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大学入試/進路指導関連

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私が書いた入試や進路関係の記事のまとめ。九州の受験事情も。
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#教育

「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

元ネタは以下です。ちなみにワンピースではありませんのでご注意ください。

冗談はさておき、担任として面談や進路指導中に生徒の希望進路や志望動機を聞いていると「○○なりたい」ということが先行しているケースがよくあります。

私の場合、そうしたケースに遭遇した場合、生徒にその進路について再考するようにということ、そして何をしたいかということをもう一度考えるように促しています。

なりたい職業ベースの進

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独断と偏見に基づく「大学受験業界史」

独断と偏見に基づく「大学受験業界史」

私は大学受験業界に携わってかれこれ20年以上になります。

教員と就職する以前から、大学1年の時から塾で大学受験の講師を始めたので、自分の受験経験も合わせるとかなりの年月を大学受験の対策や分析にかけてきました。

そこで、今回は独断的偏見ではありますが、私の受験経験も含めたここ四半世紀+αの大学受験業界史、特に参考書や塾予備校を中心とした業界史を備忘録代わりにまとめていきたいと思います。

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なぜ進学校の教員は浪人を勧めないのか

なぜ進学校の教員は浪人を勧めないのか

私は私立高校の教員をしています。私の勤務校でもそうですし、いわゆる「自称進学校」と呼ばれる学校の先生の多くは生徒が現役で進学することを勧める傾向があります。

こうした傾向に対し、YouTubeやSNSなどで「生徒の気持ちを分かっていない」、「視野が狭い教員だから地元の国立しか知らない」、「予備校に手柄を取られたくないのだろう」といった批判が多いようです。

しかし、浪人を勧めないという理由はそう

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「進学ガイダンス」に見る、オンラインの弱点

「進学ガイダンス」に見る、オンラインの弱点

本日、私の勤務校の高校3年生は業者主催の進路ガイダンスに参加しました。

これは就活時の合同説明会のように、各大学や専門学校がブースで個別相談会を行うというものです。

ここ数年は感染症の影響であまりきちんと実施されていませんでしたが、今回は数年ぶりに大規模な実施がありました。

やや無理矢理に参加を促した私の担任のクラスの生徒には半ば強制的に参加を勧めていました。

なぜならば、現在の高校3年生

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「一学年80万人」となる時、大学全入時代は来るのか?

減少し続ける18歳人口先日出生数が81万人という過去最少を記録していたことが話題になりました。

教育業界に身を置く一人としては、少子化はダイレクトに影響する問題です。

特に18歳人口は仕事上の影響が大きい数値になります。勤務校の入学者数にも関係しますし、何より大学進学に関して直接的なデータとなるからです。

最近は100万人強が18歳人口とされていたので、20年後はさらに2割減少することになり

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一般入試は本当に平等で公平か

一般入試は本当に平等で公平か

私の勤務校では、そろそろ推薦型や総合型選抜の準備が始まる時期です。

この手の筆記型で無い試験に対して抵抗感のある人は多いようです。

教員の中でも賛否が別れます。

自分が努力して一般入試で大学に行った人ほど、批判的に考える傾向があるように感じます。

筆記試験が平等的に見えるそれと比べると、筆記試験は一見すると極めて平等なシステムに見えます。

学力は努力をしなければ身につきませんし、実際、高

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「入試制度」や「教育カリキュラム」を「一度に大幅な改定」を行う理由

「入試制度」や「教育カリキュラム」を「一度に大幅な改定」を行う理由

一昨年度から大学入学センター試験が大学入学共通テストの名前を変え、その試験の形式や内容が大幅に変更となったことは教育業界の人間ならば誰しもが知るところでしょう。

また、本年度からは学習指導要領が高校でも改訂され、新しい指導要領による教育カリキュラムがスタートしています。

さて、ではどうして制度を改定するのでしょうか。私個人の考察を書いていきたいと思います。

学習指導要領を改訂する目的当然なが

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推薦や総合型選抜の増加と大学生の学力低下

推薦や総合型選抜の増加と大学生の学力低下

受験業界では周知の事実だったことなのですが、大学入試の成績と入学後の成績、特にGPAなどには相関がさほどない、ということが知られています。

また、場合によっては後期日程の受験者などは他の選抜よりも入試学力的に優れているにも関わらず、成績の低迷が見られるなどの結果も得られているようです。

教員の肌感覚と実際の結果私立の高校の場合、卒業生が大学入学後も報告に来てくれることが多々あります。

その生

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合格者を水増しする進学校の「ヤミ」

私の勤務校でも合格者数の開示を毎年行っています。

中学校も併設し、進学コースを設定していることもあり、進学実績を気にして受験や入学を考える生徒や保護者も多いためです。

また学習塾からの評価にも直結し、受験生に受験を勧めてくれる機会の数に直結するため、ないがしろにはできません。

当然ながら、難関大学の合格実績や早慶やGMARCHの合格実績も重要です。

しかし、地方、特に九州の受験事情において

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【私見】大学受験の塾・予備校の選び方【独断】

【私見】大学受験の塾・予備校の選び方【独断】

前回の記事で、「塾に通うべきか」ということに関して私の考えを書きました。

今回はそれに続くものとして、ではどのような塾を選ぶべきか、ということに関して書いていきたいと思います。

塾と予備校の違いまず、塾と予備校の違いを確認していきたいと思います。

一般的に、予備校は専修学校、その他の学校を指し、ここでは主に大手三大予備校として話をします。

三大予備校は学校法人である

まず、最も一般的な予

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「塾に通うべきか」という質問

「塾に通うべきか」という質問

生徒や保護者との面談の中で必ずと言っていいほど聞かれるのがこの質問です。

私は基本的に

「塾に通わないよりも、通ったほうが学力が上がる可能性は上がります。しかし、その可能性の上がり幅は生徒本人次第です。」

という回答をしています。

塾に通えば成績は上がるか「あの生徒は塾に通い始めてから成績が下がった。」

という反応を示す学校教員は少なくありません。

しかし、そもそも学校の定期試験の成績

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「THE 世界大学ランキング 日本版2022」

「THE 世界大学ランキング 日本版2022」

今年も「THE 世界大学ランキング 日本版2022」が発表されました。

最近は年度末の風物詩のようになりつつあるようです。

「THE 世界大学ランキング 日本版2022」とは「THE 世界大学ランキング 」は英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が実施している、世界中の大学を一定の指標の下に点数化し、ランキングを行うものです。

日本版は、同社の指標やデータをベースとしながら

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「文系or理系」より「教養系or医療系」

「文系or理系」より「教養系or医療系」

今回の記事はこれから大学進学を考える中高生やその保護者の方に向けた内容です。

先日の記事で「学びたいものが決まらない」進学は決して悪いことではない、ということを書きました。

これと矛盾するようですが、医療系の大学進学は全く別の観点から考える必要があると私は考えています。

「医療系への進学は職業選択として考えるべき」

ということです。

看護系大学の就職先の割合医療系の代表と言えば看護師養成

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共通テストに関しての雑感

共通テストに関しての雑感

2022年度の共通テストが行われました。
受験生の皆さん、本当にお疲れさまでした。

さて、数学の教師である私としては必然的に今回大きく話題になった共通テスト数学の難化について触れないわけにはいかない(勝手に自分で言っているだけですが)でしょう。

まずは、確実に難化したと思います。

問題文の長文化やデータの分析の分量など、明らかに処理能力がかなり高くないと時間内に終えることは難しかったのではな

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