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読書ログ 『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』

どんな本?

 元BCGで現在は「考えるエンジンちゃんねる」を運営する著者が、コンサルで修行して得た仕事術をまとめた本。コンサルタントとは思えないくらい平易で親しみやすい文章で描かれている。何より言語化力がとても高く、読みながら自分が仕事で得てきたことが解像度高くフラッシュバックしてきた。「この本の働き方さえ覚えておけば、大きく間違うことがない」と思えるほどの良作で、担当者レベルのビジネスパーソンは必読の内容だと思う

こんな人におすすめ

  • 仕事ができるようになりたい人

  • 仕事を好きになれない人

  • 「問題解決」「戦略」に興味があるが、難解な本を読む気が起きない人

おすすめ度

★★★★★(自分の同僚や後輩全員に薦めたい本)

学び(★は自分の意見)

仕事の順序は必ずこの6ステップ:ろーさーTースー作ーア

  • 論点→サブ論点→TASK→スケジュール→作業→アウトプット の略

  • 特に論点・サブ論点(論点の分解)の設計がキモ。ここを間違うと間違った問題を解くことになる

  • ステップが進む時には上司の相談を仰いでOK。なんとなく「どう進めたらいいですかね・・・」という相談はサイテー。

  • ★自分も直近の戦略立案の仕事で論点設計の重要性を身に染みて感じた。上司から来る論点すら荒いことが多いので、それをもとに議論を仕掛け、きちんと論点を設計してから動き出すことが超大事。

  • ★TASKにもインプット系のものと考える系のものがある。後述するが、インプットなしに考えてもただの無駄。

VS思考

  • 人は必ず比較感の中でものを考える。BCG元日本代表の杉田氏が多用していた技術

  • 広く浅くVS狭く深く、単価UP VS LTV UPなど

答えのないゲームの戦い方

  • ビジネスのほとんどは答えのないゲーム。そこで暫定解を出し、前に進むには以下の3つが必要。

    • ①皆が「セクシーだ」と思えるプロセスをきちんと踏むこと

    • ②2つ以上の選択肢を作り「良い方を選んだ感」を醸成すること

    • ③炎上を是とする。平穏なまま良い解が出るはずがない

メリデメは評価基準が隠れるのでNG

  • 意思決定をしたいなら、評価基準と案のマトリックスを作るべし

議事録ではなく議事メモ

  • 最高の議事メモは以下のような進化の過程を辿る

    • ①会議の発言のメモ=発言録

    • ②発言録を構造化し、ネクストステップとその場の空気感を追加する=議事録

    • ③論点ベースで構造化した上で、議論前の仮説がどう進化したか示す=議事メモ(上)

    • ④さらに、ネクスト論点(次回MTGで議論すべき論点)まで記載する=議事メモ(特上)

天才・師匠・上司との時間を大切にし、もっと話に行く。吸収する

  • 記載のとおり。やる人とやらない人で差が出る。

会議に出席するなら絶対に発言せよ

  • 自分にもフィーがチャージされている

  • 困ったときの発言ネタ(変なことを言ってもスルーされるだけだから心配しない!)

    • テーマに関する事例をこっそり調べておく

    • 先のミーティングの予定日を覚えておき「●月●日です」と言う

    • 過去の資料を全て持っておき「ここに載っています」

    • スライドの注釈を全て答えられるようにする

    • お客さんのno.3と仲良くなり、話しやすい雰囲気を作る

一点豪華主義が最高!マルチタスクに追われることはあるが、4打数1安打でいいから最高級のアウトプットを出す

  • 記載のとおり。マルチタスクにおいても選択と集中。

「生煮えですが」「粗品ですが」はサイテー

  • 「このアウトプットが今のベストだ!」と言いながら持っていくべし。日本人のへり下り思考は害でしかない

    • ★言い方の問題だと思う。「方向性を議論するペーパーとしてはベストだが、詳細部分はまだ詰めていない」と言えば良いところを「生煮えなんですが、方向性議論したく・・・」と言ってしまうのが最悪、という話。全部詰めてから持っていけ、という話ではない。

    • ★それでもTMNFでは阿吽の呼吸的に「たたき台ですが」と言う風習があったので、ほっとくとそうなる、と言うことは強く意識したい。

FYIすれば、人との距離は間違いなく縮まる!

  • FYIは恩着せがましくなく情報共有できる最強のツール

  • 内容もそうだが、「自分を思って情報を送ってきてくれたこと」が何より嬉しい。人たらしへの第一歩。

部下には解を提示するのではなく、問題解決の過程を体感してもらう

  • 「Vodkaさんと働くと成長できるんですよね」と言われたら勝ち。

自分でも考えていたので続けたいと思ったこと

辻褄思考

  • 目の前の事象を鵜呑みにしたり文句を言ったりせず、起きた背景を想像し、「こうすれば辻褄があるからきっとこうなのだ」と仮説を立てて行動すること

  • ★自分もよく「相手軸に立て by人事」とか「想像力を働かせて先回りしろ by鬼上司」と言われまくってきたので、この思考には納得。「お前わかってんなあ」を積み重ねることで信用が積み重なり、仕事がうまくいくようになる

相談(依頼)+結果報告で1セット

  • ★これは間違いなくそう。相談を受けた人は「自分の相談が役に立ったのか」と気になっているわけで、そこに「あなたのおかげでこうなりました」と報告する(もっというとそこに「I メッセージ(私は特にここが刺さって、行動がこう変わりました等)」をプラスする)ことで、相談を受けた側は一気に嬉しくなる。

