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読書ログ 『感情戦略』


どんな本?

TSUTAYAでジャケットにひかれて読んだ。今の自分が「転職後の新しい環境でValueをなかなか出せていないことでメンタルが弱っている」からこそ琴線に触れたのかもしれない。洋書特有の長い言い回し(特にこういうテーマだと往々にして同じことを何度も言っていたりする)に加え、著者が詩人であることも手伝ってか冗長な気がしたので、1時間で拾い読み。
訳者のおかげかもしれないが、言語化が非常にうまい印象を受け、自分が困っている感情への対処法について有益な示唆をいくつか得られた。

特に「脆さを受け入れられるようになれ」というのは自分にとってかなりのTake Awayだったように感じる。自分の価値観は「いかに完璧に近い有能な人間になるか」だったので、脆さを受け入れるという考え方は非常に新鮮だったし、脆さがあってもいいんだと思えることで前向きな気持ちになれた。

物事に動じない人は往々にしてかっこいい。自分はもっと年相応な安定感を持ちたいと思っているが、だからこそ逆に脆さを認識し、受け入れる(愛す)ことで感情を安定させていく。そういえばメンタル面で尊敬するダルビッシュも、一周回って開き直って脆さを受け入れているように見える。

おすすめ度

★★★☆☆(拾い読みするくらいがちょうどいいので、買うほどではない)

こんな人におすすめ

  • 人の目が気になる人

  • メンタルが強くなりたい人

  • 仕事に前向きになれない人

学びメモ(★は自分の感想)

人の目が気になる理由

  • 自分が、思っているほど幸せではないため。自分が本当に幸せなら他の人に満足してもらうかや、他の人からどう見られるかははどうでもよくなる。「他人から認められるか」よりも「私は私の人生を認められるだろうか?」と問うてみる

  • ★とはいえ「人から認められること」と「自己の幸せ」に相関はあるので一概に「自分を認められればそれでOK」とは言えないと思う。一方で、「脆さを受け入れる」という話もある通り、「すべてにおいて人から認められるくらいできていないといけない」必要は全くないといえる。「これは自分の強みだから人からも認められるくらい磨きたい」とか、「これは自分の脆さだけど、直せないし自分らしさだから、他人からどういわれようとそのままでOK」みたいな仕分けをするとよさそう

仕事で自分をアピールできない理由

  • 自分にできる最高の仕事をしていない、ということをなんとなく自覚しているから。「自分の仕事をみんなに知ってもらおう」と心から自然と思える時、自分の能力と可能性を最大限に発揮した仕事ができたということになる

    • こころの知能指数が高い人は、自分のそういった感情と向き合う時間を常に取っている

  • ★「仕事で全然アピールできてないんだよな・・・」の解決策は、「もっとアピールしよう」ではなく、「知ってもらおうと心から思える仕事をできてないこと、そういった仕事をできれば無意識的にアピールは進むことを自覚し、じゃあ心からそう思える仕事をするために何が足りないか?どうすればいいか?を前向きに考えること」だと思う

  • ★なぜこころの知能指数が高いとよいか、を考えてみると、単に感情が安定しているから良いという話でなく、「自分自身の問題解決がうまいから、何事も成功しやすい」ということなのではないか。「自分自身の問題解決を(単なるロジックだけでなく)人間感情を踏まえて持続可能的に行えるから、自己実現できやすい」と理解。

無意識は常に快適を選ぶ

  • 無意識は常に快適を選ぶので、頭脳を使って(それに反抗し、)優れた判断を下す必要がある

  • 変化はどれだけ前向きなものだとしても慣れるまでは居心地悪く感じてしまう。新しい日常の感覚に、時間をかけて体を慣らさないといけない

  • ★ Comfort zoneを抜け出した時の不快を「必要経費」ととらえられるか、「避けるべきもの」ととらえてしまうか

不安の原因

  • 人生の不安のほとんどは批判的思考のスキルの欠如からくる。悪いことが起きても対処する力が自分にあって、対処する道筋が描けていれば不安にならないはず。つまり、普段から「現状を批判すること」に慣れていて、悪いことが起きても想定内といった気持ちで「対処できる力が自分にはある」と自信を持つことで不安を感じにくくなる

