「アイドルの在り方──鼎談:minan(lyrical school)×キムヤスヒロ×細田日出夫(JAM)」を読んで

――Weekly Music Logじゃないですけど、どうしたんですか?

もともとWeekly Music Logのおまけで書こうと思っていたんですが、ちょっと流石にこれは別記事にしたほうが良いなと我に返って、ここに至ります。
Weekly Music Logについては、以下をどうぞ。

――そうなのですね。で、何の話なんでしたっけ?

懲りずにリリスクの話ですが、以下の記事についてです。
「アイドルの在り方──鼎談:minan(lyrical school)×キムヤスヒロ×細田日出夫(JAM)」ってタイトルだけで、必読ですし、なんてったって、インタビュアーは、つやちゃんです。

――つやちゃんで、このタイトルはつよい。

そうです。で、この記事、あまりにも思うところがありすぎたので、綺麗にまとめられず。。。
しょうがないので、引用の範疇を越えているという見方もあるかもしれませんが、頭から気になった箇所を引用しつつ、思ったことを書き連ねていこうと思います。そういう話ではないことは重々承知の上、この記事読んだ方は、確実に元記事も読み直していただくようにお願いします。(関係者の皆さま、問題ありましたら消しますので、大変お手数ですが、ご連絡いただけると幸いです。)

――なるほど。とりあえずやっていきましょう。

まずはここです。

アルバム『L.S.』で表現されていたアイドルラップの集大成としての形――それは、<それぞれの個が自らの魅力を最大限発揮し予測不能な着地点を皆で楽しむ>という、ある種のコレクティブに近いような自律した姿だ。そこには、極めてアイドルらしい<ゴールを決めて描いた完成形に向かい一人ひとりがパフォーマンスしていく>形態からの解放があった。

――序盤も序盤ですね。

この記事、構成的に、序文として先日の野音についての話に触れた後、インタビューに入っていく形なのですが、まず、もう序文が凄いわけで。
ここでは、自分がリリスクに感じていた魅力を的確に言葉にしてくれました。まさに「それぞれの個が自らの魅力を最大限発揮し予測不能な着地点を皆で楽しむ」なんですよね、リリスクは。

――こういったグループはなかなかいない気がしますね。

少なくとも自分は他に知りません。もしいれば是非知りたいぐらい。

――それで続いての箇所は?

ここです。

ラップはメロディを歌いあげることなく、ただ淡々とリリックを積み重ねていく。その地道さ、作為的ドラマとの距離感をヒップホップでは<リアル>と言ったりもする。だから、現体制のリリスクはリアルだった。最後まで、最高にリアルだった。

――ヒップホップで良く話題に挙がる「リアル」の話ですね。

個人的にはリアルかフェイクかの二元論を揺さぶったのがリリスクだとも思いますが、ここではあえて、リアルなのであるという方向に振り切っていて、これはこれで、めっちゃ分かるな、、、となりました。

――少なくとも、リリックを書いているか否かというごく限られた話で、リアルかどうかを語るのはナンセンスであることが分かりますね。

そう思います。
そして、個人的には結構驚いたのが次の箇所。このインタビューに至った背景についてです。

このインタビューは、野音の前に収録されたものだ。リリスクの一つの到達地点である『L.S.』が完成するまでの道のり、そして“キング・オブ・アイドルラップ”のリリスクが見てきた景色と培ってきた信念。それらを浮き彫りにし残しておかなければいけないと感じ、公の場では初の座組みとなる3名にインタビューを打診した。

――どこがそんなに?

最後です。これは「つやちゃんから打診」したと読みました。
業界の構造をそんなに知らないので、インタビューというのが、どこがトリガーで実施されることが多いのか分かっていないのですが、少なくともこの話は、つやちゃんがトリガーを引いた。逆に言えば、引かなければこういった話はなされなかったということが、良くも悪くも、とても引っかかりました。

――どういうことでしょうか?

