きものとケンカしてみると…?

美貌の芸妓として一世風靡された佳つ乃さんは、訪問着の肩のあたりには柄をつけず、上半身は無地になるよう呉服店にオーダーされてたそうです。

まっ白の半衿に、京好みの中間色の無地の胸もと…柄とバッティングしないので美しいお顔がいっそう際立って、それはそれは見事なきもの姿なのでした。

佳つ乃さんとはくらべることもできませんが、私自身も舞台に立つ者として、できるだけ衣装と自分がぶつからないよう心がけています。舞をご覧いただくのに、きものばっかり印象に残るのはあかんし、と思うので。

舞台衣装でなく、ふだんのきものを選ぶ場合も、気をつけるのは「きものと自分がケンカしたなら、簡単に勝てるもの」であること。

きものとケンカ…って、ちょっと物騒な言いかたですが、ようするに気張らなくてもよいきものを選びます。

強いもの、派手なものを着るのは、なかなか気が張りますよね。
もちろん、たまには気合いを入れて「きものを着こなす」のも、背伸びして「きものに着られる」のも喜びではあるのですが、いつもですとしんどくて。仕事柄、ほぼ毎日きものなので、できるだけ気楽に、気軽に着られることを優先しています。

そういえば「去年はいっぱいいっぱいで勝ってたきものなのに、今年は楽勝!」というときも。
きものがくたびれてきたのか、または自分が年齢とともに強ーくなってるのか。答えが出ませんが、そこはなにとぞご容赦…。

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