  • 不安をなおしたければ、今の状況を処理する方法を学ぶ必要があるが、早急に結論にたどり着きたがる傾向が人間にはあるために、感情的になったり、逃走反応を示したりする

    • ★ 逆境の処理はそんなに短時間ではいかないよ、と思えていることが感情を安定させる。ここでも「脆さを受け入れる」

  • 特に、知的な人は物事を立体的に、多角的にとらえてしまうがゆえに必要以上に考えてしまい、恐怖に不要な根拠を想像してしまったりすることで不安になりやすい

過去の不安や傷を断固として未来に持ち越さない

  • 成長のためには、過去の傷を未来へと「断固として」持ち越さない。人生を変える必要があるのに、過去の荷物やがらくたにいつまでもしがみついているから痛みを感じてしまう。

  • しかし、「ただ強い意志で忘れようとする」だけで忘れられるわけではない。ではどうすればいいか?

  • 信じられないかもしれないが、「今」にエネルギーを注ぐと無限の可能性がある世界へと自由に足を踏み入れられるようになる。時間は「今」であり、場所は「ここ」である。「過去こうだったから、こうなるかもしれない、どうしよう」などは思わないようにする

    • 人生の問題のほとんどは、私たちがいるのは「今」であり「ここ」なのに、今と言う瞬間に心を落ち着けて存在できないことから始まる

    • 勇気をもってその不快感に立ち向かい、受け入れないといけない。たとえその不快感で胃がむかむかし、顔がゆがみ、出口なんて絶対見つからないと思ったとしても。

    • 瞑想によって「感情を感じる」ことができるようになる→どれだけ魅力的だったり動揺させられるような感情に対しても、反応せずにじっとしていることを学べる

    • ★ここは自分にとっての機会かも。物事に動じない人はかっこいいけどそんなにいない。じゃあ自分がなれば一気に人と差別化できる。そういえば今の会社の偉い人も、俺が面接でニコニコしていることを評価してくれていた。

自分の「脆さ」を受け入れる

  • 「脆さ」は人生のほぼどんなことよりも大切なので、脆さを受け入れるようになろう

  • 具体的な行動の例は、例えば、「自分や相手が抱いた感情を「打倒」だと認める作業」

  • 「本当はこう考えなきゃいけない」「本当はこうすべきなのに」ではなく、「そうやって考えられなかったよね、でも今の状況なら当然だよね」と、今の感情を妥当なものと認めてやる。そうするととても気が楽になる。自分を許してあげるイメージ

    • ★自分はよく「~すべきと自分を縛っているよね」と言われる。それは自分にストイックなだけかと思っていたが、この本によるとかえってメンタルを弱くしているといえる

  • メンタルが強い人=困難に向き合った回数が多い人。また、先を読み準備することが大切なので、メンタルが強い人は計画を立てるのが得意である

  • 「二択」しかない人は危険。「価値があるかないか」とかではない。不安は推論をきちんとできていない時に生まれる理論の欠落によって引き起こされる。例えば一つの出来事からあり得ない結論に飛躍してしまうなど。
    何かができない時に「自分は有能ではなく無能だ」などの二択に飛びつくのは推論ができていない典型的な例。

動きを止める悪役:「不快感」

  •  人は成長が止まった時に不快感を感じる。人生の本質とは、絶え間ない動きと絶え間ない進化である。そこに後れを取ってしまうと、自分の居場所がどんどん居心地悪くなり、生き方を狭めざるを得なくなる

  • 当然ながら、すべての痛みを避けることはできない。つまり、痛みを減らすのではなく、痛みから感じる不快感を最小化することの方が重要。

  • 人生の達人は、「人生の結果を決めるのは、何が起きたかではなく、どう反応したかである」ことを理解している。

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