この後の内容にも出てきますが、リリスクのマーケティング戦略みたいなものって、率直に言って、資本主義的にはあまりうまくいっていないと思います。オペレーションの拙さが気になるときもありますが、やっぱり、リリスクの面白さがなかなかうまく発信されないというのが一番の気になりポイントなんですよね。
話せることはたくさんあるはずなのに、それが表に出てこない。今回はそれをつやちゃんが引き出してくれたわけですが、リリスクを考えるうえで、この状況については、考えざるをえないです。

――なるほど。この後にも話が出てくるということなので、一旦この辺で、次に行きましょう。

次はここです。

読んでいただくと分かるが、今後のグループの展望についても触れることとなり、その話題のスコープの広さを考えてもこの記事は野音の後にお届けした方がいいだろうという判断に至った。

単純になるほどなーという感じですが、もともとは野音前に出す予定だったんですね。その辺も興味深かったです。確かに、これは野音の後で良かったと思います。それほどに深い内容です。

――ここから漸くインタビューパートですね。

やっと本編です。ここからがまた面白いわけですが、序盤は「L.S.」の話をしています。
この辺りは、他のインタビューでも触れられたような話ではあります。
そこを経て、ここまでの変化についての問いに対するキムさんの返答です。

「シングルはとにかく早くてライブで盛り上がる曲を作ろう!」みたいな空気がなんとなくあって、こんな感じで続けていくとすごく息苦しいなぁと思うようになりました。そうやって、いつしか自分の中では一回(アイドルシーンでやっていく)芽を切っちゃったところがあるんです。もちろんいなくなったお客さんはいたけど、でもその代わりに新しいお客さんも来てくれた。だから、今いるお客さんのライブでの反応を意識した曲ばかり作家さんに作ってもらうのではなく、もう素直に自分たちが面白いと思うからやる、みたいなことを積極的にやっていくのがいいんじゃないかなって。

前半部分は、まぁそうだよなぁという気がとてもします。今はまた違った流れがあるような気もしますが、ちょうどフェス全盛期だった当時のシーンには盛り上がる曲ばかり求められていましたからね。でも、それをここまではっきりと発言したのには驚きました。
後半部分は、今のリリスクのアティテュードが良く分かる発言になっていて、まさに自分たちがカッコいいと思うこと・面白いと思うことをやっていくという趣が、最近の活動、特に楽曲面に良く表れていたのだろうと思っています。個性に、よりフォーカスした活動形態というのも、ここが根本にあるのだと思っており、個人的にはとても面白いと思っていましたが、ハイコンテクストな一面もあり、そこが難しいところなのだろうと思っています。

――ここを面白いと思える人が新しいファン層となっていたのでしょうね。

そう思います。細田さんのまた違った角度からのこのリリスク評も、前にどこか別のインタビューでも似た話を読んだ気がしますが、改めて考えるとその通りだなと。

まず5MCの女性ラップグループって日本はもちろんのこと世界を見渡してもいないわけですよ。
(中略)
だからこそ、5人のMCが揃っていてしかもそれが全員女性だっていうのは、これほど面白い存在はないよねと思っていたんです。

――言われてみれば、他には思い当たらないですね。

その上で、細田さんはリリック自分で書かない問題に対しても、明確に切り返しています。

そこで頭の余り柔らかくない人たちがよく言うのは「ラップは自分でリリックを書かないとだめだ」という批判ですね。たとえばウータン・クラン(Wu-Tang Clan)は同じフッドで同じ価値観を持っているので、5人それぞれでリリックを書いても違和感がないんですよ。でもリリスクは出自もタイプも違う。そういう人たちが5人でそれぞれリリックを書いていくとまとまるはずがないんです。セルフボースティングが基本だったら大人数でもなんとか成立するかもしれませんが、5人のMCでエンターテイメントを作っていく際に共通のメッセージを発信するためには、作家さんに書いてもらうというのが最も適切な手法なんです。

正直、自分にはこの発想はなかったですね。そうか、そういう捉え方があるのかと思いました。
ある意味、ここにアイドルの流儀や面白さというのが流れている気がします。良くも悪くも、まさしく"アイドル"=偶像は、誰かによってプロデュースされて=造られて成り立つものだと思います。そのプロデュースが前提にあることで、グループとしての方向性がまず明示できる。でも、それだけだと何も面白くないわけですが、そこに各作家の個性、そして各作家の考えるメンバーの個性が様々なバランス・グラデーションでミックスされてアウトプットされていく。そういうところに、アイドルの面白さ、とりわけリリスクの面白さがあるのだろうと改めて考える発言でした。

――リリスクや楽曲の話を経て、ここからインタビューは更にディープな内容に入っていきます。売れることに関しての話ですね。

なかなかドキッとする内容ばかりでした。ここまで赤裸々に語るのかと。正直、これを野音前に出されたら、ファンとしては色々考えちゃうかもしれなかったので、やはり野音後に出す判断は正しかったと思います。

