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こんな時代にゲストハウス?こんなときだから〇〇があるゲストハウス

 まだまだ暑い日が続きますが、皆様いかがでしょうか。福井県で地域をまるごと体感できる宿 玉村屋をやっていますナカタニ ショーです^^

 僕自身は、京都市出身で福井県に移住してから「ゲストハウスを作りたい」と考えるようになりました。
そのときに考えていたのは
*ゲストハウス〇〇
*定員は12名くらい
*価格3000円~3500円
*相部屋(ドミトリー)

のいわゆるバックパッカーが好みそうな宿。

それが今、運営している「地域まるっと体感宿 玉村屋」は
*定員7名(6ベッド)
*価格は6000円~
*相部屋なしの個室のみ

となっています。

今日は、なぜもともとイメージしていたゲストハウスが、こんなに変わった状態で開業したかを踏まえつつ、今からの時代だからこそゲストハウスということについてまとめてみました。

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1.そもそもゲストハウスって

 日本でのゲストハウスの始まりは、正直なところわかっていません。というのも「ゲストハウス」という言葉の定義付けがまったくなく、法律的にも「簡易宿泊所」だったり「民泊」だったり、と定義がまったくないので、記録がないのです。1987年2 月に京都でゲストハウスがあるという新聞記事があったということ(石川美澄,2012.07)なのですが、一般的には安宿としてのゲストハウスが沖縄で始まったのが2000年前後、その後2008年前後から全国でも開業が相次いだようです。なんせ法律的な定義がないため、統計として数が出ていないので、正確な数字はわからないのですが、おおよそ1200軒ほどあるのではないかと関係者の間では言われてきました。最近の世の中の動きで閉鎖するところもでているので、正直なところわかりませんが、それでもそこそこの数のゲストハウスがあると思われます。

 ゲストハウスは、大きく分けて2つのパターンがあると思います。
 ①バックパッカーなどの旅人が安くで泊まりながら長旅を節約しながらいきたいというニーズに答える安宿。海外ではホステルと言われることも多いです。これは特に沖縄、京都、東京、大阪、名古屋、札幌、仙台などの都市部や有名観光地に多くあり、部屋形態も相部屋(ドミトリー)を中心としたもの。
 ②もう1つが、いわゆる地方部にある、地域密着で暮らしを体験する迎賓館としての役割があるゲストハウス。これは都会ではなく、田舎にあることが多く、相部屋だけではなく、個室があるところも多いのです。
 このようなタイプの違いを踏まえつつ、これからの時代には後者の「地域の迎賓館」としての役割があるゲストハウスが必要とされるのではないかと考えています。

 これを教えてもらったのは、とあるゲストハウス開業のための講座。ここでは、集客や資金集めなど技術的なことも学びますが、それ以上に学んだのは、地域の迎賓館としてのゲストハウスの役割の本質的な部分。ゲストハウスのスタッフである自分が地域の代表みたいなものなので、自分が代表として訪れたゲストをお迎えするには、自分が無理をしない宿の形が必要だと言うことを学びました。

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2.移動の形態で一番多いもの

 話は一旦変わりまして、旅行形態は大きく分けて3つあると言われています。
①観光
②ビジネス
③VFR(Visiting friends and relatives)
旅行というと、ついつい観光旅行をイメージしがちですが、出張などのビジネス目的も旅行ですし、VFRという友達や親類、家族に会うのも旅行となります。この3つの中で一番多いのはどれだと思いますか?

 実はVFRと呼ばれる友達や親類、家族を尋ねる旅行形態が一番多いという調査が出ています。
 このVFRの大きな特徴は、他の旅行の形態に比べ、社会情勢に左右されないと言うこと。日本で災害が起こると「自粛」などと言い観光需要も落ち込むのですが、そんな中でも「友達や親類」に会いに行くのは話が別。つまり、なにかを見る娯楽的な観光よりも、日常的に知り合いに会うVFRは、暮らしの一部として減ることの少ない旅行形態なのかもしれません。

3.with感染症時代の旅

 今回の件に限らず、今後も何年に一度かは感染症が流行ると予想しています。なぜかというと、日本は今まで感染症があまり入ってこなかったですが、世界は常に感染症と戦っていて、人類が唯一克服できた感染症はたった1つ。それ以外は常に世界で人類を脅威にさらしています。つまり、人類の歴史は感染症との歴史と言う学者もいます。グローバル化が進み、世界を渡るのが気軽になった今、日本国外で流行っていたものはいつ国内に入ってきてもおかしくないと思います。
 そういった時代だからこそ、これからの暮らしは感染症のリスクも頭に入れながら作っていかなければいけないと考えています。
 しかし、そういった感染症の歴史の中でも、人類は旅をしてきました。そういったことを踏まえて考えると、これからの時代も感染症が流行っているからと言って旅行をやめるのではなく、ともに生きていく必要があると考えています。

