等中学校(通称「五高」)として開学しました。現在の熊本大学の母体となり、現在の文、法、理学部に相当します。

五高医学部は長崎に設置されたため、現在の長崎大学医学部の前身となりました。現在の熊本大学医学部は旧熊本県立医科大学を前身としています。

戦後設立された国立大学と比較すると伝統があるため、熊本県内では多くの高校で第一志望者が最も多く、県内での人気は高い大学です。

九州全域から入学者を集めるわけではない

一方で、他県からの入学者は福岡県南部や宮崎県からの入学者数が多く、九州大学と比較して九州全域からの受験者がいるわけではなく、また九州以外の出身者も非常に少ないローカル大学です。

ただ、国立の文学部、法学部を単独で抱えていたり、放射線技師や臨床検査技師の養成課程も設置しているのも九州大学と熊本大学の二大学のみであるため、九州内での進学を考える高校生が進学先の第二候補となりやすい大学です。

福岡と熊本の地域差

九州大学と熊本大学の就職状況や社会的評価などは全国区における「東大」と「京大」の差を九州内に置き換えたものに近いものがあります。
(前回の記事同様、「東大」、「京大」の偏差値の話ではありません)

入学難度としても二大学には明らかに差がありますが、入試科目が基本的に重量入試でかつ、配転比率も二次重視のため、他の九州内の国立大学より二次対策をしっかりとする必要がある点も他大学と異なる部分です。

また就職先に関しては九州大学が九州全域で強いのに対し、熊本大学は熊本県内や南九州では評価が高いのに対し、福岡県内では福岡大学や西南学院大学などが優勢なようです。

経済的にも文化的にも福岡と熊本は同じ九州内ですが関東と関西のスケールダウン版のような関係性があるため、二大学の比較は「東大」と「京大」の対比に近く、関東と関西の進学の意識に類似しています。
(福大、西南が「早慶」のポジションです)

関東や関西の人からすると理解しがたい点もあるとは思いますが、熊本大学が九州の「京大」という言い方は大げさではありますが、実態に近い表現ではないでしょうか。

補足:九州内とそれ以外地域の距離感の違い

福岡市と熊本市は距離にして約110㎞と関東の人は同じ地域であると考えがちです。

しかし、車移動が主であり、鉄道の本数も少なく新幹線整備も最後発の九州では距離感が異なります。

東京から100㎞の距離は宇都宮や水戸、熱海など関東圏内になりますが、九州内の感覚で100㎞の距離は関東と関西とまではいかないまでも、東京、名古屋間ぐらいの距離感を感じている人が多いようです。

この距離感の差が、大学進学の選択において九州内を前提に考える原因になっているように私は感じています。

ちなみに鹿児島は熊本からさらに距離があるため、関東(福岡)、関西(熊本)から見た福岡(鹿児島)というイメージが近いように思います。

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