――まずはminanさんのここからですね。ここから話はドライブしていきます。

私は、キムさんや細田さんと一緒にやっていけば間違いないと思っています。絶対にダサいことやカッコ悪いことはしない。だから、いつ売れてもおかしくないはずなんです(笑)。でも何かが足りないんでしょうね。それは悔しいですよ。

インスタライブなどでも時折こういった発言はあったと思いますが、ファンとしては、そうだよなぁ、、、の一言。個人的には、ヒットというのは偶然の連なりであるし、当たり前のことだとは思いますが、カッコいいことやっていれば売れるわけではない世の中なので、その偶然を手繰り寄せられていないというのが、リリスクの今の現状なのだと思います。

――ここでつやちゃんが更に突っ込んで聞きますね。

ここまで突っ込んで聞けるのは、お互いに信頼関係があるからでしょう。こっちがひやひやしちゃいます笑
ここですね。ここは丸々引用します。

──あえて訊いてしまいますが、「もっとこういうことをやれば売れるんだろうな」と思うことはありますか?

minan まぁ……それはありますよね。キムさんとの会話でたまに「悪魔に魂を売る」っていう表現を使うんですけど(笑)。売れるために何か自分にとって絶対的に大事なものを捨てるニュアンスですかね。

──minanさんはブレない芯があって、良い意味で頑固じゃないですか。ここは譲れない、というのがはっきりしている。だから、それだけ「売れたい」とずっと公言していながら「絶対にこれはやらない」というのが明確にありますよね。それは、音楽性でもプロモーションでもあらゆる面において。

minan ありますね。人一倍強いと思う。でもそのせいで苦しむことも多いし……もっと馬鹿になってやればいいのにって。

――「悪魔に魂を売る」ですか。

そうですね。"売れる"ことを第一の目標に置くのであれば、取りうる選択肢というのはたくさんあるのだろうと思います。
でも、リリスクが目指すところはそこじゃないのだろうと。想像もできないような逡巡や苦労があることは間違いないでしょうが、それでも、リリスクとしての矜持を絶対に捨てない。そういうところに、所謂、新しいファン層というのは惹かれているのだと思います。自分も含めて。

――でも、売れなきゃやっていけないですよね。

そうなんですよね。そこについては、まだ思うところもあるので、後述します。
このminanさんの発言に重ねて、キムさんがより大きな話をしています。

キム その自意識は、大事にして良いものなんじゃないかな。周囲の期待とか、さまざまな立場の人の思惑に板挟みになるからね。そもそも、アイドルビジネスの構造ってグロテスクなものになりがちじゃないですか。今までの自分達の活動への反省も含めて、プロデュースする側とされる側とか、選ぶ人と選ばれる人の間に力関係が生じた時のグロさに皆が気づきながらも目をつむってる部分がある。ここから5年から10年とかは、分水嶺だと思っています。だから、すごい基本的なことから自分が誠実だと思うことをやっていきたい

――まさにタイトル通り、「アイドルの在り方」の話ですね。

アイドルビジネスの構造のグロテスクさというのは、一応自分もこれまで何度か考えてきたことではあって、無視していたつもりはなく、ここで初めて気づいたというわけでは全然ないです。過去にBABYMETALに注目していたこともあり、角度は若干違いつつも、そこでも同じ構造があったと思います。
どうしても、アイドルビジネスは搾取構造があらゆるところに入り込んでいるように見えちゃうんですよね。それは事実そういう面もあるのだと思いますが、それは資本主義構造そのものの問題だとも思います。
「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像する方がたやすい」現状において、それでも、あらゆる方面から、この現状を切り崩そうとする動きはあると思います。それがうまくいくのか?それで良いのか?については、私が語れる範疇ではないと思いますが、リリスクも、だからといって今の構造に甘えるのではなく、事実を直視したうえで、進もうとしていることが、やはり信頼できます。
過去につやちゃんがポッドキャストで発言していたリリスク評、「擦れてなさ」を思い出します。

――さらにキムさんのアイドルの捉え方に関する発言が続きますね。

以下ですね。

アイドルって職業は「トゥルーマンショウ」的なエンタメじゃないから、アイドルを応援する・してもらうっていう関係は一種のロールプレイだと思う。みんなもうちょっとそこに正しく乗っかってほしいなって。精神的にヤバい状態になってるアイドルにカメラ向けて「撮れ高」みたいなこと言ってる時代は、おかしいですよね。

