見出し画像

アイツが悪いと言いたいが

 先日、ご近所で亡くなられた方がいた。我が家の目の前の方だ。

 私が住んでいる市町村は、今も町内会が機能しているような地域です。

 そうすると、町内会に入っておられる方で、亡くなった方が出た場合、お葬式のお手伝いがあります。しかし、今回は、お葬式のお手伝いはなしとなりました。

 しかし、町内会の方々に亡くなられたことを知らせなければなりません。その「お知らせ」の用紙を作成することを依頼されました。


 私は、たまたま、出かけており、夕方に帰宅してから作成を開始しました。渡されたメモ用紙には、お通夜の時間、お葬式の時間、場所、の3つが書かれておりました。亡くなられた方の名前が書かれていなかったのです。実は、町内会に同じ名字の方が3件あります。間違えるとやばいと思って、母に確認を取りました。確認をとった名前で「お知らせ」の用紙を作成して、町内会長の方のところに届けました。


 そうすると、翌日、町内会のある方から早朝に電話が来ました。電話に出ると、「亡くなられた方の名前」が間違っているとのことでした。まさかでした。確認を取ったはずが、間違っていたのです。やってしまいました。焦りました。その方は、親族でもなんでもないのに、私に謝罪しろという感じのものいいです。「教えていただき、ありがとうございました。間違って知らせてしまってすみませんでした。」と言いました。

 そして、すぐに、町内会長への連絡と「お知らせ」の訂正版を作成しました。

 関係者にも謝罪に伺いました。


 私にしたら、すごい気分の悪い話です。間違った「お知らせ」を作成したのは、私です。しかし、母が間違ったことを伝えたから間違った「お知らせ」が作られてしまったわけです。そして、それが配布されて、まずいことになって、謝罪したのは母ではなく、私です。

 私からすれば、母の責任と言いたいところです。しかし、それを他人に言っても、作成したのが私である以上、私が謝罪しなければ、おさまりがつかないでしょう。仕方ないといえば、仕方ないです。

 母に八つ当たりというか、強く不満を言いたいところですが、冷静になって考えてみました。母にしてみても、私の不出来なことについて、私が気付かないところで謝罪してくれているのかもしれないし、家族としてお互いに協力しあっているから、少し間違えたことぐらいで責めるのはかわいそうだな、と思い、強く不満を言うことをやめることにしました。

 何か悪いことが起こった時に、「自分が悪い」と思う場合と、「アイツが悪い」と思う場合があるように思います。それは、当然、事実レベルで確定していることもあります。しかし、事実レベルとは、違いお気持ちレベルでイチャモンをつけてくる場合もあります。

 今回、私も冷静になるまでは、「アイツが悪い(そして、自分は悪くない)」という方だったな、と思います。事実、間違ったことを伝えたのは、母です。その母から聞いたことを元に作成したわけですから、その点については、私は、悪くありません。伝えられたことをしただけです。

 しかし、冷静になって、その事実関係で「アイツが悪い(そして、自分は悪くない)」を押し通したところで、よくないな、と思って、いろいろと思いとどまりました。

 普段からの関係性があるから、思いとどまったのだろうな。そんなことを思います。

 他人に対して、「アイツが悪い(そして、自分は悪くない)」という「他責思考」なやつとは関わりたくないという前に自分自身の中にも、しっかり「アイツが悪い(そして、自分は悪くない)」があることを実感する出来事だったように思います。

 日常の何気ない出来事かもしれませんが、いつも自分自身のことを忘れて、他人を論評してばかりいることが果たして、どうなのかな、とふと自分自身のこととして考えてしまいました。

よろしければ、サポートお願いします。