4.オンラインが流行った今だからこその旅

 この社会情勢のプラスの影響があったのは「オンライン化」が進んだことだと感じています。みんなが家から出れなくなったからこそ、オンラインで「旅」のようなことをすることが当たり前になくなった人が増えてきました。オンラインで宿の紹介、そして近隣の観光地の紹介、ゲストとの交流。今までも技術の進歩により、画像や映像が鮮明になり、旅映像がよりリアルになったと思いますが、オンラインの旅系イベントだと、「本物を見たい」よりは、「(紹介してくれた人に)会いに行きたい」「紹介されたものを食べに行きたい」という声を聞くほうが多いです。

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 日本の宿泊施設の形態は大きく分けると、4タイプあると思っています。
①リゾートホテル、旅館
⇨ 大規模なもの、建物によっては少し辺鄙なところにある。その施設内で食事や温泉、お土産購入など完結する場合が多い。スタッフの対応は、必要最小限の対応な感じ。
②シティホテル、ビジネスホテル
⇨ 街なかにあり、食事やお土産などは外に行く場合も多い。上記リゾートホテル、旅館よりもさらに最小限の対応。なんならチェックイン、チェックアウト以外にスタッフと顔を合わせない
(ホステル型/バックパッカー向き)ゲストハウスや民宿、民泊など
⇨ 立地は様々だが、スタッフはフレンドリー。食事やお土産購入などで外に行くことも多い。宿によっては、チェックインとチェックアウト以外にスタッフと顔をあわせないところも多い
(地域と生きる)ゲストハウス、民泊
⇨ わりと地方部(田舎)に多く、スタッフは地域と強いつながりを持っている場合が多く、今までの観光地ではないコアな滞在を楽しむことができる。スタッフや他のゲストとの交流も多い

 オンラインが流行った今、旅人が求めているのは「人と会うこと」や「その土地のものを食べること」なのかなと思います。これは自分自身がどこかに行くときも同じように思うから。だからこそ、この価値が提供できる宿は「目的地」になることができ、これからもゲストを呼ぶことができる。そう思うと、人とのつながりが深い「ゲストハウス」のような宿がこれからも残り続けると考えています。

5.だから、今こそ〇〇があるゲストハウス

 僕が運営する宿「地域まるっと体感宿 玉村屋」は、その日その場所に集まった人たちが、ゲスト、スタッフ、地域住民などの立場に関わらず、一人の人間として関わる場所です。かつてから人々が話し合うときに作った「くるまざ」が繰り広げられています。くるまざは、その場にいる人の顔がみんな見える形で輪になり、対話をすると言うもの。
 そこでの約束は、たった1つだけです。それは「否定しない」ということ。なにかをやりたいと言う人がいても、自分自身が歳を重ねるほど「前にやったけど、できなかった」という経験が蓄積され、ついつい「それは無理だよ」と言ってしまいたくなるもの。しかし、その人によってスキルや時代は異なっているので、絶対に無理とは言い切れないのです。だからこそ、否定をせずにできる方法を一緒に考える。それが「くるまざ」における唯一のルールです。こういう風にポジティブな交流によって、その時代に必要なものが生まれる場所。それがゲストハウスなのかもしれません。

 そんなことが行われている玉村屋のコンセプトの原点にあるのが「ゲストハウス開業合宿」での学び。僕が育った場所であるゲストハウス開業合宿には今では、ファシリテーターとして関わらせてもらっています。
そんなゲストハウス開業合宿を11月27日(金)・28日(土)・29日(日) に広島県呉市で開催します。

【 こんな人にオススメ 】
*ゲストハウスに興味がある方
*廃れていく地元をなんとかしたい方
*人が集まる場所を作りたい方

 現在、参加者を募集中で、11月8日(日)〆切。先着順ではないですが、気になる方は早めにエントリーしてみてください。僕も全力で応援します。

6.まとめ

 ゲストハウスは、言葉の定義がないからこそ、様々な考え方で運営されています。バックパッカー、旅好きの人たちは、地域と交流する宿はゲストハウスじゃないと言うかもしれません。けれども、僕自身は、どんな形でもその人なりの定義があれば、全部ゲストハウスなのではないかなと思っています。それがゲストハウスという言葉の多様性なのかもしれません。これからの時代は「くるまざ(対話)のあるゲストハウス」が必要になってくると僕は思っています。だからこそ、こういう「くるまざ」という文化を広がたいし、それが宿という形じゃなくても良い。「くるまざ」があるシェアハウス、「くるまざ」があるカフェ。こういう場が、変化の激しい多様化の時代を一人ではなく仲間と生きていくために必要なのではないかなぁと考えています。

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