おっしゃる通りと思いました。
搾取なのか、そうじゃないのかというのは絶妙なバランスの上に成り立つものであって、0・1の話ではないと思っています。だからこそ、ファンを含めて、関わる人達みなが、全体のバランスを考えないといけない。そこを意識しないとそのバランスは保てないのだと思います。

――minanさんのアイドル側からの視点もありますね。

これはもう切実ですよね。その切実さの中でも、アクションを起こそうとしていること、それ自体が本当に尊いです。

どうしてもアイドルというのは長く続けられない仕事というイメージが拭えなくて、それはやってる本人たちも感じている。私もグループをやっている中で、メンバーの誰かが卒業を考えてるんじゃないか、もう長くないんじゃないか、というのを常に不安に思ってきました。でも「それっておかしいじゃん?」と感じる時もあるんです。不安に思ってる私も含めて、皆、精神的に不健康な環境なのかもしれない。アイドルという職業に対しての認識なのか、システムなのかどこかに歪みがあるように思えます。そういう部分を新体制のリリスクではしっかり考えていきたいです。

――ここでは、アイドルの持続可能性と言った話だと思いますが、ちょっと違った視点をキムさんは投げかけてもいますね。

そうですね。自分も感じていたことです。以下ですね。

キム 逆に、「辞めまーす」ってもっとポップに言える環境を作るのも大事だと思います。ライトに辞めていつでも戻ってこられるようなノリだったらいいのにって。その方がメンバーも色んな挑戦もできるようになるし。

確かにアイドルという仕事が持続可能性であることを追求することは、絶対的に重要だと思います。それは揺るぎません。
一方で、今回のリリスクの体制変更については、自分自身は良かったと思う部分も正直あるわけです。それは、"ちゃんと終えることが出来た”からです。
選択肢だと思うわけです。続けることも辞めることも、選択できる環境があること。これはこれでシンドイことだとは思います。自分で決断しなきゃいけないので。でも、リリスクというのはそういうグループなのだと自分は思っています。
個々人で考え方・捉え方は色々だと思いますが、辞めたいと思った時に、自分の決断でちゃんと辞められることは重要で、それこそ搾取なのかそうじゃないのかのバランスの上に成り立っていることだと思います。
次のリリスクは、そこを追求してくれるような予感がして、やっぱり信頼できます。

――この後には、その体制変更に至った経緯にも触れられています。

まぁそうだよなという話ではあります。それぞれの立場において、見えるものは違うでしょうし、コロナ禍が与えた影響は、どう考えても大きかったでしょう。もしコロナ禍がなかったら、リリスクはどうなっていただろうか?と考えることも、自分もあります。
ただ、minanさんの以下の部分には、驚きました。

minan (キムヤスヒロ氏の方を向いて)だから、次はもっともっとメンバーとコミュニケーションとっていきましょうよ。もちろん言えること言えないことはあるとは思うけど、もっとこれまで以上に話していきたい。

批判をするつもりは全くないのですが、こういう発言が出るということは、それほどまでに、メンバーと運営側でのコミュニケーションが十分ではなかったことを示唆するものだと自分は捉えました。そんな意図は全くないとは思いますが、まさしく搾取の構造のひとつとして絡めとられてしまったのかもしれない。
コロナ禍を経て、社会全体においてコミュニケーションの在り方というのは再構築する必要があるのではないかと思っています。これまでと同じ感覚ではうまくいかないでしょう。SNSの功罪という大きな問題もあります。
そこは、次のリリスクでしっかり向き合ってくれたら嬉しいなと思いました。

――今後の展開については、細田さんがマーケティング戦略的な話もしていますね。

以下ですね。

具体的には、サブスクリプションでの再生回数を持続させること。少しずつですが近づけてはいると思うし、粘り強くやっていくしかない。TikTokでバズるみたいなのは偶発的なものですからね。レーベル側は一回TikTokで跳ねるとそれだけでかなりありがたいのは確かですけど、でも一発当てたけど次どうしよう? って苦しんでるアーティストが山ほどいるんです。もちろんTikTokに向けて種をまいておくのは大事だけど、そこを中心に置くのは警戒しなくちゃいけない。

