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北海道へ#1 横浜から函館へ

 旅に出た事があるかい?
という問いかけに君はなんて答えるだろう?
例えばそれは少年の頃、昆虫が飛ぶ速度に達するくらいの自転車に乗り、汗にまみれた顔で出かけていった隣町で見た空だったり、友達とレールで行った海だったり、もしかしたら見知らぬ国へバックパックひとつで出かけて見上げた空だったり。
思い浮かべる旅は様々なのだろう。

 その規模や距離、移動の方法なんて比較しても意味はないけれど、旅という言葉に感じる遠くまで時間をかけて行く、なんてイメージは誰もが持っていて、その衝動は僕にとっては抑えられない物のひとつだ。
だから毎年夏には北海道へと旅に出る。
 僕にとってそれは、いや、それこそが旅であり、オートバイに跨り、許された時間の全てを使ってその大地へと向かう。

 7月25日の夜、集まってくれた多くの仲間達に見送られて、いつものCafe Jack in the Boxを20時に出発する。
僕らが目指す北海道は、多くのバイク乗りにとって聖地であり、憧れでもある。
何故かと言ったら、もちろん美しい景色の連続や見るべき物が数多いという事もあるが、ツーリングと言えば目的地に向かって帰ってくる事がほとんどであるけれど、何しろ北海道は九州や四国、沖縄を足してもまだ広い面積を持っており、そこにとどまり設定された目的地を周り続ける事そのものが、旅のイメージに符号するからではないかと思うのだ。

 旅の相棒は、BMW R1200GSアドベンチャーで、大きなパニアケースを両サイドに装着し、トップケースもある充分な積載量があって、長旅には最高のバイクのひとつだ。

 その日は7月だっていうのにまだぐずついた梅雨空が関東を覆い、小雨がぱらついている。
旅を通して着込むのは、BMW純正のラリースーツで、雨具としての機能を持っている。
2週間近くもバイクに乗っている間は同じ物を着続けなんて、汚いと思うかもしれないよね?
 でも、レザージャケットだって洗ったりはしないだろ?だから、そこは笑って許して欲しい。

 出発は5台で、それぞれが見送りに伴走してくれて、そのうちの3台はおもいおもいの場所で離れてゆく。
最後の1台とさよならした間際に強くなってきた雨足は、アウターを濡らしてはいるが身体の中まで濡れる事はない。
 僕の住む横浜から都内を抜け、東北道をひた走り、青森へと向かうのだからおよそ800km以上の行程を一晩で走らなければならない。
荷物を満載したバイクは、停車するととても重いけれど、北海道へと向かうといった昂る心が疲れを忘れさせる。

 途中いくつかのサービスエリアに寄り、深夜の休憩を取ったり、遅すぎる晩御飯を食べ、やっぱり徹夜でそんなに走るのも疲れてしまうからと、仮眠をとったりもする。
 旅の記録を残そうと、映像を撮影する為もあるけれど、同行する北海道にどっぷりとはまったCafe Jack in The Boxの店長は、その役割を忘れたのかGoProのスウィッチを入れ忘れ、車載カメラまでセットするのを忘れていたなどという、とんでもないミスをおかして平謝りをしていたが、高速をただ走るだけの映像など誰が見たって面白いはずもないのだから、気にはしなかった。
岩手山サービスエリアに着く頃には、すでに周囲は夜が空けて明るくなってきて、あと200kmも走れば青森港から函館行きのフェリーに乗れる。
ただ、その出発時間はすぐそこまで迫ってきていて、焦りを感じながらひたすら走る事になった。

高速道路を降り、青森港へと向かう最中、道を間違えてしまいほんとうに時間ギリギリに乗船する事が出来たが、初日からこんな具合ではほんとうに先が思いやられるよな。
なんて話しをしながら船室で横になる。
およそ4時間の船旅は室内がとても寒く、風邪をひくのではないかと不安になったが、無事に函館に到着する事が出来た。
 それにしても北海道とは陸路で繋がる道がないから、まるで違う大陸に着いたような高揚感を毎回、上陸する時に感じる。
フェリーから愛車で降りる瞬間は、同じような旅人である多くのバイク乗りの表情を見れば、皆、同じような期待からくる高揚感が溢れでる表情をしていて、素敵な顔をしている。
 僕もきっと同じような顔をしているのだろう。
船内から抜け出し、北海道の大地に降り立つ瞬間、その気分は最高潮を迎えヘルメットの中で着いたぞ!と、叫んでいた。

函館のホテルルートインに到着し、旅装を解いた後は、近くにある食堂に向かい、先ずは北海道にきたらこれだろう?
といったように、ウニや蟹を食べる。
お疲れ様のビールと美味しい海鮮、そしてこれからはじまる北海道の旅に想いをめぐらせながら、初日の旅は終わった。

 あまり寝ていないから、明日は函館をゆっくり堪能してもう一泊し、明後日の早朝に北上するつもりだ。
ホテルの部屋に戻り、1人になると疲れがどっと重く僕にのしかかってくるのがわかった。
とりあえずビールを開け、TVをつけると北海道でしか見る事の出来ないローカル番組が映し出された。

 ベッドサイドのビールが半分空いた頃、知らぬ間に僕は深い眠りに落ちていった。

#北海道 #ツーリング #旅 #函館
#バイク #オートバイ #モーターサイクル

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時計の針が重なりました!ありがとう。
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FMやまと毎週土曜日20時 くらさんの今日もツーリング日和ON AIR中 喋る人なので、文章は多分、駄文で駄目な人。 真夜中の帝国主義者なので、今夜も眠れないの。 使う写真は意地でも下手でも自分で撮ったもの。 https://twitter.com/shizuki1969

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聖地、北海道へ旅立つバイクの群れはいつも期待と夢に溢れている。いくつになってもね。

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