  • 報告をする人ばかりではないので、相対的に「こいつの相談には乗ってあげたい」と思ってくれるはず。良いことづくめ。

まず論点に答える

  • 鬼上司から毎日のように「俺の質問に答えろ」と言われ続けた。コンサルと同じ環境を作ってくれてありがたい限り。

インプット命。インプット=材料が超一流でなければ、良いアウトプットなど出ない

  • 良い寿司屋は大将の腕前(=考えること)が一流であるのはもちろんだが、それ以上にネタ(=インプット)が超一流である

  • アウトプットの工夫(アイディア出し)よりも、インプットの工夫(どうやって思考の材料を集めるか?)をすべし。ワインについて知りたいなら、ワインを買うとか、ワイン漫画を読むとか、業界紙の担当者と話すとか、店舗で店長に聞くとか、良質なインプットの仕方はたくさんある

  • ★「少ないインプットでアウトプットしすぎてインプットが枯渇気味」という言葉を自分はよく使うが、まさにこのイメージ。世の中は考え方やスタンスに関する本を礼賛する傾向にあるが、そうやって頭でっかちになる人の典型的な例として、インプットがまともにできていない、ということがある

  • ★本書にも「あの記事知ってる?あのニュース見た?などと言われたらゲームオーバー」という言葉があるが、まさにそれ。真剣に何かを検討したいなら、誰よりも深く緻密なインプットを、歯を食いしばってすべし。

    • Goooooogleまで調べる狂気

  • インプット時には、「え〜こうなってるってこと?どうして?」などと声を出しながら好奇心を持って調べる

    • ★自分もよくやる。調べることで謎が解けたり、自分だけ世界が広がることを楽しむ感覚。逆に言うと、それができず「調べなきゃ・・・」となっている調べ物は危うい。何かを変えないといけない

+2度の体温でコトにあたる

  • 自分が未熟だと感じた時に、「僕なんて」といじける人が本当に多いが、歯を食いしばってチャームでカバーしないと、良いチャンスは絶対こない。どんな人でも最初は未熟である。

  • ★本当に大事。佐久間Pも同じことを言っていたし、自分も自発的に心掛けている。要はピュアでご機嫌であるべしということ。いじけてスネて勝ち負け思考に走るのはその対極。自分の周りの仕事ができる人は皆体温が高い。梅さんはAll handsでいつも笑顔だった。

「オープンクエスチョン+自分なりの答え」で質問する

  • オープンクエスチョンだけではバカっぽいので、「自分はこう考えたがこれであってますか?」と言う聞き方をする

  • ★自分は、質問は以下の2つしかないと思っている

    • 「自分の解釈が一応あり、その理解であっているか?」を確認する聞き方(仮説検証型)

    • 「ここがわかってないから仮説が立てられない。このトピックについて要点を教えて欲しい」という聞き方(仮説発見型)

    • ★「何がわからないかわからない」も含めてメタ認知した上で質問すること。でないと答えようがない。

成長しているか?と不安になったときは・・・

  • 成長は振り返った時に実感するもの。ガムシャラなときは感じないよ

  • 他人と比較する?いや、比較するのは昔の自分だけだよ

人に頼って出したアウトプットも大正解

  • ただ天才が言ったことを活字に落として構造化しただけで大感謝される。人はよく「これは自分で生み出してないから自分の付加価値じゃないや・・・」と思いがちだが、そんなことを言っていたら偉い人しか価値を出せないコトになる。すごい人たちが言ったことをまとめて結論を出すファシリテーション・プロマネにも立派な価値がある

  • ★Q3でLD達の議論を取りまとめて戦略の絵を書いた時、この感覚を学んだ。自分はただ聞いて取りまとめて、論点からずれないようにファシリしただけ。それでもその中でみんながやりたいことが見えてきて、「それって絵にするとこう言うことですよね」「こう言う見せ方だと我々がやりたいことをみんなにも魅力的に思ってもらえますよね?」などと、自分なりのアウトプットにつなげることができた。すると「お前のおかげだ」と言われるようになる。

  • ★その時考えていたのは「自分の手柄」ではなく「プロジェクトの成功」であり「組織貢献」。そう言う気持ちを持てていれば、組織がよくなっていることに喜べ、それが結果的に良い仕事になる。

「あれどうなった?」の前後は天地の差

  • ★「あれやっておきました」へのこだわりはいつも意識していたので超共感。

プロマネの仕事はタスク管理ではなく、論点の解消に導くこと

  • ★なんとなく人のお尻を叩くのはいたたまれない気がしたが、これで納得。各タスクの論点解決のための良き相談者になること

仕事がつまらないのは、内容がつまらないんじゃなくて、自分の仕事の仕方が下手だからつまらない

  • ★共感。上手なことはなんでも面白いはず。だから自分は、人生の大半を占める「仕事」に興味を持ち、土日に人よりちょっと努力して上手になることで、楽しく生きようとしているのかもしれない。

感想・Next Action

  • 外資のレベルの高い会社に転職する、という筆者と共通の境遇の前に読めてよかった。

  • 「歯を食いしばって」と言う言葉が多用されている点に共感した。シンプルに「良い仕事は歯を食いしばらないとできない」ということだと思う。自己研鑽、スピード、ご機嫌、インプット、思考や言語化に歯を食いしばれているか?はいつも自分に問い続けていたい。

  • 自分でも意識できていた点がかなり多かった。そうやって育ててくれた今の仕事環境に感謝したいし、自信を持ちたい

  • 「Vodkaさんと働いていると成長できる」と思われるように頑張りたい。

  • 特に以下の3つを意識する

    • 歯を食いしばって+2度。いつも可愛く、絶対にスネない

    • ローサーTースー作ーアー(D)の順番を必ず守る

    • 人よりも良質なインプットへのこだわりを持つ

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