ここは正直ピンとこなかったんですよね。。。再生回数が大事なのはその通りだと思うのですが、そこが具体的な結果の一例としてまず出てくるのかと。TikTokの話も、そりゃそうなのですが、少なくとも(個人は別にして)リリスクとしての、種をまく行動はほぼしていなかったと認識しているので、どういう位置づけをしているのかがピンときませんでした。
当たり前のことを、当たり前に言っている箇所だと思ったので、じゃあその上で、リリスクなりの個性はどこにあって、どうアプローチしていくのか?が必要なんじゃないかと、不躾ながら思いました。個人的には魅力はライブにあると思うので、そこをどう魅せていくのか?には、まだ可能性があるのではと思っています。

――なるほど。まぁ、でもここでは触れてないだけかもしれないですね。

まぁ、それはそうですね。

――それで、最後の部分と。

もう、ここにはいたく感動してしまいました。以下です。

──私は、リリスクはもっと多くの人に聴かれるべきだと思っているし、今後もそう念じ続けます。

minan 折れない心が大事ですよね。……折れない心。たまに折れそうになるけど、折れちゃいけない。うん、折れちゃいけない……。自分に今、言い聞かせています(笑)。

minanさんの切実さは本当に尊いのですが、ここではつやちゃんの言葉にフォーカスします。
リリスクはもっと聴かれるべきというのは、つやちゃんはずっと言い続けいていることと思います。
そのうえで、「念じる」という言葉を持ってくるのが、凄いなと。。。
「応援している」でも、「祈っている」でも、「願っている」でもないんですよね。「念じる」んですよ、なんか凄くないですか?

――あまりピンとこないですけどね、、、

自分でもうまく言語化できないんですが、このニュアンスがとても重要な気がします。つやちゃんも意図的にこの言葉を使っているのではないでしょうか。
近すぎず、遠すぎず。関与しなさすぎず、関与しすぎず。この何とも言えない距離感。でも力強い。自分も「念じ続け」なければと思いました。

――インタビューは以上です。それにしても引用しまくりましたね。

しまくりましたね。。。

――改めて全体を通して、いかがでしょうか?

全体通して感じるのは、「いかに、これまでリリスクがその魅力を多方面にコミュニケーションしきれていなかったか」です。
メンバーとのコミュニケーションの話もそうですし、どうもマスには届かないこの感じにもどかしさを感じます。
つやちゃんが著書「わたしはラップをやることに決めた フィメールラッパー批評原論」にて、「Wonderland」のレビューの冒頭でこう書いています。

リリスクの醍醐味を真の意味で享受するためには、ヒップホップとアイドルの関係性という文脈への知識が必要であり、そうでなくてもキレのある時代感覚や勘が求められる。

やはり、少なからず「求められ」ちゃうわけです。それが悪いとは全く思いませんが、"売れる"ことを目指すのであれば、ここと向き合わなければいけないと思います。
なんとなく思っているのは、(他の書き手をどうこう言う意図は全くないのですが)つやちゃんのように、リリスクの文脈を魅力的に表現できるような書き手が出てきていることが、一つの可能性だではある思っていて、こういった表現者が増えてくれば、状況も変わるだろうと思います。
それでも、逆に言えばそういう表現者がいなければ、魅力が引き出されないっていうのは、本末転倒なので、矜持がある中で、譲れない部分はあるのは承知の上ですし、そこがぶれてはいけないと思いますが、まだまだやり方はあるような気がします。そこは次のリリスクに期待したいところです。

一方で、これからはファン側の力は増すばかりと思います。BTSしかり日本ではYOASOBIしかり、ファンをうまく巻き込んでいくことが、そのアーティストの活躍に多大なる影響を与えていることには異論はないかと思います。(そういえば、YOASOBIについてはこんなことも書いてました。YOASOBIは、ファンの巻き込み方が抜群にうまかったなと感じています。)
そう考えた時に、いかにファン側が、リリスクを通して多様な表現を出来るのか?というのもポイントになってくるはずです。
なんとなく、良くも悪くも、この規模のアイドル文化というのは、1:1のコミュニケーションに回収されていく感覚があり、それが周りに拡がっていきづらい部分もある(ex.チェキやお手紙の文化)気がしていて、その熱量がもう少し違った形で表現されていくと、また面白いうねりが生まれるのではないかとか思っています。

――長かったですが、こんなところでしょうか。

そうですね。色々書きましたが、現時点で、次のリリスク、"3期"のリリスクには、めちゃくちゃ期待しているので、今後も注目していきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。

#音楽 #リリスク #lyricalschool

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